
SGPW(水配管用亜鉛めっき鋼管)は、JIS G 3442によって規定される重要な配管材料です。この規格は、水道用及び給水用以外の水配管(空調用、消火用、排水用など)に用いる亜鉛めっき鋼管について詳細に定めています。
SGPWの正式名称は「Steel Gas Pipe Water」の略称で、配管用炭素鋼鋼管(SGP)とは異なる規格体系を持っています。SGPがJIS G 3452に準拠するのに対し、SGPWは独自のJIS G 3442規格に基づいて製造されます。
SGPWの基本特徴:
興味深いことに、SGPWは白ガス管と同様の製造方法を採用していますが、亜鉛めっきの付着量についてより厳格な規定が設けられています。具体的には、亜鉛メッキの付着量が550kg/m²以上、2個の平均値600kg/m²という基準値が定められており、これが一般的な白管との大きな違いとなっています。
SGPWの寸法表記は、配管業界で標準的に使用される呼び方システムに基づいています。呼び径(A呼称)と長さの組み合わせで表現され、例えば「SGPW 20A × 5500」のように記載されます。
寸法計算の重要な公式:
質量W = 0.02466 × t(D-t)
この計算式を使用することで、任意の長さのSGPW管の重量を正確に算出できます。実際の重量計算では、単位質量(kg/m)に長さ(m)を乗じることで総重量が求められます。
一般的な呼び方と実寸法の対応例:
意外に知られていない事実として、SGPWの呼び径は内径ではなく、おおよその内径を基準とした慣用的な呼び方であることです。このため、実際の内径と呼び径には微妙な差異が存在します。
SGPWの製造過程は、まずJIS G 3452に準拠したプレーンエンドの黒管を製作し、その後溶融亜鉛めっき処理を施すという二段階工程で行われます。この製造方法により、優れた耐食性と機械的強度を両立させています。
製造工程の詳細:
JFEスチールなど主要メーカーでは、鋼の表面とめっき層の密着度を高める独自技術を採用しており、理想的なめっき層の形成により加工性に富んだ優秀な品質を実現しています。
品質管理面では、化学成分、機械的性質、寸法許容差、めっき品質などが厳格に管理されています。特に亜鉛めっきの付着量は、耐食性に直結する重要な品質指標として位置づけられています。
品質検査項目:
SGPWの使用においては、重要な制限事項があることを理解しておく必要があります。最も注意すべき点は、平成2年(1990年)に厚生省の「水道施設設計指針」の新設用管材リストからSGPWが削除されたことです。これにより、飲料水供給系統での使用は禁止されています。
現在の主な用途:
この用途制限の背景には、長期使用における亜鉛の溶出や配管内部の腐食生成物による水質への影響が懸念されたことがあります。現在では、飲用水系統にはステンレス管や樹脂管などの代替材料が推奨されています。
しかし、非飲用水系統においては、SGPWの優れた耐食性と経済性により今でも広く使用されています。特に大型建築物の空調システムや消火設備では、その信頼性の高さから重要な役割を果たしています。
使用時の注意点:
SGPWの標準寸法は、JIS G 3442によって厳密に規定されており、幅広いサイズラインナップが用意されています。以下に主要サイズの詳細データを示します。
SGPW標準寸法表(抜粋):
呼び径 | 外径(mm) | 厚さ(mm) | 単位質量(kg/m) | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
10A | 17.3 | 2.3 | 0.862 | 小口径配管 |
15A | 21.7 | 2.3 | 1.12 | 一般配管 |
20A | 27.2 | 2.8 | 1.68 | 標準配管 |
25A | 34.0 | 3.2 | 2.43 | 主配管 |
32A | 42.7 | 3.5 | 3.38 | 中口径配管 |
40A | 48.6 | 3.5 | 3.89 | 幹線配管 |
50A | 60.5 | 3.8 | 5.31 | 主幹配管 |
65A | 76.3 | 4.2 | 7.47 | 大口径配管 |
80A | 89.1 | 4.2 | 8.79 | 主要幹線 |
100A | 114.3 | 4.5 | 12.2 | 大型配管 |
より大型のサイズでは、125A(外径139.8mm)から最大500A(外径508.0mm)まで対応しており、大規模な産業施設や高層建築物の配管システムにも対応可能です。
サイズ選定のポイント:
特に注目すべきは、SGPWの肉厚設定が口径に応じて段階的に増加していることです。これは、大口径管において必要な機械的強度を確保するための設計思想に基づいています。
長尺管の重量計算では、前述の計算式を用いて正確な施工重量を把握することが、安全で効率的な施工計画の策定に不可欠です。特に高所作業や大型プロジェクトでは、事前の重量計算が作業効率と安全性の向上に直結します。