

SBRはスチレン・ブタジエンゴム(合成ゴム)系ラテックスをベースにした材料で、セメント系に混和したり、下地に塗布して仲介接着層として使われます。モルタルやコンクリートの改修・補修では「付着力の確保」と「性能の底上げ(耐水・耐薬品・耐アルカリ・曲げ強度など)」が目的になりやすく、接着しにくい下地の“接着増強剤”として位置づけられることが多いです。実例として、合成ゴム系ラテックス(SBR)を多目的複合セメント混和剤として使い、接着力・防水性・耐薬品性・防錆性・ひび割れ抑制などを狙う製品説明が公開されています。
建築現場でよくある使い方は大きく2系統です。
意外と見落とされがちなのが、「SBR=何にでも万能」ではなく、施工体系としては“下地処理材(プライマー・下地調整)+セメント系”の組み合わせで設計される点です。SBRラテックスをベースにしたCRCタイプの下地処理用接着剤として、塗布後に各種仕上げが施工可能、といった位置づけが明確な例もあります。
参考)(プライマー、下地調整材amp;cell004=下地調整材a…
SBR系で最も差が出るのは下地処理で、レイタンス・粉・ほこり・油脂は付着を阻害するため、ケレンや水洗い等で除去する手順が施工要領で明示されています。脆弱な無機質下地では、浸透プライマーで下地強化してから次工程へ進む、という考え方も一般的です。
下地処理の現場ポイント(入れ子にしないチェックリスト)。
参考)打ち継ぎ接着
参考)https://www.yabuhara-ind.co.jp/wp-yabuhara/wp-content/uploads/2020/02/cationtite-f_seko.pdf
参考)https://www2.nttoryo.co.jp/dcms_media/other/nt_kachion_tight_f.pdf
“あまり知られていない”寄りの話として、SBRを使った工程で「下地が多少湿っていても施工できる」とされる体系がある一方で、「濡れている場合は拭き取る」など、湿潤許容の範囲が明確に区別されています。つまり、現場でありがちな“雨上がりの濡れ面にそのまま”はアウトになり得るため、湿り気=OKと雑に判断しないのがコツです。
下地処理(レイタンス・吸水・脆弱層)を押さえると、SBRのメリットである付着力向上が初めて効いてきます。打継ぎ接着でも、接着の邪魔をする物(レイタンス等)を除去し、接着剤を塗ってWet on Wetで打設する、といった“段取りが性能”という説明がされています。
SBR系は「下地調整材(フィラー等)として塗る工程」と「SBRモルタルとして塗る工程」を分けて設計されることがあり、下地にSBRセメントフィラーを塗工し、乾燥後に上塗りモルタルを施工する、といった手順例が公開されています。ここで重要なのは、SBR層を“乾燥させてから次工程”と明記される体系が存在することです。乾燥待ちを短縮したくても、仕様が乾燥前提なら守るのが安全です。
一方で、SBR系の下地処理用接着剤でも材料体系により手順が異なり、「水は絶対に使用しない」「吸水のある下地は吸水調整剤塗布または水打ち」など、混入水や下地水分の扱いがはっきり禁止・指定されることがあります。SBRと一口に言っても、製品が“セメント混和剤”なのか“CRC下地処理材”なのかでルールが変わるので、同じ感覚で流用しないでください。nttoryo+1
施工で差が出る管理項目。
なお、SBR系が「中性化の抑制」や「防錆」に寄与することを期待して使われる文脈もあり、樹脂モルタルの解説でもSBR等の樹脂入りセメントモルタルは付着力や曲げ強度に優れ、中性化抑制・防錆効果が期待できると説明されています。耐久性の目的がある工区では“単にくっつけばOK”より一段上の狙い(中性化・防錆)で設計に組み込むと、材料選定の説得力が上がります。
参考)樹脂モルタルとはなに?普通モルタルやコンクリートとの違いとは…
参考:SBR系材料の性能(接着力、防水性、耐薬品性、防錆、ひび割れ抑制)と、下地処理材→上塗りの手順例
http://www.manol.co.jp/pdf/catalog/026_manol_SBR.pdf
現場で多い不具合は、材料の良し悪しよりも「界面が成立していない」ことが原因になります。レイタンスや接着阻害物を除去しないと接着しない、という説明は打継ぎ接着の解説でも強調されています。特に改修では、旧塗膜・粉化層・油分が“見た目では分かりにくい薄膜”として残り、そこが剥離面になります。
剥離・浮き・白華っぽい不良を減らすための対策(入れ子にしない)。
意外な盲点は「同じSBRでも、セメント混和タイプと下地処理用接着剤(CRC等)で、混入水や施工手順の禁止事項が逆になる」ケースがあることです。現場で“別現場の成功体験”がそのまま事故につながるため、製品ごとの施工要領を1工程ごとに読み替えるのが、最短の再発防止になります。manol+1
SBRゴム接着剤は水系のイメージが強い一方、実際の現場では溶剤・可燃性・蒸気(ミスト)などのリスクが絡む製品もあり、SDSに従った安全対策が必要です。SDSには「換気の良い場所でのみ使用」「高温物・火花・裸火など着火源から遠ざける」「静電気放電に対する予防措置」「防爆型機器の使用」「火花を発生させない工具」など、具体的な安全対策が列挙されています。材料が少量でも、塗布面積が大きいと蒸気曝露が増えるため、換気と着火源管理は“形式”ではなく実務として組み込みます。
安全の運用ポイント。
「SDSは元請や安全担当が見るもの」という扱いになりがちですが、実際は“施工品質”にも直結します。たとえば換気不足で溶剤が滞留すると、乾燥不良や臭気クレームだけでなく、現場の作業効率も落ちて塗布ムラが出やすくなります。安全を仕様として守ることが、仕上がりを安定させる近道です。
参考:SDSの標準書式(JIS Z 7253対応)や、SDS作成の考え方(危険有害性情報の伝達)
https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/msds/msds62.html
参考)https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/msds/msds62.html