誘導電動機トルク公式と回転速度計算法

誘導電動機トルク公式と回転速度計算法

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誘導電動機トルク公式

📊 誘導電動機の基本トルク公式
基本公式

トルクT[N・m]は出力P[W]を回転角速度ω[rad/s]で除算して求める

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滑りとの関係

滑りsが一定ならトルクは電圧の2乗に比例する

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二次入力との関係

同期ワット(二次入力)からトルク特性を計算可能

誘導電動機のトルクを求める基本公式は T=PoωT = \frac{P_o}{\omega}T=ωPo [N・m] です。ここで PoP_oPo は電動機の出力[W]、ω\omegaω は回転角速度[rad/s]を表します。回転角速度は回転速度N[min1^{-1}−1]を用いて ω=2πN60\omega = \frac{2\pi N}{60}ω=602πN と表現できるため、トルクの式は T=60Po2πN=30PoπNT = \frac{60P_o}{2\pi N} = \frac{30P_o}{\pi N}T=2πN60Po=πN30Po とも書けます。
参考)https://e-sysnet.com/%E4%B8%89%E7%9B%B8%E8%AA%98%E5%B0%8E%E9%9B%BB%E5%8B%95%E6%A9%9F%E3%81%AE%E7%89%B9%E6%80%A7/

不動産施設の設備管理において、誘導電動機は空調設備やエレベーター、給排水ポンプなどに広く使用されています。適切なトルク計算により、必要な電動機容量を正確に見積もることができます。
参考)https://kousyou.synology.me/mecha12.html

電動機の回転速度Nは、同期速度NsN_sNsと滑りsを用いて N=Ns(1s)=120fp(1s)N = N_s(1-s) = \frac{120f}{p}(1-s)N=Ns(1−s)=p120f(1−s) で計算されます。ここでfは電源周波数[Hz]、pは極数です。
参考)https://kikai-maschine.com/2022/08/13/induction-calculation/

誘導電動機トルクの詳細計算式

 

 

 

より詳細なトルク計算には、誘導電動機の等価回路を用いた公式が必要です。滑りsを含む完全な式は以下のようになります:​
T=3KV12r2s(r1+r2s)2+(x1+x2)2T = 3K\frac{V_1^2\frac{r_2'}{s}}{\left(r_1+\frac{r_2'}{s}\right)^2+(x_1+x_2')^2}T=3K(r1+sr2′)2+(x1+x2′)2V12sr2′
この式において、V1V_1V1は一次電圧[V]、r1r_1r1は一次抵抗[Ω]、r2r_2'r2′は一次側換算した二次抵抗[Ω]、x1x_1x1とx2x_2'x2′はそれぞれ一次と二次の漏れリアクタンス[Ω]、Kは定数です。この公式から、滑りsが一定であれば、トルクは電圧の2乗に比例することがわかります。​
等価回路を用いた解析では、二次側の抵抗をr2s\frac{r_2'}{s}sr2′として表現します。これにより静止時の変圧器と同様の扱いが可能となり、計算が簡略化されます。
参考)https://e-sysnet.com/%E4%B8%89%E7%9B%B8%E8%AA%98%E5%B0%8E%E9%9B%BB%E5%8B%95%E6%A9%9F%E3%81%AE%E7%90%86%E8%AB%96%E3%81%A8%E7%AD%89%E4%BE%A1%E5%9B%9E%E8%B7%AF/

誘導電動機の二次入力と同期ワット

二次入力P2P_2P2(同期ワット)は、トルク計算において重要な概念です。二次入力は同期速度で回転していると仮定したときの出力電力を表し、P2=2πNs60TP_2 = 2\pi\frac{N_s}{60}TP2=2π60NsTで計算されます。​
二次入力、二次銅損Pc2P_{c2}Pc2、機械出力PoP_oPoの間には、P2:Pc2:Po=1:s:(1s)P_2 : P_{c2} : P_o = 1 : s : (1-s)P2:Pc2:Po=1:s:(1−s)の関係が成立します。この関係式を用いることで、一つの値から他の値を容易に導出できます。​
不動産設備における電動機選定では、定格出力だけでなく始動トルクや最大トルクも考慮する必要があります。始動トルクは滑りs=1のときのトルクであり、始動電流とともに確認すべき重要なパラメータです。
参考)https://d-monoweb.com/blog/starting-torque-current/

電験王:三相誘導電動機のトルク計算問題の詳細解説
定格出力とトルクの関係を実際の計算例とともに解説した権威性の高い資料です。

 

誘導電動機の滑りと回転速度の関係

滑りsは誘導電動機の最も重要な特性パラメータの一つです。滑りは s=NsNNss = \frac{N_s - N}{N_s}s=NsNs−N で定義され、同期速度NsN_sNsと実際の回転速度Nの差を同期速度で正規化した値です。
参考)https://denken.joho.info/kikai/sanso-yudo-dendouki-suberi-shiki/

三相誘導電動機は原理上、必ず同期速度よりも遅く回転します。これは回転子に誘導起電力を発生させるために、回転磁界と回転子の間に速度差が必要だからです。一般的な運転状態では滑りは3~5%程度であり、0参考)https://www.japan-ems.jp/post-276/

滑り周波数f2f_2f2は、二次側(回転子)に発生する周波数で、一次側周波数f1f_1f1と滑りsを用いてf2=sf1f_2 = sf_1f2=sf1で計算されます。この値は回転子における電磁現象の理解に重要です。
参考)https://denken-ou.com/kikair5-2-15/

電験超入門速報:三相誘導電動機の滑り計算
滑りの原理と実際の計算例を初心者にもわかりやすく解説しています。

 

誘導電動機の比例推移とトルク制御

比例推移は巻線形誘導電動機のトルク特性制御において重要な概念です。二次回路の抵抗r2r_2'r2′をm倍にすると、同じトルクを発生する滑りもm倍になります。
参考)https://denken-ou.com/kikair6-2-3/

この関係は r2s1=mr2ms1=r2+Rss2\frac{r_2'}{s_1} = \frac{mr_2'}{ms_1} = \frac{r_2'+R_s}{s_2}s1r2′=ms1mr2′=s2r2′+Rs と表現されます。ここでRsR_sRsは外部抵抗、s1s_1s1とs2s_2s2はそれぞれ変化前後の滑りです。​
不動産施設のエレベーター用電動機などでは、この比例推移の特性を利用して始動特性を改善したり、速度制御を行ったりします。二次抵抗に適切な値を選ぶことで、始動時に最大トルクを得ることが可能です。​
最大トルク(停動トルク)は二次回路の抵抗値には無関係であり、電圧と周波数によって決まります。これは s=r2x2s = \frac{r_2'}{x_2'}s=x2′r2′ のとき最大トルクが発生するためです。
参考)https://jeea.or.jp/course/contents/12130/

不動産設備管理における誘導電動機トルク計算の実務応用

実際の設備管理では、電動機の出力、トルク、回転速度の相互関係を理解することが不可欠です。定格トルクは T=60Po2πNT = \frac{60P_o}{2\pi N}T=2πN60Po または実用単位で T=1.027×PoNT = 1.027 \times \frac{P_o}{N}T=1.027×NPo [kgf・m] と計算できます。​
電動機選定時には、負荷に必要な動力から定格出力を計算し、10~20%の余裕を持たせることが推奨されます。また機械効率や摩擦抵抗の大きさにも十分注意が必要です。​
周波数制御(インバータ制御)を行う場合、電圧と周波数を同じ割合で変化させれば、トルクを一定に保ちながら回転速度を変更できます。これは空調設備の省エネ運転などに活用されています。​
電動機のトルク特性曲線を理解することで、負荷との適合性を判断できます。負荷トルクが電動機の最大トルクと始動トルクの間にある場合、2つの交点が存在しますが、安定運転が可能なのは同期速度に近い側の交点のみです。
参考)https://denki-plantengineer.com/suberi

機械マシーン:誘導機計算まとめ
実際の電験問題を通じて、トルク・効率・滑りの計算方法を体系的に学べる実践的な資料です。

 

 

 

 


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