

色見本で選んだチャコールブルーが、仕上がると3トーン明るく見えて施主クレームになります。
スーパーシリコンルーフペイント(関西ペイント)の色展開は、大きく「標準色」「提案色」「特別色」「特注色(調色品)」の4カテゴリに分かれています。
まず標準色・提案色ですが、現行のラインナップでは金属系(トタン・カラートタン)と窯業系(新生瓦・セメント瓦)それぞれに対応したカラーチップが用意されています。提案色として公開されているカラーを列挙すると以下のとおりです。
| 系統 | 色名の例 |
|---|---|
| ブルー系 | ミッドナイトブルー・チャコールブルー・ナスコン・ブルー・ナイスブルー |
| グリーン系 | ネオモスグリーン・モスグリーン・フレッシュグリーン・ミストグリーン |
| ブラウン・レッド系 | モルトブラウン・コーヒーブラウン・チョコレート・ローヤルレッド・新ブラウン・セピア・ビスタブラウン・マルーン・ビーバーレッド |
| ブラック・グレー系 | ネオブラック・ジェットブラック・カーボングレー・グレー・スチールグレー・グラニットグレー |
| ライト系 | イエローオーカー・クリーム・ホワイト |
計27色前後の提案色が用意されており、金属系・窯業系で常備色(在庫色)と調色品が混在しています。つまり標準色がすべてそのまま取り寄せられるわけではなく、一部カラー(「新クリーム」など)は調色品対応となり、通常よりリードタイムと費用がかかります。これが原則です。
さらに、日塗工(日本塗料工業会)の色番号を指定した特注色(淡彩色・濃彩色)にも対応しています。施主が「日塗工の色見本帳でこの番号の色にしたい」という場合でも対応できる点が、この製品の強みのひとつです。
参考として、公式の標準色カラーチャートPDFも確認しておくとよいでしょう。
スーパーシリコンルーフペイント標準色PDF(関西ペイント公式)。色名・色番・艶の区分が一覧で確認できます。
https://asset.kansai.co.jp/uploads/products/decorative/E004.pdf
現場でよく起きるのが「色見本で選んだ色と仕上がりが違う」というトラブルです。これは製品の品質問題ではなく、色の見え方に関わる物理的・光学的な理由から生じます。原因を整理しておきましょう。
① 色見本帳は「紙」に塗装したもの
関西ペイントの公式色見本帳には明記されています。「この色見本帳は紙に塗装しているため、実際の色調とは異なる場合があります」。
スレート板やトタンなどの屋根素材は紙とは吸い込み性・表面の平滑度が大きく異なります。同じ塗料を塗っても、下地の素材が異なれば発色が変わるのです。艶の出方でも差が生じるため、色見本帳の光沢感だけを信じると失敗につながります。
② 面積効果による色の膨張・収縮
人間の目には「面積効果」と呼ばれる視覚的特性があります。明るい色は面積が広くなるほどより明るく・鮮やかに見え、暗い色は面積が広くなるほどより重く・濃く見えます。名刺サイズほどの色見本チップで選んだ色が、屋根全体(平均的な住宅で30〜50㎡)に広がると全く違う印象になることは珍しくありません。
「選んだ色より2〜3トーン明るく見えた」という声が現場でも多数あります。これは使えそうな知識です。
③ 屋外の光源による見え方の差
色見本は屋内の蛍光灯下で確認することが多いですが、実際の屋根は太陽光の下に置かれます。光源の種類が変わると色の見え方は大きく変化します。同じ「グレー」でも、蛍光灯では青みがかって見え、直射日光下では黄みを帯びて見えることがあります。
これらの原因をふまえると、色の確認はA4サイズ以上の試し塗り板を実際の屋根に当て、屋外の自然光のもとで行うことが大前提です。
スーパーシリコンルーフペイントを使用する施工店向け情報として、ペイントショップ(株式会社堀江塗料)の仕様ページも参考になります。
https://www.paint-eshop.com/yane/rufupaint-kawara.php
スーパーシリコンルーフペイントが他の屋根用塗料と異なる大きな特徴は、金属系・窯業系の両方に対応していることです。しかし、色見本の活用においては、この素材の違いが直接的な影響を及ぼします。
金属系(カラートタン・トタン)に使用する場合と、窯業系(新生瓦・スレート・セメント瓦)に使用する場合では、表面テクスチャーと吸い込み性が大きく異なります。特に窯業系素材は多孔質なため塗料を吸い込みやすく、乾燥後に艶が落ちて色が若干くすんで見えることがあります。
一方、金属系素材は吸い込みが少なくツルッとした仕上がりになりやすいため、同じ色名でも窯業系と比べて発色が鮮やかになる傾向があります。同じ「ナイスブルー」でも、スレート屋根とトタン屋根では仕上がりの印象が変わるということです。
関西ペイントの公式色見本帳では、金属系用と窯業系用のカラーサンプルを区別して掲載しています。つまり素材ごとに確認することが条件です。現場での混用・誤確認が起きないよう、発注前に必ず「どの素材用の色見本を参照したか」をチェックしてください。
また、洋風コンクリート瓦(モニエル瓦)と粘土瓦(いぶし瓦・釉薬瓦)には本製品を使用できない点も重要です。使用可否の確認が先決になります。
施主からの希望で「カタログにない色にしたい」という要望が出ることがあります。スーパーシリコンルーフペイントは、日塗工の色番号を指定した調色対応が可能ですが、いくつかの落とし穴があります。
まず価格についてです。淡彩色・濃彩色・特注色では調色費が加算されます。濃彩色(赤系・黄系など特殊顔料が必要な色)は、標準色と比べて単価が最大2倍以上になるケースもあると言われています。日本塗料工業会の解説によると、赤系濃彩の材料費は淡彩の基準値に対して2.25倍のコストになる事例も報告されています。見積もり段階で「標準色と同じ値段」と思って進めると、精算時に想定外の追加費用が発生します。
次に納期です。常備色は基本的にメーカー在庫があるため即納に近い対応が可能ですが、調色品は工場での調色作業が必要なため、通常より数日〜1週間程度のリードタイムが生じます。現場の工程管理に直結するため、受注後すぐに色を確定させる習慣をつけておきたいところです。
さらに調色品の注意点として、「同一缶ロットの差」があります。複数缶を発注する場合、できる限り同一ロットで揃えることが推奨されます。ロットが異なると微妙な色差(メタメリズム)が生じることがあり、大面積の屋根で色ムラのように見えてしまうリスクがあります。
日本塗料工業会が発行する「塗料用標準色」の最新版(36版)は、調色の基準として業界全体で活用されています。
塗料用標準色の詳細は日本塗料工業会の公式ページで確認できます。
https://www.toryo.or.jp/jp/color/standard/2024P.html
屋根塗装における色選びは美観だけの話ではありません。選んだ色が建物の熱環境と耐候性に直接影響します。これは見落とされがちな重要な要素です。
スーパーシリコンルーフペイントはアクリルシリコン樹脂を使用した高耐候性塗料で、期待耐久年数は約8年とされています。ただし耐候性(色褪せのしにくさ)は色の系統によっても差があります。
一般的に、赤系・黄系の鮮やかな色ほど紫外線による退色が早い傾向があります。ブラック・グレー・ブラウン系は退色が比較的目立ちにくいため、長期間のメンテナンスを考えると実用的な選択になります。
一方で、黒・濃いブラウンなど暗色系を選ぶと夏場の屋根表面温度が上昇しやすいという問題があります。太陽光を反射する率(日射反射率)は、白に近い色ほど高く、黒に近い色ほど低くなります。例えば屋根の表面温度は、黒と白では真夏に20〜30℃の差が生じることもあります。真夏の炎天下で建物2階の室温が3〜5℃変わると言われており、光熱費に換算すると長期的なコスト差になります。
施主に暗色系(ジェットブラック・ネオブラック・チャコールブルーなど)を提案する際は、遮熱機能に特化した塗料(「アレスダイナミックルーフ遮熱」など)と比較検討できるよう、選択肢を示しておくとトラブル防止につながります。色見本だけでなく、日射反射率のデータも一緒に提示するのが理想的です。なお、スーパーシリコンルーフペイント自体に遮熱機能は搭載されていないため、遮熱効果を求める場合は別途遮熱タイプの製品との比較が必要です。
遮熱塗料と通常塗料の色の関係については、関西ペイントのカタログに日射反射率データが掲載されています。
https://www.kansai.co.jp/alesdynamic/pdf/951.pdf
現場での色見本の使い方には、業界内でもまだ浸透しきっていない実践的なポイントがあります。これを知らないと、施工後に「こんな色じゃなかった」というクレーム対応に追われることになりかねません。
手順①:A4以上の見本板を用意する
名刺サイズの色見本チップは面積効果の影響を強く受けます。建築業者が施主に色を提示する際は、A4サイズ(21cm×30cm)以上の見本板を用意することが推奨されています。これだけでも「思ったより明るかった」「思ったより暗かった」というギャップを大きく減らせます。
手順②:屋外・自然光下で確認する
屋内の照明下では色の見え方が変わります。見本板は必ず屋外の自然光のもとで確認します。晴れた日の午前〜午後の時間帯に合わせて複数回確認するのが理想的です。
手順③:施主との合意を書面で残す
色の確認後、施主のサインをもらった「色確認書(仕様確認書)」を作成することが、クレーム防止の最大の手段です。「○○色で合意した」という書面があれば、仮に施主の記憶と仕上がりに差があっても、根拠を持って説明できます。「このような対応を事前にするかしないかで、完工後の対応コストが大きく変わります。
手順④:複数缶は同一ロット確認
調色品を複数缶注文する際には、注文時に「同一ロット対応を依頼する」旨を伝えておきましょう。通常は可能な範囲で対応してもらえますが、大量発注や人気色では分けて製造されることがあります。ロット差による色ムラが原因でクレームが起きた事例もあるため、事前に確認しておくことが条件です。
手順⑤:縁切り忘れに注意
色の話とは少しずれますが、施工の質がクレームにつながる重要ポイントとして:新生瓦・スレートへの塗装後は縁切りが必要です。上下の瓦が塗料で接着してしまうと結露水の通気ができなくなり、腐食・漏水につながります。色選びが完璧でも施工手順の見落としがあると、クレームは避けられません。
色決定の流れをまとめると「見本板の準備 → 屋外確認 → 書面合意 → 同ロット発注 → 施工仕様の確認」の順です。この流れが基本です。