真円度JIS規格による測定方法と評価

真円度JIS規格による測定方法と評価

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真円度JIS規格の測定評価

真円度JIS規格の基本概念
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JIS規格による定義

円形形体の幾何学的に正しい円からの狂いの大きさを示す重要な指標

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測定方法の種類

直径法、三点法、半径法による精度測定と評価手法

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実務での重要性

建築部材の品質管理と性能向上における真円度の役割

真円度JIS規格の基本定義と表示方法

JIS B 0682-1:2017では、真円度を「円形形体の幾何学的に正しい円からの狂いの大きさ」と定義しています。この規格により、真円度は円形形体を二つの同心の幾何学的円で挟んだとき、同心二円の間隔が最小となる場合の、二円の半径の差で表示されます。
真円度の表示方法について具体的に見ると、以下のような特徴があります。

  • 測定単位:真円度○○mmまたは真円度○○μmで表示
  • 図面表示:記号『○』で指示される
  • 公差記入枠:2つの区画を使用(データム不要)
  • 測定値:同心二円の半径差で算出

図面での記載においては、真円度記号と幾何公差値を公差記入枠に記入し、データムを必要としない形状偏差として扱われます。これは真円度が基準円(真円度曲線に当てはめた円)を利用するためです。

真円度測定の3つの基本方法

真円度の測定には主に3つの方法があり、それぞれ特徴と適用場面が異なります。
直径法による測定
軸物の1断面をマイクロメータなどで直径を数か所測定し、最大値と最小値を使用する方法です。計算式は(最大直径値-最小直径値)÷2となります。この方法は簡便性に優れていますが、等径歪円の場合には実際よりも小さな値として認識される欠点があります。
三点法による測定
Vブロックにシャフトを載せ、測微器を当てたまま回転させて振れ量を測定する方法です。工業製品のNG品の自動検査に適していますが、シャフトの断面形状によっては同じ感度で検出できない場合があります。
半径法による測定
真円度測定機により全周の凹凸形状を取得して演算により求める方法で、最も精度が高い測定方法です。JIS規格の定義に基づいた評価が可能で、三次元測定機や画像測定機では同時に径測定も行えます。

真円度評価に使用される測定機器と精度

真円度測定には専用の測定機器が使用され、それぞれ異なる特徴と適用範囲を持っています。
真円度測定機の種類
接触式と非接触式の2つのタイプがあり、接触式は物理的なプローブを使用する方法、非接触式はレーザーや光学的手段で測定します。選択時には測定範囲と精度が重要な要素となり、精密機器や医療機器の製造では高精度で広い測定範囲が求められます。
評価方法の種類
半径法による評価では以下の4つの方法が規定されています:

  • LSC最小二乗中心法:偏差の二乗和が最小となる円を当てはめる方法
  • MZC最小領域中心法:JIS B0621で規定されている標準的な方法
  • MCC最小外接円中心法:測定図形に外接する円を基準とする方法
  • MIC最大内接円中心法:測定図形に内接する円を基準とする方法

最小領域中心法(MZC)は、測定図形を挟む同心円の半径差が最も小さくなるように中心座標位置を探し出す方法で、JIS規格で推奨されています。

真円度測定機の導入における環境整備

真円度測定機を導入する際には、測定精度を確保するための環境整備が重要です。特に振動が測定結果に大きく影響するため、防振対策の実施が求められます。
環境要因の管理
測定精度に影響を与える主要な環境要因として以下が挙げられます。

  • 振動:工作機械の振動や建物の振動が測定値に影響
  • 温度変化:熱膨張による形状変化が測定誤差の原因
  • 湿度:測定機器の精度に影響を与える可能性
  • 清浄度:ダスト等による測定面の汚染

これらの要因を適切に管理することで、安定した測定環境を構築できます。特に建築業界では、現場での測定が必要な場合も多いため、可搬型測定機器の選定と環境対策が重要になります。

 

心出し調整の重要性
真円度測定においては心出し調整が必須です。測定対象物の中心と測定機の回転軸を一致させる必要があり、この調整が不十分だと測定誤差が生じます。製品を偏心ゲージに取り付けた状態でダイヤルゲージと接触させ、一回転させたときの最大値と最小値の差を2で割ることで真円度を求めることができます。

真円度測定における実務的な品質管理手法

建築業界における真円度管理では、製品の機能性と安全性を確保するための実務的なアプローチが必要です。真円度が悪化する要因を理解し、予防的な品質管理を実施することが重要となります。
真円度悪化の主要因子
実際の製造現場では以下の要因により真円度が悪化します:

  • 工作機械の振動や回転部の劣化
  • センター穴の形状不良
  • センタレス研削における前加工の変形
  • リング状部品の保持具による加工物の歪み
  • 切削工具の摩耗や取付け不良によるビビリ
  • 仕上げ後の熱処理による変形

これらの要因を事前に把握し、工程管理に反映させることで、品質の安定化を図ることができます。

 

品質要求レベルの設定
真円度の評価が特に求められるケースとして、以下のような用途があります:

  • 嵌め合い部品:寸法精度が厳しい部品
  • 高速回転部品:ベアリングなど振動やエネルギーロスが問題となる部品
  • 気密性部品:油圧バルブやパッキンなど密封性が必要な部品

建築業界では、構造部材の接合部や回転機構部品において、これらの品質要求を満たす真円度管理が必要です。製品の用途に応じた適切な公差設定と測定頻度の決定が、効率的な品質管理システムの構築につながります。