SGP規格配管用炭素鋼鋼管完全ガイド

SGP規格配管用炭素鋼鋼管完全ガイド

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SGP規格配管用炭素鋼鋼管

SGP規格の基本構成
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JIS G 3452規格

配管用炭素鋼鋼管の化学成分・機械的性質・寸法を規定

黒管・白管の種類

亜鉛めっきの有無により耐食性と用途が異なる

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適用範囲

外径10.5~508.0mmで低圧の蒸気・水・ガス・空気配管に使用

SGP規格JIS G 3452の基本概要と記号体系

SGP規格は日本工業規格JIS G 3452「配管用炭素鋼鋼管」として制定されており、Steel Gas Pipeの略称として広く認知されています。この規格は使用圧力の比較的低い蒸気、水(上水道用を除く)、油、ガス、空気などの配管に用いる炭素鋼鋼管について詳細に規定しています。

 

SGP規格の記号体系は製造方法と仕上方法によって決定されます。製管方法では電気抵抗溶接の場合「E」、鍛接の場合「B」の記号が付与されます。仕上方法については熱間仕上げ「H」、冷間仕上げ「C」、電気抵抗溶接まま「G」の記号が使用されます。例えば熱間仕上電気抵抗溶接鋼管の場合、「SGP-E-H」と表記されます。

 

SGP規格の適用範囲は外径10.5mm~508.0mmと幅広く、小径配管から大径配管まで対応可能です。この規格に基づいて製造される鋼管は、一般建築設備配管用として広範囲に使用され、特に工業分野では必須の配管材料となっています。

 

SGP規格配管用鋼管の機械的性質と化学成分

SGP規格の機械的性質はJIS G 3452において厳格に規定されており、引張強度は290 MPa以上を満たす必要があります。この強度水準は一般的な配管用途における要求を十分満たし、水道管やガス管として長期間の使用に耐える信頼性を提供します。

 

伸び値については試験片の種類と厚さによって詳細に規定されています。11号試験片の管軸方向では30%以上、12号試験片では厚さに応じて24%~30%以上、5号試験片の管軸直角方向では19%~25%以上と設定されています。この高い延性は衝撃や負荷がかかった際の破断抑制に重要な役割を果たします。

 

化学成分についてはP(リン)とS(硫黄)の含有量がそれぞれ0.040%以下に制限されています。これらの元素は鋼材靭性に悪影響を与えるため、厳格な管理が必要です。P・S含有量の安定した低レベル維持により、SGP管は優れた溶接性と加工性を実現しています。

 

曲げ試験では管軸方向で90度の曲げ角度、内側半径が管の外径の6倍という基準が設けられており、現場での配管施工時における加工性を保証しています。

 

SGP規格黒管と白管の違いと用途選択

SGP規格における黒管と白管の根本的な違いは亜鉛めっき処理の有無にあります。黒管は表面処理を施さない状態で、外観が黒色を呈することからこの名称で呼ばれています。一方、白管は耐食性向上のため内外面に亜鉛めっきが施され、白色の外観を持ちます。

 

黒管SGPの主要用途は蒸気配管、油配管、エアー配管などの屋内設置や腐食環境が比較的穏やかな箇所です。コスト面では白管より安価であり、メンテナンス性を重視する工場内配管等で多用されています。ただし錆に対する耐性は限定的であるため、使用環境の慎重な評価が必要です。

 

白管SGPは工業用水配管、空調設備配管、衛生設備配管、消火用配管など幅広い用途で採用されています。亜鉛めっきにより優れた耐食性を発揮し、屋外設置や湿潤環境での長期使用に適しています。

 

さらにSGPWという上位規格も存在し、これは水道用亜鉛めっき鋼管として空調、消火、排水配管に特化した仕様となっています。亜鉛めっきの厚さに明確な規定があり、通常の白管より高い耐食性を実現しています。

 

SGP規格寸法重量一覧表と計算方法

SGP規格の寸法体系は呼び径、外径、内径、肉厚の4つの基本要素で構成されています。呼び径には6A(1/8インチ)から500A(20インチ)まで幅広いサイズが規格化されており、それぞれに対応する外径と肉厚が厳密に定められています。

 

代表的なサイズとして、15A(1/2インチ)では外径21.7mm、内径16.1mm、肉厚2.8mm、単位質量1.31kg/mとなっています。25A(1インチ)では外径34.0mm、内径27.6mm、肉厚3.2mm、単位質量2.43kg/mです。建築設備で多用される50A(2インチ)は外径60.5mm、内径52.9mm、肉厚3.8mm、単位質量5.31kg/mという仕様です。

 

重量計算は「単位質量(kg/m)×長さ(m)=総重量(kg)」の簡単な公式で求められます。例えばSGP 25A×6000mmの場合、2.43kg/m×6m=14.58kgとなります。この計算方法は材料調達や運搬計画において重要な基礎データとなります。

 

外径の許容差についても規格で明確に規定されており、テーパねじを切る管とそれ以外の管で異なる基準が設けられています。厚さの許容差は+規定しない、-12.5%となっており、実際の製品では公称厚さより薄くなる可能性があるため、設計時の考慮が必要です。

 

SGP規格配管用鋼管の選定ポイントと注意事項

SGP規格配管の適切な選定には複数の技術的要因を総合的に評価する必要があります。まず使用圧力の確認が最重要で、SGPは比較的低圧用途に限定されるため、高圧系統では他の配管材料を検討する必要があります。

 

流量計算に基づく適正サイズの選定も重要なポイントです。内径が流量に直接影響するため、必要流量と許容圧力損失を考慮した配管径の決定が求められます。一般住宅給水では1インチ以下のサイズが多用されますが、工場設備では用途に応じてより大径の配管が必要となる場合があります。

 

設置環境による材質選択では、屋内の乾燥環境であれば黒管SGPでも十分ですが、屋外や湿潤環境では白管SGPまたはSGPWの採用が推奨されます。特に海岸地域や化学薬品を扱う環境では、より高い耐食性を持つ配管材料の検討も必要です。

 

製造年月日とロット管理も見落とされがちな重要要素です。SGP管には製造業者マーク、規格記号、製造法、寸法、製造年等が明確に表示されており、これらの情報による品質トレーサビリティの確保が長期的な信頼性につながります。

 

継手との適合性確認も選定時の重要なチェックポイントです。SGPにはねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手(JIS B 2301)が標準的に使用されますが、特殊用途では溶接式継手の採用も検討されます。継手材質と本管の電気化学的適合性も腐食防止の観点から重要な考慮事項となります。