アンカーボルト寸法一覧と規格基準完全ガイド

アンカーボルト寸法一覧と規格基準完全ガイド

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アンカーボルト寸法一覧

アンカーボルト寸法の基礎知識
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JIS規格寸法

M10~M48まで対応する標準寸法規格

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下穴径一覧

種類別の適正下穴サイズと施工精度

強度性能

最大引張荷重と安全係数の確認方法

アンカーボルト基本寸法とJIS規格

アンカーボルトの寸法は、JIS B 1178:2015「基礎ボルト」として標準化されています。この規格では、ボルトの種類を形状によってL形、J形、LA形、JA形の4種類に分類し、それぞれ異なる寸法範囲を定めています。

 

基礎ボルトの寸法範囲は以下の通りです。

  • L形:M10~M20
  • J形:M10~M48
  • LA形:M8~M48
  • JA形:M10~M48

建築用アンカーボルトメーカー協議会では、実際に手に入れやすい寸法に設定した推奨品も制定しており、現場での調達性を考慮した規格運用が可能です。

 

ねじピッチについては、メートル並目ねじを採用し、公差域クラスは8gと規定されています。これにより、異なるメーカー間でも互換性を確保できるため、施工現場での品質管理が容易になります。

 

アンカーボルト下穴径一覧表

適切な下穴径の選定は、アンカーボルトの性能を最大限に発揮させる重要な要素です。種類別の下穴径一覧は以下の通りです。
オールアンカー(Cタイプ)下穴径:

  • M6・1/4:6.4mm
  • M8・5/16:8.5mm
  • M10:10.5mm
  • M12:12.7mm
  • M16:17.0mm
  • M20:21.5mm

ユニコンアンカー下穴径:

  • M6・1/4:8.5mm
  • M8・5/16:10.5mm
  • M10:13.0mm
  • M12・1/2:16.5mm
  • M16・5/8:20.5mm

セットアンカー下穴径:

  • M6:10.0~11.0mm
  • M8:12.5mm
  • M10:14.5mm
  • M12:18.0mm
  • M16:22.0mm
  • M20:26.0~26.5mm

下穴径の精度は引抜き強度に直接影響するため、±0.1mm以内での施工が推奨されます。ドリル径の選定時は、コンクリートの硬度や施工環境も考慮する必要があります。

 

アンカーボルトサイズ呼び方の基礎知識

現場では「M12」「W1/2」「4分(ヨンブ)」など、様々な呼び方が混在しており、初心者にとって混乱の原因となっています。

 

「M○○」表記について:
Mはミリネジ(メートルネジ)を意味し、数字は直径をミリメートルで表します。例えばM12は「約12mm径のミリネジ」という意味です。

 

「W○○」表記について:
Wはウィットネジを意味し、イギリス発祥のインチ単位規格です。1インチ(25.4mm)を基準として1/8単位で分割表記します。

 

分(ブ)表記の仕組み:
W1/2を「4分(ヨンブ)」と呼ぶのは、1/2を分母8にすると4/8(8分の4だから4分)となるためです。この呼び方は1968年にJIS規格で廃止されているものの、建設業界では締結しやすさから現在でも多用されています。

 

ウィットネジの特徴として、ねじ山の角度が55°と鋭利になっており、一般的なミリネジの60°とは異なるため、同径でも嵌合しません。

 

アンカーボルト種類別寸法詳細

転造ねじJ形アンカーボルトの基準寸法では、ねじの長さS、内R寸法R、戻し寸法l1が詳細に規定されています。

 

転造ねじJ形アンカーボルト寸法例:

  • M10:ねじ長さ40mm、内R寸法15R、戻し寸法55mm
  • M12:ねじ長さ50mm、内R寸法20R、戻し寸法65mm
  • M16:ねじ長さ70mm、内R寸法25R、戻し寸法90mm
  • M20:ねじ長さ80mm、内R寸法30R、戻し寸法110mm

切削ねじとの相違点:
転造ねじでは軸部径がねじ径より小さく設定されているのに対し、切削ねじでは軸部径とねじ径が同等です。これにより、転造ねじの方が疲労強度に優れる特性があります。

 

L形アンカーボルトの特徴:
L形は戻し寸法l1がJ形より短く設定されており、施工スペースが限られた箇所での使用に適しています。

 

アンカーボルト強度性能と締付管理

アンカーボルトの最大引張荷重は、サイズと埋込み長さによって決定されます。安全な施工のため、これらの数値を正確に把握することが重要です。

 

最大引張荷重一覧:

  • M6(埋込み30mm):6.7kN
  • M8(埋込み25mm):7.1kN、(埋込み35mm):8.1kN
  • M10(埋込み30mm):9.3kN、(埋込み40mm):14.9kN
  • M12(埋込み35mm):17.3kN、(埋込み45mm):18.7kN
  • M16(埋込み50mm):31kN、(埋込み60mm):39.6kN
  • M20(埋込み80mm):51.3kN

締付トルク管理:
適正な締付トルクの管理により、ボルトの性能を最大限活用できます。

 

  • M6:5N・m
  • M8:12N・m
  • M10:24N・m
  • M12:42N・m
  • M16:100N・m
  • M20:200N・m

過度な締付けは材料破損の原因となり、不足は接合不良を招くため、トルクレンチによる正確な管理が必須です。また、コンクリート強度が24N/mm²以上の条件下で上記性能が保証されるため、施工前のコンクリート強度確認も重要な工程となります。