
ボールバルブの材質選定は建築設備の耐久性と安全性に直結する重要な要素です。主要な材質別の寸法特性と適用範囲を詳しく見ていきましょう。
鋳鉄製ボールバルブの寸法仕様
鋳鉄製ボールバルブは一般的な建築設備で最も広く使用されており、JIS規格に準拠した標準的な寸法体系を持っています。以下の寸法表は代表的な呼び径での面間寸法を示しています。
ステンレス鋼製ボールバルブの寸法特性
ステンレス鋼製(SCS13A、SCS14A)は腐食性環境や食品関連設備での使用に適しており、鋳鉄製と同様の面間寸法を持ちながら、より高い耐圧性能を実現しています。
青銅・黄銅製ボールバルブの寸法規格
青銅・黄銅製ボールバルブは小口径配管や給水設備で多用され、コンパクトな寸法設計が特徴です。エコボールシリーズやTボールシリーズなど、用途別に最適化された寸法体系があります。
フランジ接続型ボールバルブの寸法は、建築設備の配管設計において最も重要な基準の一つです。ASME B16.10やAPI Spec 6D規格に準拠した面間寸法が標準的に採用されています。
JIS 10Kフランジ寸法対応表
JIS 10K規格は日本の建築設備で最も一般的な圧力クラスで、以下の寸法体系で統一されています。
呼び径 | 面間寸法(L) | フランジ径(D1) | ボルト穴径 |
---|---|---|---|
15A | 102mm | 95mm | M12 |
20A | 112mm | 105mm | M12 |
25A | 112mm | 115mm | M12 |
32A | 140mm | 135mm | M16 |
40A | 150mm | 145mm | M16 |
50A | 152mm | 155mm | M16 |
JIS 20K/ASME Class 300 高圧仕様
高圧配管システムで使用される20K規格では、より厚肉のフランジと長い面間寸法が採用されています。
特殊フランジ接続の寸法考慮事項
建築設備では標準規格以外にも、以下の特殊接続方式が採用される場合があります。
呼び径と面間寸法の対応関係は、配管システムの設計段階で正確に把握しておく必要があります。メーカーや材質により若干の差異があるため、詳細な確認が重要です。
標準呼び径システムの寸法展開
国内建築設備で使用される標準的な呼び径システムでは、以下の寸法進行が基本となっています。
小口径系列(8A~50A)
中口径系列(65A~200A)
大口径系列(250A以上)
大口径ボールバルブは主要な幹線配管や工場設備で使用され、特に重量と設置スペースの配慮が必要です。
これらの大口径バルブでは、電動アクチュエータの併用が一般的で、操作性と安全性の確保が重要になります。
圧力クラスの違いは、ボールバルブの寸法と重量に大きな影響を与えます。建築設備の運用圧力に応じた適切な選定が、システム全体の安全性と経済性を左右します。
10K規格と20K規格の寸法差異
同一呼び径でも圧力クラスが上がると、安全率確保のため寸法が大型化します。
50A(2インチ)での比較例
100A(4インチ)での比較例
高圧仕様(150MPa対応)の特殊寸法
化学プラントや特殊設備で使用される超高圧ボールバルブでは、コンパクト設計と高耐圧性の両立が図られています。
これらの高圧仕様では、3方向切替機能も搭載可能で、複雑な流路制御に対応しています。
温度による寸法変化の考慮
高温環境での使用では、熱膨張による寸法変化を設計段階で考慮する必要があります。
配管設計では、これらの熱膨張を吸収する伸縮継手やベローズ式補償器の設置が推奨されます。
実際の建築現場では、カタログ寸法だけでなく、設置環境や保守性を考慮した寸法選定が重要になります11。経験豊富な設備技術者が重視するポイントを解説します。
狭小スペースでの寸法最適化テクニック
都市部の建築物では、機械室スペースの制約が厳しく、バルブの寸法選定が設計の成否を左右することがあります。
縦型設置での高さ寸法管理
横型設置での幅寸法配慮
特殊設置条件での寸法対応策
建築設備では、標準的でない設置条件に対応する必要が頻繁に発生します。
地下ピット内設置の考慮事項
屋外設置での環境対応
保守性を考慮した寸法余裕の確保
長期運用を前提とした設備では、将来の保守作業を見据えた寸法計画が不可欠です。
コスト最適化のための寸法選定戦略
適切な寸法選定により、初期コストと運用コストの両面で最適化を図ることができます。
これらの実務的な観点を踏まえた寸法選定により、建築設備の品質と経済性の両立が実現できます。