
TS継手ソケットは配管接続の基本となる継手で、同径ソケットと異径ソケットに分類されます。JIS K 6743規格に基づく寸法は以下の通りです。
同径ソケットの主要寸法
長さの許容差は±4mmと規定されており、施工時の余裕を考慮した設計となっています。外径の許容差は平均外径を基準とし、各呼び径で詳細に規定されています。
異径ソケットの特殊寸法
異径ソケットは異なる管径を接続する際に使用され、20×13、25×13、25×20などの組み合わせがあります。これらは配管システムの分岐や径変更箇所で重要な役割を果たします。
TSチーズ継手は配管の分岐に使用される重要な継手で、T字型の形状が特徴です。寸法規格は本管部分と分岐部分の2つの要素で構成されています。
標準チーズ継手の寸法構成
高さの許容差は+5mm/-1mmと規定されており、施工時の調整幅を確保しています。この許容差により、現場での微調整が可能となり、配管の精度向上に寄与します。
異径チーズの特殊寸法
20×13、25×13、25×20などの異径チーズは、本管と分岐管のサイズが異なる場合に使用されます。これらの継手は配管システムの柔軟性を高め、設計の自由度を向上させる重要な部材です。
TS継手には用途に応じて多様な種類があり、それぞれに最適化された寸法設計が施されています。
主要TS継手の種類と寸法範囲
継手種類 | 記号 | 呼び径範囲 | 主な用途 | 耐圧性能 |
---|---|---|---|---|
ソケット | TS-S | 13~200mm | 直管接続 | 0.75MPa |
チーズ | TS-T | 13~150mm | 分岐接続 | 0.75MPa |
エルボ | TS-L | 13~150mm | 方向転換 | 0.75MPa |
キャップ | CAP | 13~150mm | 管端閉鎖 | 0.75MPa |
バルブソケットとユニオンソケット
バルブソケット(VS)は弁類との接続に特化した継手で、ねじ部がJIS B0203のテーパおねじに準拠しています。ユニオンソケット(U・S)は配管の分解を容易にする構造を持ち、メンテナンス性を重視した設計です。
これらの特殊継手は、一般的なソケットでは対応できない特殊な接続要求に応える重要な部材として、配管システム全体の機能性と保守性を向上させています。
配管工事でのTS継手選定には、寸法精度だけでなく施工性や将来のメンテナンス性も考慮する必要があります11。
寸法選定の基本原則
配管設計では、使用する管材の呼び径に対応したTS継手を選定することが基本ですが、現場の制約条件も重要な要素となります。特に既存配管との接続では、寸法の適合性だけでなく、施工スペースや作業性も十分に検討する必要があります。
材質と使用環境の適合性
TS継手は水道用硬質ポリ塩化ビニル管継手として設計されており、使用温度は60℃、使用圧力は0.75MPaが上限です。この範囲を超える用途では、材質や継手種類の変更を検討する必要があります。
接続管種との整合性
VP管(塩ビ管)やHIVP管との接続に最適化されたTS継手は、管材の外径精度と継手の受口寸法の適合性が重要です。管材の製造公差と継手の受け入れ公差を理解し、適切な組み合わせを選定することで、確実な接続と優れた密封性能を実現できます。
TS継手の施工では、適切な締付けトルクの管理が継手性能の発揮に直結します。過度な締付けは継手の損傷や管材の変形を招く可能性があります。
標準締付けトルクの遵守
各継手メーカーが規定する標準締付けトルクを厳格に守ることが、長期的な配管システムの信頼性確保につながります。一般的に、呼び径が大きくなるほど締付けトルクも増加しますが、材質の特性を考慮した適正値の設定が重要です。
施工時の注意事項と品質確認
長期性能の維持方法
配管システムの長期性能維持には、定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠です。特にTS継手部分は応力集中が発生しやすい箇所のため、目視による変形確認や漏れの早期発見が重要となります。
また、温度変化による熱膨張・収縮の影響を考慮し、適切な伸縮継手の配置や支持間隔の調整により、継手部への過度な応力集中を防ぐことができます。
現場での施工品質向上には、作業者の技能向上と規格への理解深化が重要であり、継続的な教育と訓練により、配管工事全体の品質レベル向上を図ることが可能です。