切削工具種類一覧と用途別の材質選定ポイント

切削工具種類一覧と用途別の材質選定ポイント

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切削工具種類一覧と選定

切削工具の基本分類
🔧
回転工具系

ドリル、エンドミル、フライス、リーマなど工具自体が回転して加工する種類

⚙️
旋削工具系

バイトなどワークを回転させて加工する種類

🔩
ねじ加工系

タップ、ダイスなどねじ山を作る専用工具種類

切削工具のドリル種類と特徴

 

ドリルは穴あけ加工に特化した切削工具で、マシニングセンタやボール盤などで使用される最も基本的な工具種類の一つです。先端の切れ刃のみで切削を行い、螺旋状の溝によって切りくずを効率的に排出する構造になっています。
参考)https://monoto.co.jp/cuttingtools/

穴径や深さに応じて複数の種類が存在し、一般的な穴あけにはツイストドリルが使われます。深穴加工には油穴付きドリルや長いガンドリルが使い分けられ、それぞれの用途に最適化された構造を持っています。
参考)https://sakusakuec.com/shop/pg/1cutting-tools/

ドリルの材質には高速度工具鋼(ハイス鋼)や超硬合金が主に使用され、被削材の硬度や加工条件に応じて選定されます。先端角は一般的に120度程度に設定されており、この角度が切削性能に大きく影響します。
参考)https://saikenma.com/service/service-1682/

切削工具のエンドミル種類と用途

エンドミルは先端だけでなく側面にも切れ刃を持つ多用途な切削工具で、フライス加工における万能工具として広く使用されています。平面加工、溝削り、側面加工、曲面加工など、3次元的な動きで多様な形状を切削できる点が最大の特徴です。
参考)https://takumi-senpai.com/blog/cutting-tool-category-and-ranking/

先端形状によってスクエアエンドミル、ボールエンドミル、ラジアスエンドミルに分類されます。スクエアエンドミルは平面加工に最適で、ボールエンドミルは金型などの曲面加工に、ラジアスエンドミルは角の丸みを加工する際に使用されます。​
外周切れ刃形状ではストレート刃が最も一般的ですが、ニック切れ刃やラフィング切れ刃など荒削り用の種類も存在します。材質は基本的に固体超硬合金で作られており、高い剛性と耐摩耗性を持っています。
参考)https://www.cutting-navi.com/cuttingmachine/cutting-tools-types.html

切削工具のフライスとリーマ種類

フライス工具は円筒状のボディに複数の切削刃が取り付けられた構造で、広い面や溝、曲面の加工に使用される切削工具です。正面フライスは平面仕上げや大量生産時の部品加工に適しており、均一な切削が可能なため高い精度を実現できます。
参考)https://fujihara-wintec.com/cuttingtools/

リーマは穴の内面を仕上げる精密加工用の切削工具で、ドリル加工後の穴を指定の表面粗さや高精度に仕上げる際に使用されます。円筒形に複数の切削刃が配置されており、わずかに残っている部分を削り取ることで正確な寸法と滑らかな仕上がりを実現します。​
リーマには直刃リーマ、ねじれ刃リーマ、スパイラルリーマなどの種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。ねじれ刃リーマは切削抵抗を抑えながら加工でき、スパイラルリーマは切削油の供給性が向上し切りくずが溜まりにくい構造です。
参考)https://www.champ-j.com/topics/customparts/a36

切削工具のバイトとタップ種類

バイトは旋盤で使用される単刃の切削工具で、回転する材料に対して工具を当てることで円筒形の材料を外径・内径・端面から加工します。工具の形状を変えることで多様な加工に対応でき、旋削加工における基本的な工具種類です。
参考)https://hasegawa-kakosho.com/sessakukougu/

タップはねじ山(めねじ)を削るための切削工具で、ねじ部品の多い機械部品の加工に欠かせません。ハンドタップは先タップ、中タップ、上タップに分かれており、食付き部の山数が異なっています。手作業で使う場合は先タップから順番に使うのが定石です。
参考)https://www.monotaro.com/note/productinfo/tap/

ポイントタップ(ガンタップ)は切りくずを穴奥側に排出する構造で通り穴加工に適しており、スパイラルタップは切りくずを手前に排出するため止まり穴の加工に最適です。それぞれの種類は加工する穴の形状や被削材の特性によって使い分けられます。
参考)https://sakusakuec.com/shop/pg/1tap01/

切削工具の材質種類とコーティング選定

切削工具の材質には工具鋼、高速度工具鋼(ハイス鋼)、超硬合金、サーメット、セラミックス、cBN(立方晶窒化ホウ素)、ダイヤモンドなどの種類があります。工具鋼は比較的安価ですが硬度が低く、現在は高性能な他材質が普及したため使用場面は限定的です。
参考)https://www.metrol.co.jp/blog/2024/08/12/68379/

超硬合金は高硬度、高耐摩耗性、高耐熱性を持つため、さまざまな切削加工に広く用いられています。超硬材へのコーティングには1000℃近い高温で化学反応を起こすCVD法と、約500℃の比較的低温で処理できるPVD法の2種類があります。
参考)https://sakusakuec.com/shop/pg/1coating/

コーティングの種類にはTiN(窒化チタン)、TiAlN(窒化チタンアルミニウム)、TiCN(炭化チタン)、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、ZrN(窒化ジルコニウム)、CrN(窒化クロム)などがあります。TiNは金色の被膜で最も普及しており、TiAlNはグレーの被膜で耐熱性に優れ、DLCは硬さと滑りの良さを両立しています。
参考)https://www.sdicompany.com/column/best-coating-for-different-cutting-tools/

被削材が鋼の場合はTiNやTiAlNコーティングが、アルミの場合はDLCコーティングが、鋳鉄の場合はTiCNやCrNコーティングが最適です。加工材の種類や硬度に応じて適切な材質とコーティングを選定することで、工具寿命を大幅に延ばすことができます。
参考)https://hokutohgiken.co.jp/%E5%88%87%E5%89%8A%E5%B7%A5%E5%85%B7%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%81%A8%E9%81%B8%E5%AE%9A%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88/

コーティング切削工具の詳細な特徴と種類ごとの違いについて解説された参考資料
切削工具のコーティングの効果と選定のポイントに関する技術情報

切削工具選定時の実務ポイント

切削工具を選定する際の基本は、被削材の材質・硬さ、加工方法(旋削かフライスか等)、要求される精度に対して適した工具形状・材質・コーティングを選ぶことです。適材適所の工具選びをすることで、加工効率や工具寿命、仕上がり精度が大きく向上します。
参考)https://takumi-senpai.com/blog/cutting-tool-selection-checklist/

工具寿命を延ばすためには、適切な切削条件の設定、定期的なメンテナンスとクリーニング、クーラント液の適切な使用が重要です。切削速度や送り速度、切り込み深さの設定は工具の摩耗に大きく影響を与えるため、加工材の種類や硬度に応じた適切な切削条件を選定する必要があります。
参考)https://www.yamanaka-eng.co.jp/media/monitoring-solution01/

切削工具は削る材料(木材や金属)よりも3~4倍程度の硬さが必要だといわれています。切削工具用の超硬合金チップはP、M、K、N、S、Hの6種類があり、削る材料の材質によって使い分けられます。
参考)https://www.monotaro.com/note/readingseries/sessakukiso/

定期的な工具のクリーニングを行い、切削くずや汚れを除去することで工具の表面が滑らかに保たれ、摩耗の進行を防げます。使用頻度に応じて工具の点検や研磨を行うことで、工具の状態を良好に保ち寿命を延ばすことが可能です。
参考)https://cfs-guide.com/908/

工具メーカーのカタログや技術資料を参考に、被削材と加工内容に見合った最適な切削工具を選定しましょう。加工対象に不適切な材質・形状の工具を使うと摩耗や刃欠けが早まるため注意が必要です。
参考)https://jp.misumi-ec.com/pr/vona/fs/cutting-tool/faq/