PSねじ規格と寸法表完全ガイド建築業従事者

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PSねじ規格寸法と基準

PSねじ規格の基本概要
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管用平行ねじの旧規格

JIS B 0203の耐密結合用平行めねじとして定義

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55度ねじ山角度採用

インチ表記とピッチは25.4mm間の山数で表示

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現行Rpねじと同等仕様

現在でも建築配管分野で使用されている

PSねじ規格の定義と歴史的背景

PSねじは、日本産業規格JIS B 0203)において定められた管用平行ねじの旧規格です。この規格は、耐密結合を目的とした平行めねじとして1960年代まで広く使用されていました。現在では、国際標準化機構(ISO)との整合を図るため、Rpねじ(管用平行ねじ)に名称が変更されていますが、形状や寸法は基本的に同等です。
PSねじの最大の特徴は、めねじ側が平行形状になっていることです。このため、テーパーおねじ(PT)と組み合わせることで、適切な締結力と気密性を確保できる仕組みになっています。ねじ山角度は55度に設計されており、これがNPTねじ(60度)との大きな違いとなっています。
建築業界では配管接続部において、水密・気密性能が要求される箇所でPSねじが重要な役割を果たしていました。現在でも既設配管のメンテナンスや部品交換時には、PSねじ規格の知識が不可欠です。

 

PSねじ寸法表と許容差詳細

PSねじの寸法規格は、インチ表記で呼び寸法が決められており、ピッチは25.4mm間のねじ山数で表現されます。以下にPSねじの主要寸法を整理します:
基本寸法表(単位:mm)

呼び 外径 有効径 谷径 ねじ山数
PS1/8-28 9.728 9.147 8.566 28
PS1/4-19 13.157 12.301 11.445 19
PS3/8-19 16.662 15.806 14.950 19
PS1/2-14 20.955 19.793 18.631 14
PS3/4-14 26.441 25.279 24.117 14
PS1-11 33.249 31.770 30.291 11

許容差については、外径・有効径・谷径それぞれに上下限値が設定されています。例えばPS1/8-28の場合、外径は-70~-240μm、有効径は-70~-240μm、谷径は-70~-240μmの許容差が規定されています。
下穴径については、各サイズに対応したドリル径が参考値として示されており、PS1/8では8.5mm、PS1/4では11.4mmが推奨されています。これらの寸法精度を守ることで、適切な嵌合性能を確保できます。

PSねじと他規格との相互関係

PSねじ(平行めねじ)は、管用テーパーおねじ(PT)と組み合わせて使用することが基本です。この組み合わせにより、テーパー側の締め込みによって密閉性を確保する構造となっています。
現行のJIS規格では、PSねじはRpねじ(管用平行ねじ)として規定されています。形状・寸法は同等ですが、許容差や品質管理基準に若干の改良が加えられています。国際規格との整合性も向上し、海外製品との互換性も確保されています。
管用ねじ規格比較表

旧規格 現行規格 用途 特徴
PS Rp 平行めねじ テーパーおねじと組み合わせ
PT R テーパーおねじ 気密・水密結合用
PF G 平行ねじ 機械的結合用

NPTねじ(アメリカ管用ねじ規格)とは、ねじ山角度(60度 vs 55度)やテーパー勾配(1/16)で区別されます。混同しやすいですが、互換性はないため注意が必要です。

PSねじ加工時の技術的留意点

PSねじの加工において、最も重要なポイントは下穴径の精度管理です。下穴が小さすぎると切削抵抗が増大し、大きすぎると有効径が不足します。適切な下穴径を選定することで、切削工具の寿命延長と加工精度の向上を両立できます。
タッピング作業では、切削速度と送り量のバランスが重要です。PSねじは55度ねじ山角度のため、一般的なメートルねじ(60度)用のタップとは切削条件を調整する必要があります。また、切削油の選定も重要で、アルミニウム合金には水溶性切削油、ステンレス鋼には硫黄系極圧添加剤入り切削油が推奨されます。

 

品質管理では、ねじゲージによる検査が不可欠です。PSねじ用の専用ゲージを使用し、通り側・止まり側両方での検査を実施することで、規格適合性を確認できます。特に建築配管用途では、漏れトラブル防止のため、より厳格な品質管理が求められます。

 

PSねじ規格の現代建築における特殊活用法

現代建築においてPSねじ規格は、既存配管システムとの接続部で特に重要な役割を果たしています。特に歴史的建造物の改修工事や、昭和期に建設された建物のリニューアル工事では、既設配管にPSねじが使用されているケースが多く見られます。

 

最近では、PSねじ規格を活用した特殊な用途も開発されています。例えば、免震構造建物の配管接続部では、PSねじの平行構造を利用して、地震時の相対変位に対応できる可撓継手との組み合わせが採用されています。この場合、PSめねじ側の平行構造が、継手の可動部との干渉を避けながら確実な接続を可能にします。

 

また、高層建築物の消火設備では、PSねじ規格の高い気密性を活用した特殊なスプリンクラー配管システムが導入されています。従来のねじ接続では困難だった高圧・大口径配管での確実な密閉性確保が、PSねじとPTねじの組み合わせによって実現されています。

 

建築設備の脱炭素化が進む中で、PSねじ規格は水素配管システムへの応用も検討されています。水素の分子サイズの小ささに対応するため、PSねじの精密な寸法管理技術が注目されており、次世代エネルギーシステムでの活用可能性が期待されています。