VP管規格完全ガイド|JIS規格から呼び径選び方まで

VP管規格完全ガイド|JIS規格から呼び径選び方まで

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VP管規格基礎知識

VP管規格の要点
📋
JIS規格体系

一般用K6741と水道用K6742の違いを理解

📏
呼び径とサイズ

13~600mmまでの豊富な規格ラインナップ

🔧
用途別選択

配管目的に応じた最適な規格の選び方

VP管規格JIS種類と特徴

VP管の規格は主にJIS日本産業規格)によって定められており、用途に応じて複数の規格に分類されています。最も基本となるのが**JIS K 6741(硬質ポリ塩化ビニル管)**で、これは一般用途向けの規格です。

 

一方、飲料水に直接接触する配管には**JIS K 6742(水道用硬質ポリ塩化ビニル管)**が適用されます。この2つの規格の大きな違いは「鉛の浸出試験項目」の有無にあります。水道用規格では、人体に有害な鉛の浸出量が規定値以下であることが求められるため、上水道や給水配管には必ずJIS K 6742適合品を選択する必要があります。

 

📊 主要なVP管規格一覧

  • JIS K 6741:一般用(呼び径13~600mm)
  • JIS K 6742:水道用(呼び径13~150mm)
  • JIS K 6776:耐熱性(呼び径13~50mm)
  • JWWA K129:ゴム輪形水道用(呼び径50~150mm)

さらに、特殊用途向けとして耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管(HT管)の規格であるJIS K 6776があり、最大使用温度90℃まで対応可能で給湯配管に使用されます。

 

VP管呼び径サイズ表の見方

VP管の呼び径は、配管の内径を基準とした nominal size(公称サイズ)を表しており、実際の内径とは若干異なります。規格表を正しく読み取るためには、呼び径・外径・内径・厚さの関係を理解することが重要です。

 

VP管の標準寸法例(JIS K 6741より抜粋)

呼び径(mm) 外径(mm) 厚さ(mm) 概略内径(mm)
13 18.0 2.0 14.0
20 26.0 2.0 22.0
25 32.0 2.3 27.4
40 48.0 2.2 43.6
50 60.0 2.4 55.2
75 89.0 3.5 82.0
100 114.0 4.1 105.8

興味深いことに、同じ呼び径でもVP管とVU管では厚さが異なるため内径も変わってきます。VU管はVP管より薄肉設計のため、同じ外径でも内径が大きくなり、排水など無圧配管に適しています。

 

🔍 サイズ選定のポイント

  • 流量計算に基づく適切な内径の確保
  • 配管ルートの制約条件(外径)の確認
  • 継手類との適合性の検証
  • 施工性を考慮したサイズ選択

配管設計時には、流体の流量や圧力損失を計算し、必要な内径を確保できる呼び径を選択することが基本となります。

 

VP管用途別選び方ポイント

VP管の選択は、使用する環境や流体の種類によって大きく左右されます。金属加工現場では、工業用水・冷却水・排水など多様な用途があるため、それぞれに適した規格の選択が重要です。

 

上水道・給水用途
水道用VP管(JIS K 6742)または耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP管)を選択します。HIVP管は通常のVP管よりも耐衝撃性に優れ、紺色で識別できます。水道用途では鉛の浸出基準をクリアしている必要があるため、一般用規格品の使用は避けるべきです。

 

工業用水・冷却水用途
金属加工現場の工業用水配管には、JIWA8規格の工業用水道用受口付硬質塩化ビニル管が適用される場合があります。呼び径200~300mmの大口径対応で、受口付きの設計により施工性も向上しています。

 

排水用途
無圧排水にはVU管(薄肉管)が経済的で適しています。肉厚が薄い分軽量で取り扱いやすく、同じ外径でも内径が大きいため排水効率も良好です。ただし、ポンプによる圧送排水の場合は、圧力に耐える厚肉のVP管を選択する必要があります。

 

特殊環境用途

  • 高温環境:HT管(耐熱性、最大90℃)
  • 埋設配管:RS-VU管(リサイクル三層管)
  • 電線保護:VE管(電線管専用規格)

⚠️ 選択時の注意点

  • 使用圧力と規格の許容圧力の照合
  • 使用温度範囲の確認
  • 化学的適合性の検証
  • 法規制への適合確認

VP管継手接合方法の違い

VP管の接合方法は大きく分けて**TS接合(接着接合)RR接合(ゴム輪接合)**の2種類があります。それぞれ異なる特徴を持ち、用途や施工条件に応じて選択する必要があります。

 

TS接合(Thinner Socket接合)
最も一般的な接合方法で、専用接着剤を使用して管と継手を化学的に接合します。接着剤の溶剤により管表面を膨潤させ、硬化後に強固な接合を実現します。

 

TS接合の特徴。

  • 完全な密封性の確保
  • 高い引張強度
  • 施工が比較的簡単
  • コストが安価
  • 可撓性が少ない

RR接合(Rubber Ring接合)
ゴム輪を用いた機械的接合方法で、管をベル形継手に挿入してゴム輪で密封します。JWWA K129規格のRRVP管やHIRRVP管で採用されています。

 

RR接合の特徴。

  • 可撓性があり耐震性に優れる
  • 施工時間の短縮
  • 地盤変動への追従性
  • メンテナンスが容易
  • コストが高い

🔧 接合方法選択の判断基準

条件 TS接合 RR接合
地震対策重視
コスト重視
施工速度
密封性能
メンテナンス性

金属加工現場では、配管の用途や設置環境を総合的に判断して適切な接合方法を選択することが重要です。

 

VP管継手の規格情報詳細
https://www.ppfa.gr.jp/pvc/jis_standard/

VP管規格適合確認の重要性

VP管を使用する際に見落とされがちですが、規格適合の確認は品質管理と法的責任の観点から極めて重要です。特に金属加工現場では、工場の安全基準や環境規制への適合が求められるため、使用する配管材料の規格適合性を事前に確認することが不可欠です。

 

規格マークの確認方法
VP管には製造時に規格適合を示すマークが印字されています。JIS規格品には「JIS」マーク、水道用には「JWWA」マークが表示されており、これらのマークの有無で適合性を判断できます。

 

重要な確認項目。

  • JISマーク番号の正確性
  • 製造年月の表示
  • 製造者名・認定番号
  • 呼び径の表示
  • 適用規格の表示

法的要求事項への対応
水道法に基づく給水装置工事では、水道用資機材の使用が義務付けられています。一般用VP管を誤って水道配管に使用した場合、法令違反となり工事のやり直しが必要になる可能性があります。

 

品質管理体制の構築
金属加工現場での配管工事では、以下の品質管理プロセスを確立することを推奨します。

  1. 📝 仕様書段階での規格明記
    • 用途に応じた適切な規格の指定
    • 必要な認証・承認の明確化
  2. 🔍 入荷時の検査体制
    • 規格マークの目視確認
    • 納入仕様書との照合
    • 寸法・外観の基本チェック
  3. 📋 施工記録の管理
    • 使用材料の規格情報記録
    • 施工写真による証拠保全
    • 検査結果の文書化

トレーサビリティの確保
近年、建設業界では材料のトレーサビリティ(追跡可能性)が重視されています。VP管についても、製造ロット・品質試験結果・施工記録を体系的に管理し、将来のメンテナンスや事故時の原因究明に備えることが重要です。

 

⚠️ 規格不適合のリスク

  • 法的責任の発生
  • 工事のやり直しコスト
  • 安全性能の低下
  • 保険適用の除外
  • 企業信頼性の損失

このように、VP管の規格適合確認は単なる形式的な手続きではなく、事業継続性と安全性を確保するための重要な品質管理活動として位置づけるべきです。規格への深い理解と適切な運用により、金属加工現場における配管工事の品質向上と安全性確保を実現できます。