
塩ビパイプ継手は、接続するパイプの種類と用途によって明確に規格が分かれています。主な継手規格は以下の通りです。
給水系継手
排水系継手
これらの継手は、単に用途が違うだけでなく、受口の深さや接合強度も大きく異なります。TS継手の受口深さは55mmと深く設計されており、水圧がかかっても抜けない強固な接合が可能です。一方、DV継手の受口深さは22mmと浅く、排水の流れをスムーズにする構造となっています。
金属加工現場では、冷却水系統や排水系統で塩ビパイプを使用することが多いため、この違いを理解しておくことが重要です。
TS継手とDV継手の最大の違いは、水圧への対応能力と接合方法にあります。
TS継手の特徴
DV継手の特徴
実際の使い分けでは、冷却水の供給ラインにはTS継手、排水ラインにはDV継手を使用します。この使い分けを間違えると、水漏れや継手の破損につながる可能性があります。
興味深いことに、同じサイズでもTS継手の方がDV継手より大きいため、狭いスペースでの配管では継手の選択が取り回しに大きく影響します。
塩ビパイプの呼び径と継手の対応は、正確な規格理解が必要です。以下に主要なサイズの対応表を示します。
TS継手受口標準長さ
呼び径(mm) | 13 | 16 | 20 | 25 | 30 | 40 | 50 | 65 | 75 | 100 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
受口長さ(mm) | 26 | 30 | 35 | 40 | 44 | 55 | 60 | 70 | 75 | 90 |
DV継手受口標準長さ
呼び径(mm) | 30 | 40 | 50 | 65 | 75 | 100 | 125 | 150 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
受口長さ(mm) | 18 | 22 | 25 | 35 | 40 | 50 | 65 | 80 |
この表から分かる通り、同じ呼び径でもTS継手の方が受口が深く設計されています。また、DV継手は30mm以上の径から展開されており、小径の排水では異なる解決策が必要になることがあります。
継手の選定時は、パイプの外径ではなく呼び径で選ぶことが重要です。実際の外径とは異なる場合があるためです。
参考:塩ビ管継手の技術情報詳細
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0370.html
塩ビパイプ継手の接合には、専用の接着剤を使用したTS接合とDV接合があります。正しい施工手順を守ることで、長期間安定した接合を実現できます。
基本的な接合手順
施工時の重要なポイント
金属加工現場では、切削油や潤滑剤が付着しやすいため、清浄処理を特に念入りに行う必要があります。また、振動の多い環境では、継手への負荷を分散させる配管設計が重要です。
興味深い事実として、接着剤による接合は化学的な溶着であり、完全硬化後は継手とパイプが一体化します。そのため、施工ミスをした場合の修正は困難で、新しい部材での再施工が必要になります。
金属加工現場における塩ビパイプ継手の活用は、従来の金属配管では実現できない利点があります。特に、腐食性のある切削液や化学薬品を扱う環境では、塩ビパイプの耐薬品性が威力を発揮します。
金属加工現場での特殊な活用例
現場特有の注意点
金属粉や切削屑が継手部に付着すると、接合不良の原因となります。定期的な清掃と点検が必要です。また、機械の振動が激しい場所では、継手部分に応力集中しないよう、適切な支持具を設置することが重要です。
意外な活用法として、塩ビ製ボールバルブと組み合わせることで、腐食性の強い薬品ラインでも安全な開閉操作が可能になります。金属バルブでは実現できない耐食性を持ち、メンテナンス頻度を大幅に削減できます。
近年では、IoT機器との組み合わせで、配管内の流量や圧力をリアルタイムで監視するシステムも導入されています。塩ビパイプの絶縁性を活かし、電気的なノイズの影響を受けない安定したセンサー設置が可能です。
参考:洗濯機排水における継手の実用例
https://omd-suidouservice.com/archive/washing-machine-post/how-to-attach-washing-machine-drain-elbow/