塩ビ管規格寸法の完全ガイド

塩ビ管規格寸法の完全ガイド

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塩ビ管規格寸法の基本知識

塩ビ管規格の基本構成
📏
VP管・VU管の規格差

厚肉管と薄肉管の寸法規格とJIS基準による違い

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寸法表の読み方

呼び径・外径・内径・厚さの相関関係と許容差

⚙️
実務での規格選定

用途に応じた適切な規格選択と加工現場での活用

VP管とVU管の規格差と寸法特性

塩ビ管の規格において、VP管(厚肉管)とVU管(薄肉管)は明確な寸法差を持っています。VP管は水道用硬質ポリ塩化ビニル管として、給水管に主に使用される厚肉仕様です。一方、VU管は硬質ポリ塩化ビニル管として、排水・通気などの衛生設備配管に適用されます。

 

VP管の特徴的な寸法規格。

  • 呼び径13mm:外径18mm、厚さ2.2mm、内径13mm
  • 呼び径20mm:外径26mm、厚さ2.7mm、内径20mm
  • 呼び径50mm:外径60mm、厚さ4.1mm、内径51mm
  • 呼び径100mm:外径114mm、厚さ6.6mm、内径100mm

VU管の寸法規格は40mm以上から規定されており、VP管と比較して薄肉設計となっています。例えば、VU50の場合、外径は60mmでVP50と同じですが、厚さは1.8mmとVP50の4.1mmに比べて大幅に薄くなっています。

 

この厚さの違いは、用途による圧力要件の違いから生まれています。VP管は給水圧に耐える必要があるため厚肉に、VU管は重力排水が主用途のため薄肉に設計されています。

 

JIS規格による塩ビ管寸法表の読み方

JIS K6741:2007に基づく塩ビ管寸法表の読み方は、金属加工現場での正確な材料選定に不可欠です。寸法表には「基本寸法」「許容差」「平均外径の許容差」「厚さの最小寸法」「厚さの許容差」という5つの重要な項目があります。

 

基本寸法と許容差の関係。

  • 外径の基本寸法:製品の標準的な外径値
  • 平均外径の許容差:製造時の外径バラツキ許容範囲
  • 最大・最小:個別測定値の許容範囲

厚さ規格の特徴。

  • 厚さは最小寸法で規定(下限値のみ)
  • 許容差は+方向のみ(厚くなる分には問題なし)
  • VP13で厚さ2.2mm+0.6mm(2.2~2.8mm)

重量規格も重要な要素で、1m当たりの質量が規定されています。例えばVP50の場合、1m当たり1.122kgとなっており、運搬や施工計画に活用できます。4m定尺管の場合は約4.5kgとなります。

 

JIS規格表の「概略内径」は計算値であり、実測値ではない点に注意が必要です。実際の流量計算や配管設計では、この概略内径を基準として使用します。

 

塩ビ管の呼び径と実寸法の違いと注意点

塩ビ管における呼び径と実際の寸法の違いは、金属加工現場でよく混乱を招く要因です。呼び径は管の識別記号であり、実際の外径や内径とは異なる数値となっています。

 

具体的な寸法差の例。

  • VP50:呼び径50mm → 外径60mm、内径51mm
  • VP100:呼び径100mm → 外径114mm、内径100mm
  • VU50:呼び径50mm → 外径60mm、内径56mm

この現象が生じる理由は、管の規格統一の歴史的経緯にあります。呼び径は配管系統での識別を目的とした名称であり、実寸法とは別の概念として扱われています。

 

実務での注意点。

  • 接続部品選定時は実外径を確認
  • 貫通穴径は外径+余裕代で設計
  • 流量計算は概略内径を使用
  • 重量計算は規格値を参照

金属加工現場では、塩ビ管を通すための穴加工や固定金具の設計において、必ず実外径を基準とする必要があります。呼び径50mmの管だからといって50mmの穴を開けると、実際の外径60mmに対して不適合となってしまいます。

 

また、内径についても呼び径と必ずしも一致しません。VP100の場合は内径100mmで呼び径と一致しますが、VP50では内径51mmと若干大きくなっています。

 

HI管・HT管の特殊規格と用途選定

耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HI管)と耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管(HT管)は、特殊用途向けの規格です。基本的な寸法はVP管と同じですが、材質特性が大きく異なります。

 

HI管の特徴と規格。

  • 低温時でも耐衝撃性を維持
  • 寸法規格はVP管と同一(13~300mm)
  • 外観色は通常青色で識別
  • 水道用途での使用が可能

HT管の特殊性。

  • 使用温度範囲:~90℃(VP管は60℃まで)
  • 温度差による線膨張係数が大きい
  • 給湯配管での使用が可能
  • 寸法規格はVP管準拠

これらの特殊管は、一般的なVP管・VU管と外径・厚さが同じため、既存の接続部品や固定金具がそのまま使用できる利点があります。ただし、材料コストは通常品より高く、用途を十分検討した選定が重要です。

 

金属加工現場での使用例。

  • 屋外配管でのHI管採用(耐衝撃性)
  • 工場排水でのHT管使用(耐熱性)
  • 化学工場でのHI管選定(耐薬品性)

材質選定の判断基準として、使用環境温度、衝撃の可能性、化学的影響を総合的に検討する必要があります。

 

金属加工現場での塩ビ管規格活用術

金属加工現場における塩ビ管の活用は、配管用途以外にも多岐にわたります。規格を正しく理解することで、コストダウンと作業効率向上を実現できます。

 

配管カバーとしての活用。

  • 電気配線保護にVU管を使用
  • 切断加工による部分カバー製作
  • 金属管より軽量で取り扱い易い

治具・固定具への応用。

  • VP管の高い寸法精度を利用
  • 外径規格の統一性を活かした互換設計
  • 軽量性による作業負荷軽減

規格寸法を活用した設計のコツ。

  • 標準外径を基準とした穴径設計
  • 定尺長さ4mを考慮した部品設計
  • 重量規格値による搬送計画立案

実際の現場では、塩ビ管の規格統一性を利用して、異なるメーカー品でも互換性を確保できます。これにより、調達の柔軟性が向上し、在庫管理も効率化されます。

 

切断加工時の注意点。

  • 切断面の面取り処理
  • 寸法精度の維持(±0.5mm以内)
  • 静電気対策(金属粉末付着防止)

金属加工現場特有の活用として、工作機械の切削液配管、エアー配管の保護管、電気配線の整理用配管などがあります。これらの用途では、VP管の寸法精度と耐久性が重要な要素となります。

 

また、溶接作業エリアでの使用では、耐熱性を考慮してHT管の選定を検討することも重要です。通常のVP管では60℃までの耐熱性しかないため、溶接熱の影響を受ける可能性がある箇所では適切ではありません。