

建築の設計・施工図レベルでSolidWorksを使う場合、サブアセンブリは「工区」「ユニット」「支持金物群」「開口部周り」など、施工単位でモデルを束ねるための現実的な分割手段になります。
サブアセンブリ化の価値は、単にツリーが見やすくなるだけではなく、上位アセンブリ側の合致(拘束)を減らして、変更時の再構築負荷を下げられる点にあります。
実務でよくある「後からサブアセンブリにまとめたい」ケースは、段取りさえ守れば怖くありません。たとえば、先に全体を仮組みして干渉・納まりを確認し、確定した塊をサブアセンブリ化して“再利用可能な部品群”として扱う流れは、流用設計と相性が良いです。
一方で、サブアセンブリ化=固定化ではないため、どの自由度を上位に残し、どの自由度を下位に閉じ込めるか(責任境界)を決めないと、合致が二重管理になって破綻します。
参考)部品の動きを確認しよう ~制限合致②~ - CADRISE
ここで意外と見落とされるのが「部品表(BOM)運用」です。建築寄りの案件では、加工品(プレート・ブラケット)と購入品(ボルト類)をサブアセンブリ単位で集計したいのに、ファイルの持ち方が場当たりだと“数量の正”が取りづらくなります。
参考)【ソリッドワークス】サブアセンブリだけ仮想化する方法 - t…
サブアセンブリを「共通ユニット」として横展開する前提なら、命名規則(号機・階・通り芯)とコンフィギュレーションの粒度を先に決め、同名の似たものが増殖しないようにするのが安全です。
参考:大規模アセンブリでのSpeedPakやライトウェイト等、表示・読み込み制御の考え方
CAD Japan:大規模アセンブリの処理をアップさせるSOLIDWORKSの機能
サブアセンブリ運用で“事故”が起きやすいのが外部参照です。アセンブリ内で他部品を参照しながら形状を作るトップダウン設計は強力ですが、参照関係が増えるほど、更新順やファイル探索の問題でトラブルが出やすくなります。
外部参照は「更新され続ける設計意図」として残すか、「ある時点で凍結」するかを決める必要があり、その中間手段としてロック(更新停止)が現場では扱いやすいです。
具体的には、外部参照を完全に切る(ブレーク)操作は“元に戻せない”前提で判断します。納まり確定後に参照をブレークしておくと、他部署の変更が意図せず波及することを防げますが、将来の改修で再び連動させたい設計では逆に足かせになります。
参考)豆知識㊱「外部参照制御③」|株式会社 MiyaiGarage
建築の改修案件だと、既設側(参照元)が不確定なまま進むことがあり、参照元の確度が低い状態で外部参照を増やすと、後工程で“どれが支配寸法か”を追跡するのが困難になります。
ここで、あまり表に出にくい実務上のコツは「ロック→合意→ブレーク」の順で、節目管理に組み込むことです。たとえば、干渉NGがゼロになったタイミングで一旦ロックし、設計変更の窓口が一本化できた時点でブレークする、という段階運用が効きます。
参考)SolidWorksとは(ソリッドワークス )部品をコピーで…
また「サブアセンブリだけ仮想化して、下位部品は外部参照のまま」という運用も可能で、流用設計の派生を作りたいときに、全体コピーより破綻しにくい場面があります。
参考:外部参照をロック/解除/ブレークする操作の要点(戻れない注意点を含む)
sanetu:外部参照のロック/ブレーク
サブアセンブリが「動かない」典型は、サブアセンブリが“リジット(固定ユニット扱い)”として評価されているケースです。トップアセンブリから見るとサブアセンブリは1つの塊として扱われるため、下位の合致で作った可動が上位で再現されないことがあります。
このとき、フレキシブルに切り替えると、下位アセンブリ内の自由度(機構)が上位でも有効になり、ドラッグで動作確認が可能になります。
建築従事者の視点で重要なのは、「フレキシブル=常に正解」ではない点です。フレキシブルは可動検証に効く一方、複雑なサブアセンブリほど再計算負荷が上がり、上位での合致解決が不安定になることがあります。
参考)SolidWorks_ややこしいサブアセンブリの「上手な動か…
たとえば、ラック&ピニオンなど機械的合致を含むサブアセンブリでは、フレキシブル化しても期待通りに動かないことがあり、合致の与え方(どこを基準にするか)を再設計する必要が出ます。
施工図寄りのモデルでは「動作確認が必要な箇所」だけフレキシブルにし、それ以外はリジットで固定してモデルの一貫性を保つのが現実的です。
さらに、動作確認が終わったらリジットに戻す(またはSpeedPakで参照化する)という“検証フェーズの切替”を決めておくと、担当交代や長期案件でも運用が安定します。
参考)大規模アセンブリの処理をアップさせるSOLIDWORKSの機…
参考:サブアセンブリが固定(リジット)で動かない理由と、フレキシブルへの切替手順
CADRISE:サブアセンブリをフレキシブルにして動きを確認
大規模アセンブリで操作が重いときは、まず「読み込み・表示させる情報を減らす」という方針が基本で、SolidWorksには抑制・ライトウェイト・大規模アセンブリモード等の手段が整理されています。
SpeedPakはその中でも、必要な要素(部品、面、参照ジオメトリ、スケッチ、カーブ)だけ残して、それ以外を表示専用にすることでメモリ使用を抑える仕組みです。
建築の現場で効く場面は、たとえば「設備機器の外形だけでレイアウト検討したい」「干渉チェックは必要だが内部ディテールは要らない」といった、上位で参照点・参照面だけ使いたいケースです。
参考)SolidWorksの大規模アセンブリが重い?今すぐ試せる軽…
SpeedPakは“全部を軽くする魔法”ではなく、何を残すか(面・エッジ・参照ジオメトリ)を誤ると、上位で合致が組めず作業が止まるので、上位側で必要な合致条件から逆算して残す要素を決めます。
また、ライトウェイトや大規模デザインレビューと違い、SpeedPakは「必要な要素だけを選択して残す」という設計者の意図が入るため、社内標準化すると効果が安定しやすいのがポイントです。
サブアセンブリ化とSpeedPakを組み合わせると、階層の単位ごとに軽量化を効かせられるため、建物1棟・1ラインを丸ごと扱うような“部品点数で殴る”案件で体感差が出やすくなります。
参考:SpeedPak・ライトウェイト・大規模デザインレビュー等の違いと、必要情報だけで操作する考え方
CAD Japan:大規模アセンブリの処理をアップさせるSOLIDWORKSの機能
検索上位では「フレキシブル」「外部参照」「軽量化」が主役になりがちですが、建築の実務では“ファイル管理の破綻を防ぐ”ためのサブアセンブリ仮想化(virtual component化)も同じくらい効きます。
特に、短納期で派生案を量産するとき、サブアセンブリだけ仮想化して「この案件専用の塊」として隔離し、下位の標準部品は外部参照のまま共通資産として持つ、という折衷が実務的です。
この方法の意外なメリットは、BOMやデータ受け渡しの“境界線”が明確になることです。サブアセンブリを案件専用に閉じることで、改修や差分管理の単位が揃いやすくなり、標準部品の更新だけを全案件へ展開するといった運用がやりやすくなります。
さらに、仮想構成サブアセンブリを活用すると「外部ファイルを持たないサブアセンブリ」的なまとめ方ができ、フォルダ整理だけでは表現できない“設計上のユニット”を作りやすいという提案もあります。
参考)ソリッドワークスでの 外部ファイルを持たずにサブアセンブリを…
ただし注意点として、仮想化は便利な反面、チームでのデータ受け渡し(PDMや共有フォルダ)で「どこに実体があるのか」が分かりづらくなるリスクがあります。
そのため、仮想化は「派生の作業期間だけ」「検討モデルだけ」といった期限付きのルールにし、確定後は外部ファイル化して納品データ構造を整える、という二段階にすると安全です。
参考:サブアセンブリだけ仮想化し、下位部品は外部参照のままにする具体手順
tsurfの機械設計研究室:サブアセンブリだけ仮想化する方法