修繕積立金管理費相場から適正額と築年数別見直しポイントを解説

修繕積立金管理費相場から適正額と築年数別見直しポイントを解説

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修繕積立金管理費の相場と適正額

この記事でわかる3つのポイント
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最新の相場データ

2025年の最新データに基づく修繕積立金と管理費の平均額と㎡単価

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築年数別の違い

築年数ごとの適正な積立金額と値上げが発生するタイミング

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見直しと削減方法

長期修繕計画の見直しポイントとコスト削減の具体的手法

修繕積立金と管理費の最新相場データ

2025年の最新データによると、東京都内のマンションにおける修繕積立金と管理費の合計は月額約3万円が相場となっています。内訳を見ると、平均管理費は月額15,508円(㎡単価242円)、平均修繕積立金は月額14,715円(㎡単価225円)です。
参考)【2025年最新】管理費・修繕積立金の目安

国土交通省の調査では、1㎡当たりの管理費は平均216円(前年度比2.3%上昇)、修繕積立金は205円(同5.5%上昇)となっており、合計421円という結果が報告されています。近年の人件費高騰や物価上昇の影響を受け、修繕積立金・管理費ともに増額傾向が続いています。
参考)近年注目高まる「修繕積立金・管理費」動向をLIFULL HO…

全国平均で見ると、管理費の平均は1戸当たり月額10,862円、修繕積立金の平均は12,268円となっており、地域や物件タイプによって大きな差があることがわかります。首都圏と地方では物価や人件費の違いから、相場に開きが生じるのが実情です。
参考)【2025年最新版】マンション修繕費の相場と適正価格が丸わか…

修繕積立金の築年数別相場と変動要因

築年数によって修繕積立金は大きく変動します。新築から築10年までは月額5,000〜10,000円(㎡単価約100〜150円)が目安ですが、築10〜20年になると10,000〜15,000円(㎡単価約150〜200円)に上昇します。​
築20〜30年では12,000〜18,000円(㎡単価約200〜250円)、築30年以上になると15,000円以上(㎡単価約250円〜)が必要になる傾向があります。2025年に掲載された築11〜20年物件の平均修繕積立金は、15年前の2010年と比べて月額3,881〜5,023円上昇しています。​
修繕積立金が増額する主な理由は、大規模修繕工事の実施周期(12〜15年ごと)に合わせた資金確保、建築資材価格や人件費の高騰、分譲時の低い設定額による不足の発覚などです。段階増額積立方式を採用しているマンションでは、計画当初から最終年までに平均約3.58倍、一部事例では約5.3倍もの値上げが行われています。
参考)築年数とともに上がる?マンション修繕積立金の値上げ理由と対策…

管理費の相場と物件規模による違い

管理費は物件の規模や形態によって相場が異なります。単棟型マンションの場合、駐車場使用料からの充当がない場合の平均は月額11,243円、充当がある場合は10,996円となっています。
参考)マンション管理費と修繕積立金の相場とは?違いや節約方法も併せ…

一方、団地型マンションでは駐車場使用料からの充当がない場合の平均が9,737円、充当がある場合は8,419円と、単棟型より安価な傾向があります。これは団地型の方がスケールメリットを活かした効率的な管理が可能なためです。
参考)マンションの修繕積立金とは?相場や管理費との違い、値上げの可…

総戸数規模別では、20戸以下の小規模マンションでは1㎡当たり213円と高めですが、31〜50戸では179円、101〜150戸では174円と、規模が大きくなるほど㎡単価は低下する傾向があります。管理費は築25年までは概ね築年数が進むにつれて安価になりますが、築30〜35年ではやや高くなる傾向も見られます。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000679.000033058.html

修繕積立金の適正額を計算する方法

修繕積立金の適正額を算出するには、国土交通省のガイドラインに基づく計算方法があります。計算式は「(専有面積×㎡単価)+機械式駐車場がある場合の加算額=月額修繕積立金」となります。
参考)マンション修繕積立金の残高目安はどれくらいになる?計算方法も…

例えば、15階建て200戸、総専有床面積14,000㎡、築3年のマンションの場合、1戸あたりの月額は「(70㎡×271円)+6,235円=25,205円」となります。この場合の修繕積立金の残高目安は「25,205円×200戸×36カ月=約1億8,147万円」と算出されます。​
国土交通省のガイドラインでは、計画期間全体における月あたりの修繕積立金の平均額(D)を算出し、「0.6×D≦最低額」かつ「1.1×D≧最高額」という範囲内に収めることを推奨しています。ただし、工事費高騰等を踏まえた見直しで大幅な引上げが必要な場合は、この制限に縛られるものではありません。
参考)修繕積立金とは 横浜市

長期修繕計画の見直しで費用を最適化するポイント

長期修繕計画は5年ごとの見直しが国土交通省のガイドラインで推奨されています。見直しの主なポイントは、大規模修繕工事の実施周期、サッシ(窓枠)の更新、機械式駐車場の更新の3つです。
参考)長期修繕計画書、見直しポイント3選 ~長期修繕計画書をカスタ…

大規模修繕工事の周期は、従来の12年から改修工法や資材の改良により15年周期に延ばせるケースが増えています。これにより、修繕積立金の負担を軽減できる可能性があります。ただし、実際の建物の状況により周期を伸ばせない場合もあるため、建物診断調査の結果をもとに判断することが必要です。​
見直しを誰が行うかについては、管理組合自身で行う、管理会社に依頼する、外部の専門家に依頼するという3つの選択肢があります。管理会社と協同して見直すことで、管理会社保有のデータを活用してコストダウンでき、見直し後の計画も管理会社による運用がスムーズになるメリットがあります。
参考)長期修繕計画見直しの5つのポイント - マンション管理組合の…

修繕計画を見直す際には、「現状分析(劣化状況の把握)」「優先順位の設定」「修繕タイミングの最適化」の3つがポイントとなります。計画期間は30年以上の超長期で作成し、徴収方式は段階増額方式ではなく均等積立方式にすることで、将来的な急激な値上げを回避できます。
参考)マンション管理費節約 修繕積立金不足 長期修繕計画見直し -…

さくら事務所|長期修繕計画見直しの5つのポイント
長期修繕計画の見直し手法について、管理会社との協同方式や徴収方式の選択など具体的なアプローチが解説されています。

 

管理費を削減する実践的な方法

管理費削減は「コストの見直し」「業務の効率化」「計画の適正化」の3つの観点から検討できます。最も効果が大きいのがエネルギーコストの見直しで、共用部の照明をLEDに交換することで電気料金を大幅に削減できます。初期費用はかかりますが長期的に見ると大きなコストメリットがあります。
参考)【プロが解説】マンション管理費を削減する5つの方法と見直しポ…

メンテナンス契約の効率化も重要なポイントです。エレベーターや給排水設備などの点検契約を再評価し、点検頻度やサービス内容がマンションの規模や状態に合っているか確認しましょう。メンテナンス業者と長期契約を結ぶことで、割引交渉ができる場合もあります。​
管理会社に支払う費用は管理費の中で大きな割合を占めるため、現在の管理会社との契約内容を精査し、他社とのサービス内容や費用を比較検討することが有効です。相見積もりを実施し、費用対効果の高い管理会社を選ぶことで、年間数十万円単位の削減が可能になるケースもあります。​
住民による清掃日を設定することで、清掃費の節約と住民のコスト意識向上の両面で効果が期待できます。管理組合が主体となり、住民への説明会や周知を通じて管理費や修繕積立金の使い道を共有し、コスト削減に対する理解を深めてもらうことが、持続的な費用適正化につながります。​

タワーマンション特有の修繕積立金問題

タワーマンションでは一般的なマンションとは異なる特有の問題があります。足場を仮設できないため特殊な工法が必要となり、設備が特殊で修理・メンテナンス費用がかさむことから、修繕費が高額になりやすい傾向があります。
参考)タワマンの修繕費の相場を解説!30年後の修繕積立金はどうなる…

実際の事例では、都内のタワーマンションで修繕積立金が現行の2.5倍に値上げされたケース、港区のタワーマンションでは㎡当たり約80円から620円へ、実に8倍近い値上げが行われた例も報告されています。これは築20年を経過し、大規模修繕に備えるための措置でした。
参考)タワマン財政赤字!修繕積立金不足で大規模修繕できない!最大値…

タワーマンションの修繕積立金が30年後にさらに値上がりする理由として、大型設備の交換・更新があります。20階まで対応しているエレベーターの交換費用は1台当たり2,500万円程度ですが、40〜50階になると1台1億5,000万円程度になることもあり、修繕積立金が足りなくなる可能性が高いです。​
国土交通省の長期修繕計画ガイドラインには、ヘリポートや免震装置などタワーマンション特有の修繕工事の記載がないため、マンションの長期修繕計画にこれらが入っていない状態で修繕積立金が設定されている場合、将来大幅に値上げされる可能性があります。タワーマンションの購入や管理を検討する際は、これらの特殊事情を十分に考慮する必要があります。​
不動産買取センター|タワマン財政赤字!修繕積立金不足で大規模修繕できない!
タワーマンションの修繕積立金問題について、具体的な値上げ事例と不足額の実態が詳細に解説されています。