ボールバルブ寸法表一覧と材質選定ガイド

ボールバルブ寸法表一覧と材質選定ガイド

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ボールバルブ寸法表一覧

ボールバルブ寸法表の基本要素
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呼び径と面間寸法

配管接続に必要な基本寸法情報

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材質別仕様

鋳鉄、ステンレス、青銅材の特性比較

圧力クラス規格

JIS10K、20Kなどの圧力等級対応

ボールバルブ材質別寸法一覧表

ボールバルブの材質選定は建築設備の耐久性と安全性に直結する重要な要素です。主要な材質別の寸法特性と適用範囲を詳しく見ていきましょう。

 

鋳鉄製ボールバルブの寸法仕様
鋳鉄製ボールバルブは一般的な建築設備で最も広く使用されており、JIS規格に準拠した標準的な寸法体系を持っています。以下の寸法表は代表的な呼び径での面間寸法を示しています。

  • 15A(1/2B):面間 L = 102mm、高さ H = 84.5mm
  • 25A(1B):面間 L = 112mm、高さ H = 102mm
  • 50A(2B):面間 L = 149mm、高さ H = 129mm
  • 100A(4B):面間 L = 263mm、高さ H = 197.2mm

ステンレス鋼製ボールバルブの寸法特性
ステンレス鋼製(SCS13A、SCS14A)は腐食性環境や食品関連設備での使用に適しており、鋳鉄製と同様の面間寸法を持ちながら、より高い耐圧性能を実現しています。

 

  • SCS13A材:汎用ステンレス鋼、温度範囲-10℃~200℃
  • SCS14A材:高耐食性ステンレス鋼、化学プラント対応
  • フルボア設計:流体抵抗を最小限に抑制

青銅・黄銅製ボールバルブの寸法規格
青銅・黄銅製ボールバルブは小口径配管や給水設備で多用され、コンパクトな寸法設計が特徴です。エコボールシリーズやTボールシリーズなど、用途別に最適化された寸法体系があります。

  • 8A(1/4B):面間 L = 57.5mm
  • 15A(1/2B):面間 L = 63.5mm
  • 25A(1B):面間 L = 78mm
  • 50A(2B):面間 L = 112mm

ボールバルブフランジ接続寸法規格

フランジ接続型ボールバルブの寸法は、建築設備の配管設計において最も重要な基準の一つです。ASME B16.10やAPI Spec 6D規格に準拠した面間寸法が標準的に採用されています。

 

JIS 10Kフランジ寸法対応表
JIS 10K規格は日本の建築設備で最も一般的な圧力クラスで、以下の寸法体系で統一されています。

呼び径 面間寸法(L) フランジ径(D1) ボルト穴径
15A 102mm 95mm M12
20A 112mm 105mm M12
25A 112mm 115mm M12
32A 140mm 135mm M16
40A 150mm 145mm M16
50A 152mm 155mm M16

JIS 20K/ASME Class 300 高圧仕様
高圧配管システムで使用される20K規格では、より厚肉のフランジと長い面間寸法が採用されています。

  • 125A(5B):面間 L = 403mm、高さ H = 502mm
  • 150A(6B):面間 L = 492mm、高さ H = 594mm
  • 200A(8B):面間 L = 594mm、高さ H = 674mm

特殊フランジ接続の寸法考慮事項
建築設備では標準規格以外にも、以下の特殊接続方式が採用される場合があります。

  • ウェハー型接続:薄型設計で狭小スペース対応
  • 溶接接続:高温高圧配管での確実な接続
  • ねじ込み接続:小口径配管での簡易施工

ボールバルブ呼び径と面間寸法対応表

呼び径と面間寸法の対応関係は、配管システムの設計段階で正確に把握しておく必要があります。メーカーや材質により若干の差異があるため、詳細な確認が重要です。

 

標準呼び径システムの寸法展開
国内建築設備で使用される標準的な呼び径システムでは、以下の寸法進行が基本となっています。
小口径系列(8A~50A)

  • 8A(1/4インチ):面間57.5mm、軽量コンパクト設計
  • 10A(3/8インチ):面間63.5mm、給水配管用途
  • 15A(1/2インチ):面間78mm、最も汎用的なサイズ
  • 20A(3/4インチ):面間84mm、住宅設備標準
  • 25A(1インチ):面間112mm、商業施設対応

中口径系列(65A~200A)

  • 65A(2-1/2インチ):面間149mm、H=129mm
  • 80A(3インチ):面間200mm、H=160mm
  • 100A(4インチ):面間263mm、H=197.2mm
  • 150A(6インチ):面間492mm、H=594mm
  • 200A(8インチ):面間594mm、H=674mm

大口径系列(250A以上)
大口径ボールバルブは主要な幹線配管や工場設備で使用され、特に重量と設置スペースの配慮が必要です。

  • 250A(10インチ):面間790mm、質量約200kg
  • 300A(12インチ):面間1013mm、質量約300kg以上

これらの大口径バルブでは、電動アクチュエータの併用が一般的で、操作性と安全性の確保が重要になります。

 

ボールバルブ圧力クラス別寸法比較

圧力クラスの違いは、ボールバルブの寸法と重量に大きな影響を与えます。建築設備の運用圧力に応じた適切な選定が、システム全体の安全性と経済性を左右します。

 

10K規格と20K規格の寸法差異
同一呼び径でも圧力クラスが上がると、安全率確保のため寸法が大型化します。
50A(2インチ)での比較例

  • 10K仕様:面間152mm、フランジ厚20mm、重量約8kg
  • 20K仕様:面間203mm、フランジ厚32mm、重量約15kg

100A(4インチ)での比較例

  • 10K仕様:面間263mm、重量約35kg
  • 20K仕様:面間394mm、重量約65kg

高圧仕様(150MPa対応)の特殊寸法
化学プラントや特殊設備で使用される超高圧ボールバルブでは、コンパクト設計と高耐圧性の両立が図られています。

  • 3/16インチ:最大150MPa対応、面間145mm
  • 3/8インチ:最大150MPa対応、面間166.4mm
  • 1/2インチ:最大150MPa対応、面間199mm

これらの高圧仕様では、3方向切替機能も搭載可能で、複雑な流路制御に対応しています。

 

温度による寸法変化の考慮
高温環境での使用では、熱膨張による寸法変化を設計段階で考慮する必要があります。

  • 常温(20℃)基準寸法
  • 200℃使用時:約0.3%の寸法増加
  • 400℃使用時:約0.7%の寸法増加

配管設計では、これらの熱膨張を吸収する伸縮継手やベローズ式補償器の設置が推奨されます。

 

ボールバルブ設置環境と寸法選定のコツ

実際の建築現場では、カタログ寸法だけでなく、設置環境や保守性を考慮した寸法選定が重要になります11。経験豊富な設備技術者が重視するポイントを解説します。

 

狭小スペースでの寸法最適化テクニック
都市部の建築物では、機械室スペースの制約が厳しく、バルブの寸法選定が設計の成否を左右することがあります。
縦型設置での高さ寸法管理

  • 天井高さから配管、保温材厚み、点検スペースを差し引いた有効高さの算出
  • ハンドル操作時の回転半径(標準90°回転)の確保
  • 将来の保守交換作業を考慮した上方クリアランス

横型設置での幅寸法配慮

  • フランジボルトの締付け作業スペース(各方向最低100mm)
  • 隣接配管やダクトとの干渉回避
  • 保温工事後の最終寸法での設計確認

特殊設置条件での寸法対応策
建築設備では、標準的でない設置条件に対応する必要が頻繁に発生します。
地下ピット内設置の考慮事項

  • 防水性能の確保(IP等級の確認)
  • 地下水位上昇時の浮力対策
  • 点検用開口部からの搬入可能寸法

屋外設置での環境対応

  • 凍結防止のための保温厚み追加
  • 風荷重に対する配管サポート強化
  • 紫外線対策のためのカバー設置スペース

保守性を考慮した寸法余裕の確保
長期運用を前提とした設備では、将来の保守作業を見据えた寸法計画が不可欠です。

  • バルブ交換時の既設配管切断・溶接作業スペース
  • 定期点検時の分解組立作業エリア
  • 緊急時の迅速な部品交換を可能にする動線確保

コスト最適化のための寸法選定戦略
適切な寸法選定により、初期コストと運用コストの両面で最適化を図ることができます。

  • 過大仕様を避けた適正圧力クラスの選定
  • 標準品流用によるコストダウン
  • 将来の設備増強時の配管サイズアップ対応

これらの実務的な観点を踏まえた寸法選定により、建築設備の品質と経済性の両立が実現できます。