
2024年4月から建設業にも適用された時間外労働の上限規制は、2025年現在も継続して遵守が求められています。 労働基準法に基づき、36協定を締結した場合の原則的な上限は月45時間・年360時間です。
参考)労働基準法改正の変更点!2025年の人事労務担当者向け法令改…
特別条項付き36協定を締結している場合でも、以下の制限が適用されます。
参考)2024年の建設業はどう変わる?時間外労働の上限規制の適用に…
これらの規制に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。 建設業では従来、36協定締結により時間外労働の上限が事実上緩和されていましたが、現在は厳格な管理が必要です。
参考)建設業の週休2日は義務?罰則についても解説
厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」- 建設業における上限規制の詳細と災害時の特例措置について
2025年4月1日から段階的に施行される育児・介護休業法の改正は、建設業の労務管理にも大きな影響を与えます。 4月施行分では、所定外労働の制限(残業免除)の対象が3歳未満から小学校就学前まで拡大されます。
参考)https://jpn.nec.com/king-of-time/column/202501/01.html
2025年4月施行の主な改正内容は以下の通りです。
参考)2025年の労務に関する主な法改正について
2025年10月からは、3歳以上小学校就学前の子どもを養育する労働者を対象とした「柔軟な働き方を実現するための措置」が義務化されます。 事業主は妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前の時期に、労働者の意向を聴取し配慮することが求められます。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf
厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」- 2025年4月・10月施行の詳細な改正内容と企業の対応方法について
時間外労働に対する割増賃金の計算は、労働基準法で厳密に定められています。 月60時間を超える時間外労働に対しては、事業主は50%以上の割増賃金率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf
割増賃金率の基本的な適用ルールは以下の通りです。
参考)割増賃金計算と最低賃金判定に使用する月平均所定労働時間数の違…
労働の種類 | 割増賃金率 |
---|---|
通常の時間外労働(月60時間以内) | 25%以上 |
月60時間超の時間外労働 | 50%以上 |
休日労働 | 35%以上 |
深夜労働(22時~5時) | 25%以上 |
月60時間超の時間外労働+深夜 | 75%以上(50%+25%) |
割増賃金の計算には月平均所定労働時間数を使用します。 例えば、1日8時間、年間所定労働日数240日の場合、月平均所定労働時間数は160時間(8時間×240日÷12ヶ月)となります。 この数値を基準として、時給換算した上で割増率を適用して計算します。
建設業では特に月60時間を超える時間外労働が発生しやすいため、50%の割増賃金率の適用に注意が必要です。
2024年4月から施行された労働条件明示ルールの改正は、2025年も継続して適用されています。 全ての労働者に対する労働条件明示事項が追加され、企業は就業規則の変更届を労働基準監督署に提出する必要があります。
参考)2024年4月から労働条件明示のルールが変わります ー 厚生…
労働条件明示に関する主な変更点は以下の通りです。
参考)「労働条件の明示」ルール改正に伴う労働条件通知書の変更点や書…
就業規則変更届は、常時10人以上の労働者を使用する事業場で就業規則を変更する際に必須となります。 2025年の法改正に対応するため、育児・介護に関する規定やテレワークに関する規定を就業規則に追加する必要があります。
参考)人事・労務関連の主な法改正予定一覧【2025年・2026年】…
継続雇用制度の対象者を限定していた企業は、2025年4月1日から希望者全員を対象とする必要があるため、雇用契約書や就業規則の改定が求められます。 就業規則の変更には労働者代表の意見聴取が必要であり、変更後は速やかに労働基準監督署へ届出を行わなければなりません。
参考)2025年(令和7年)の人事関連法改正について解説
厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」- モデル労働条件通知書とモデル就業規則の改正内容について
建設業における労働時間管理の厳格化に伴い、勤怠管理システムの導入が急務となっています。 従来のタイムカードシステムでは法定労働時間を超えた場合の警告表示や過重労働防止のアラート機能がなく、法令遵守に限界があります。
参考)https://it-trend.jp/attendance_management_system/article/hikaku
最新の勤怠管理システムには以下の機能が搭載されています。
参考)【2025年版】おすすめの勤怠管理システム15選|種類や機能…
2025年6月1日からは、中小の建設業でも熱中症予防対策が義務化され、労働安全衛生法違反には6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。 労働時間管理と健康管理を一体的に行うことが、建設業の現場では特に重要です。
参考)【2025年6月1日義務化】中小の建設業こそ要注意!熱中症対…
勤怠管理システムではデータがデジタル化され、セキュリティ対策も施されているため、紙のタイムカードと比較して紛失や破損のリスクが低く、保管コストも削減できます。 建設業の2024年問題への対応として、複数の現場を持つ企業では統一的な労働時間管理が可能な勤怠管理システムの導入が推奨されます。
参考)建設業の労働時間の上限規制は2024年4月から!現場にあった…
厚生労働省「令和7年度全国労働衛生週間」- 建設業を含む全業種における健康管理の重要性と取り組み事例について