
SMAコネクタ(Sub-Miniature Type A)は、主にMIL-STD-348AおよびMIL-C-39012といった米軍規格に基づいて設計された同軸コネクタです。これらの規格では、コネクタの機械的寸法、電気的特性、材料仕様が厳密に定められており、特性インピーダンス50Ω、結合方式1/4-36UNS-2A、2Bのネジ結合が基本仕様として規定されています。
国際的にはIEC60169-15規格に準拠した製品が多く流通しており、これは汎用規格として世界中で広く採用されています。日本ではJEITA RC-5234規格も適用されており、国内メーカーはこれらの規格に基づいて製品を開発しています。
規格の変更履歴として、MIL-STD-384のベース版から変更通知版(Change Notice 1、Change Notice 2)が発行されており、SMAコネクタに関する詳細は310.1、310.2、310.3ページで規定されています。
SMAコネクタの電気的特性は規格によって厳格に定められており、使用周波数範囲はDC〜18GHzが標準的な仕様です。ただし、24.5GHzまで対応可能なタイプも存在し、用途に応じて選択できます。
**電圧定在波比(VSWR)**については、ストレートタイプで1.3以下、ライトアングルタイプで1.5以下が一般的な規格値となっています。この値は接続品質の指標となり、値が低いほど高周波性能に優れています。
これらの電気的特性は、移動体通信基地局、小型通信機器、精密計測機器、無線LAN、GPS等の用途において重要な性能指標となります。
SMAコネクタの材質選定は規格で定められた性能を満たすために重要な要素です。主要材質はステンレス、真鍮が使用され、用途に応じて選択されます。特に、カップリングナット部にステンレスを使用した製品は機械的強度が高く、厳しい環境下での使用に適しています。
表面処理については以下の種類が規格で認められています。
中心接点部には金メッキが施されることが一般的で、これにより長期間にわたって安定した電気的接続を確保できます。外部接点部の表面処理は用途に応じて選択され、屋外使用や過酷な環境下では特に重要な仕様となります。
SMAコネクタの機械的仕様は高周波性能に直結する重要な要素です。**ネジ結合方式(1/4-36UNS)**により確実な接続が可能で、**推奨結合トルクは5 in- lb(0.56 N- m)**が標準的な値です。
挿抜回数については、規格により500回から1000回程度が保証されており、頻繁な着脱が必要な用途にも対応できます。使用温度範囲は**-55℃から+85℃、+90℃、+125℃**まで対応する製品があり、用途に応じた選択が可能です。
結線方式は以下の種類が規格化されています。
基板実装用途では、ストレート型とライトアングル型が用意され、実装密度や配線の制約に応じて選択できます。
SMAコネクタは他の高周波コネクタとの互換性が重要な特徴の一つです。3.5mmコネクタ、2.92mm Kコネクタとの直接接続が可能で、より高い周波数帯域への対応時にはこれらのコネクタとの組み合わせが利用されます。
18GHz以上の周波数への対応については、SMAコネクタ単体では限界がありますが、25GHzまでの対応も可能な製品が存在します。ただし、このような高周波帯域では、より高度なケーブル加工技術と精密な計測器が必要となるため、システム全体での最適化が重要です。
互換性を保ちながらより小型化を求める場合は。
これらの選択により、用途に最適な性能と互換性を確保できます。