塩ビパイプ規格継手の選び方と接続方法

塩ビパイプ規格継手の選び方と接続方法

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塩ビパイプ規格継手の基礎知識

塩ビパイプ継手の重要ポイント
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継手の種類

TS継手(給水用)とDV継手(排水用)で用途が明確に分かれています

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規格とサイズ

呼び径13mm~150mmまで豊富なサイズ展開があります

接合強度

TS接合は水圧に対応、DV接合は排水専用の構造です

塩ビパイプ継手の種類と規格の違い

塩ビパイプ継手は、接続するパイプの種類と用途によって明確に規格が分かれています。主な継手規格は以下の通りです。
給水系継手

  • TS継手:VP(硬質塩化ビニール管)専用継手
  • Hi-TS継手:Hiパイプ(耐衝撃性硬質塩化ビニール管)専用継手

排水系継手

  • DV継手:VP(硬質塩化ビニール管)排水用継手
  • DV-Vu継手:Vu(薄肉硬質塩化ビニール管)専用継手

これらの継手は、単に用途が違うだけでなく、受口の深さや接合強度も大きく異なります。TS継手の受口深さは55mmと深く設計されており、水圧がかかっても抜けない強固な接合が可能です。一方、DV継手の受口深さは22mmと浅く、排水の流れをスムーズにする構造となっています。

 

金属加工現場では、冷却水系統や排水系統で塩ビパイプを使用することが多いため、この違いを理解しておくことが重要です。

 

TS継手とDV継手の使い分けと特徴

TS継手とDV継手の最大の違いは、水圧への対応能力と接合方法にあります。

 

TS継手の特徴

  • 給水ライン専用設計
  • 水圧に対する高い耐久性
  • 受口が深く、強固な接合が可能
  • 接着後は水圧がかかっても抜けない
  • Hi-TS継手はさらに高い耐衝撃性を持つ

DV継手の特徴

  • 排水ライン専用設計
  • 受口が浅く、コンパクトな設計
  • 水圧がかかると抜ける可能性がある
  • 排水の流れを阻害しない形状

実際の使い分けでは、冷却水の供給ラインにはTS継手、排水ラインにはDV継手を使用します。この使い分けを間違えると、水漏れや継手の破損につながる可能性があります。

 

興味深いことに、同じサイズでもTS継手の方がDV継手より大きいため、狭いスペースでの配管では継手の選択が取り回しに大きく影響します。

 

塩ビパイプ呼び径と継手サイズの対応表

塩ビパイプの呼び径と継手の対応は、正確な規格理解が必要です。以下に主要なサイズの対応表を示します。
TS継手受口標準長さ

呼び径(mm) 13 16 20 25 30 40 50 65 75 100
受口長さ(mm) 26 30 35 40 44 55 60 70 75 90

DV継手受口標準長さ

呼び径(mm) 30 40 50 65 75 100 125 150
受口長さ(mm) 18 22 25 35 40 50 65 80

この表から分かる通り、同じ呼び径でもTS継手の方が受口が深く設計されています。また、DV継手は30mm以上の径から展開されており、小径の排水では異なる解決策が必要になることがあります。

 

継手の選定時は、パイプの外径ではなく呼び径で選ぶことが重要です。実際の外径とは異なる場合があるためです。

 

参考:塩ビ管継手の技術情報詳細
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0370.html

塩ビパイプ継手の接合方法と施工のコツ

塩ビパイプ継手の接合には、専用の接着剤を使用したTS接合とDV接合があります。正しい施工手順を守ることで、長期間安定した接合を実現できます。

 

基本的な接合手順

  1. 管の切断と面取り:直角に切断し、バリを除去
  2. 挿入長さの記入:受口標準長さに基づいて印をつける
  3. 清浄処理:受口・差口の汚れや油分を完全に除去
  4. 接着剤塗布:管種に適した専用接着剤を均一に塗布
  5. 管の挿入・保持:標準保持時間は30秒以上(呼び径50以下)

施工時の重要なポイント

  • 接着剤は管種に合ったものを必ず使用する
  • 気温が低い場合は、接着剤の硬化時間が長くなる
  • 挿入後は必ず所定時間保持し、動かさない
  • 接合部に無理な力がかからないよう配管設計する

金属加工現場では、切削油や潤滑剤が付着しやすいため、清浄処理を特に念入りに行う必要があります。また、振動の多い環境では、継手への負荷を分散させる配管設計が重要です。

 

興味深い事実として、接着剤による接合は化学的な溶着であり、完全硬化後は継手とパイプが一体化します。そのため、施工ミスをした場合の修正は困難で、新しい部材での再施工が必要になります。

 

金属加工現場での塩ビパイプ継手活用術

金属加工現場における塩ビパイプ継手の活用は、従来の金属配管では実現できない利点があります。特に、腐食性のある切削液や化学薬品を扱う環境では、塩ビパイプの耐薬品性が威力を発揮します。

 

金属加工現場での特殊な活用例

  • 切削液供給ライン:TS継手を使用し、高圧にも対応
  • 排水・回収ライン:DV継手でスムーズな流れを確保
  • エアーブロー配管:軽量で取り回しが良い
  • 冷却水循環システム:腐食の心配がなく長期使用可能

現場特有の注意点
金属粉や切削屑が継手部に付着すると、接合不良の原因となります。定期的な清掃と点検が必要です。また、機械の振動が激しい場所では、継手部分に応力集中しないよう、適切な支持具を設置することが重要です。

 

意外な活用法として、塩ビ製ボールバルブと組み合わせることで、腐食性の強い薬品ラインでも安全な開閉操作が可能になります。金属バルブでは実現できない耐食性を持ち、メンテナンス頻度を大幅に削減できます。

 

近年では、IoT機器との組み合わせで、配管内の流量や圧力をリアルタイムで監視するシステムも導入されています。塩ビパイプの絶縁性を活かし、電気的なノイズの影響を受けない安定したセンサー設置が可能です。

 

参考:洗濯機排水における継手の実用例
https://omd-suidouservice.com/archive/washing-machine-post/how-to-attach-washing-machine-drain-elbow/