
UN規格とは、United Nations(国際連合)が制定した危険物の輸送に関する国際的な基準のことです。この規格は「国連危険物輸送勧告」に基づいて策定されており、世界各国で統一された安全な危険物輸送を実現するための重要な枠組みとなっています。
建築業界においても、塗料、接着剤、化学系建材、溶剤などの危険物を取り扱う機会が多く、これらの材料を輸送する際にはUN規格への適合が必要不可欠です。国際間での危険物輸送においては、輸出入国双方の安全を確保するため、この統一基準が採用されています。
具体的には、1991年1月1日から小型危険物容器及び包装の検査基準が国連勧告に基づいて強化され、現在では原則としてUNマークを表示した容器でなければ海上輸送ができなくなりました。
危険物輸送には UN規格の他にKHK規格という国内規格も存在しますが、両者には適用範囲に大きな違いがあります。
KHK規格の特徴:
UN規格の特徴:
つまり、UN規格はKHK規格の適用範囲を包含する上位互換の規格といえます。建築プロジェクトで海外から資材を輸入する場合や、完成品を海外に輸出する場合には、必ずUN規格対応容器が必要になります。
UN規格では、危険物の危険性の程度に応じて容器等級が3段階に分類されています:
容器等級の分類:
これに対応して、容器の包装等級は以下の記号で表示されます:
UNマークには以下の情報が含まれています:
表示例 | 1A1/X/1.2/100/15/J/HK/A |
---|---|
1A1 | 容器コード(種類・材質・仕様) |
X | 容器等級 |
1.2 | 比重または質量 |
100 | 液体・固体の別 |
15 | 製造年 |
J | 承認国略号 |
HK | 検査機関略号 |
A | 製造者略号 |
建築現場で使用する化学製品を選定する際は、このUNマーク表示を確認することで、適切な安全レベルの容器かどうかを判断できます。
建築業界でUN規格対応が必要となる主要な材料は以下の通りです。
第四類引火性液体:
第八類腐食性物質:
第九類有害危険性物質:
建築プロジェクトが国際化する中で、これらの材料を海外から調達したり、完成した建築製品を輸出したりする機会が増加しています。特に、環境配慮型建材やスマート建材など、高付加価値製品の国際取引では、UN規格への対応が必須要件となっています。
また、建設現場での安全管理においても、UN規格対応容器は耐衝撃性・耐薬品性に優れているため、作業員の安全確保と環境保護の観点から積極的に採用されるケースが増えています。
UN規格の認証を取得するには、日本舶用品検定協会による厳格な検査をクリアする必要があります。検査項目は以下の通りです:
主要検査項目:
建築業界における活用戦略として、以下のポイントが重要です。
調達戦略:
品質管理:
競争力強化:
特に注目すべきは、UN規格対応により国際的な信頼性が向上し、海外展開や国際プロジェクト参画の機会拡大につながることです。建築業界のグローバル化が進む中で、UN規格への理解と対応は競争優位性の確立に直結する重要な要素となっています。
積水成型工業のUN容器に関する詳細解説(容器選定の実務的な参考情報)
JETRO危険物国際輸送ガイド(輸出入実務の公式情報)