小ネジ規格全解説:建築現場で必須となる基礎知識から材質選定

小ネジ規格全解説:建築現場で必須となる基礎知識から材質選定

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小ネジ規格基礎知識

小ネジ規格の基本構成要素
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サイズ表記方法

M3、M6×20などの表記でねじ径と長さを明示

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ピッチと山数

並目と細目の違いと適用場面の使い分け

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頭部形状

なべ頭、皿頭、丸皿頭の特徴と用途別選定

小ネジの規格は建築現場において最も基本的でありながら重要な知識の一つです。JIS規格に基づく小ネジの表記方法から実際の選定まで、現場での実用性を重視して解説します。

 

メートルねじ(Mねじ) が日本の建築現場では主流となっており、M3からM10までのサイズが一般的に使用されています。表記方法は「M6×20」のように、Mの後の数字がねじの呼び径(mm)、×以降が長さ(mm)を示します。
ピッチ表記の理解 も重要な要素です。一般用メートルねじでは並目と細目があり、例えばM6の場合、並目は1.0mm、細目は0.75mmのピッチとなります。建築現場では通常並目を使用しますが、精密な調整が必要な場合は細目を選択することもあります。
小ネジの 強度区分 は材質と密接に関係しており、4.8、8.8、10.9などの表記で示されます。最初の数字×100が引張強度(N/mm²)、小数点以下の数字×10が降伏強度との比率を表しています。

小ネジの呼び径とピッチ規格詳細

JIS B 0205-2による一般メートルねじの基準寸法について詳細を説明します。
標準的な呼び径とピッチの組み合わせ は以下の通りです。

  • M2:ピッチ0.4mm(並目)、0.25mm(細目)
  • M3:ピッチ0.5mm(並目)、0.35mm(細目)
  • M4:ピッチ0.7mm(並目)、0.5mm(細目)
  • M5:ピッチ0.8mm(並目)、0.5mm(細目)
  • M6:ピッチ1.0mm(並目)、0.75mm(細目)
  • M8:ピッチ1.25mm(並目)、1.0mm(細目)
  • M10:ピッチ1.5mm(並目)、1.25mm(細目)

建築現場では M3からM8のサイズ が最も頻繁に使用されます。特にM4とM6は汎用性が高く、様々な用途に対応可能です。
ピッチゲージとノギスによる確認方法 も現場では重要な技能です。既存のねじに合わせて追加購入する際、正確な規格確認が必要となるためです。特に海外製品との組み合わせでは、インチねじ(UNCやUNF)との混同を避けるため、必ず確認が必要です。

小ネジの頭部形状と穴規格の違い

小ネジの頭部形状は用途と美観に大きく影響するため、適切な選択が重要です。
十字穴付きなべ小ねじ は最も一般的で、JIS B 1111で規格化されています。頭部が円形で高さがあり、しっかりとした締付けが可能です。建築現場では電気設備や金具の取り付けに多用されます。
十字穴付き皿小ねじ は頭部を平面と面一にしたい場合に使用します。タイプ1とタイプ2があり、皿穴の角度が異なります。内装工事では見た目を重視する箇所でよく採用されます。
十字穴の規格 にはH形とZ形があり、H形は従来のプラスドライバー、Z形はより高トルクに対応したポジドライブ対応となっています。Z形は滑りにくく、電動工具での作業効率が向上します。
バインド小ねじ という特殊な頭部形状もあり、頭部の外周に突起があることで緩み止め効果が期待できます。振動が多い環境での使用に適しています。
意外に知られていない点として、頭部の高さ寸法 も規格で細かく定められており、例えばM6のなべ小ねじでは頭部高さが2.0mmとなっています。この寸法は機器内部での干渉回避などを検討する際に重要となります。

小ネジの材質規格と表面処理選定

建築現場における小ネジの材質選定は、使用環境と耐久性を考慮した重要な要素です。

 

一般構造用鋼 (SS材)が最も安価で汎用的ですが、防錆処理が必要です。建築現場では亜鉛めっき処理(ユニクロ)が標準的で、白色の外観が特徴です。
ステンレス では、SUS304とSUS316の使い分けが重要です。SUS304は一般的な屋内用途、SUS316は海岸部や化学物質に触れる環境で使用します。ステンレス製は高価ですが、長期的なメンテナンス性を考慮すると経済的な場合があります。
表面処理の種類 も多様で、用途に応じた選定が必要です。

  • 亜鉛めっき(ユニクロ):最も一般的、屋内使用に適する
  • 亜鉛めっき+クロメート処理:耐食性向上、黄色または緑色の外観
  • ニッケルめっき:美観性重視、装飾用途に適する
  • 黒染め処理:黒色の外観、機械部品によく使用

建築現場で意外に見落とされがちなのが 電食(ガルバニック腐食) の問題です。異なる金属同士の接触により腐食が促進されるため、アルミ材とスチール系ねじの組み合わせは避けるべきです。

 

小ネジの強度等級と荷重計算方法

構造計算において小ネジの強度等級の理解は不可欠です。
強度区分の見方 は以下の通りです。

  • 4.8級:引張強度400N/mm²、降伏強度320N/mm²
  • 8.8級:引張強度800N/mm²、降伏強度640N/mm²
  • 10.9級:引張強度1000N/mm²、降伏強度900N/mm²

許容荷重の計算 では、有効断面積を基準とします。例えばM6の場合、有効断面積は約20.1mm²となり、4.8級であれば理論的な引張耐力は約8kNとなります。ただし、実際の設計では安全率を考慮し、この値の1/3程度を許容値とします。
せん断荷重 についても検討が必要で、引張荷重の約60%程度が目安となります。建築現場では取り付け金具の固定において、この値が重要な判断基準となります。
意外な盲点として、トルク管理 があります。過度な締付けは破断の原因となり、逆に不足すると接合部の信頼性が低下します。一般的にM6の場合、5-8N・mが適正トルク範囲とされています。

 

小ネジの特殊規格と海外規格対応

国際化が進む建築現場では、海外規格のねじとの対応も重要な知識となっています。

 

インチねじ(UNC/UNF) との識別方法は、ピッチゲージでの確認が確実です。メートルねじのピッチはmm単位、インチねじは1インチあたりの山数(TPI:Threads Per Inch)で表記されます。例えば1/4"-20のねじは、1/4インチ径で1インチに20山の意味です。
建築現場での混在問題 として、海外製の機器や金具に付属するねじがインチ規格の場合があります。無理にメートルねじで代用すると、ねじ山の破損や締付け不良の原因となります。
特殊ピッチのねじ も存在し、標準ピッチ以外の組み合わせが必要な場合は特注対応となります。薄板への取り付けなど、特殊な用途で使用されることがあります。
建築現場で見落とされがちな点として、左ねじ の存在があります。回転機械の軸など、通常と逆回転する部位では左ねじが使用され、通常のねじとは逆方向に回転させて締付けます。

 

規格外ねじ への対応として、現場加工による対処法もありますが、強度や精度の面で問題が生じる可能性があります。できる限り正規品の調達を心がけることが重要です。
この記事で解説した小ネジ規格の知識を活用することで、建築現場での適切な部材選定と施工品質の向上につながります。規格の理解は安全で信頼性の高い建築物の実現のための基礎知識といえるでしょう。