
アンカーボルトの寸法は、JIS B 1178:2015「基礎ボルト」として標準化されています。この規格では、ボルトの種類を形状によってL形、J形、LA形、JA形の4種類に分類し、それぞれ異なる寸法範囲を定めています。
基礎ボルトの寸法範囲は以下の通りです。
建築用アンカーボルトメーカー協議会では、実際に手に入れやすい寸法に設定した推奨品も制定しており、現場での調達性を考慮した規格運用が可能です。
ねじピッチについては、メートル並目ねじを採用し、公差域クラスは8gと規定されています。これにより、異なるメーカー間でも互換性を確保できるため、施工現場での品質管理が容易になります。
適切な下穴径の選定は、アンカーボルトの性能を最大限に発揮させる重要な要素です。種類別の下穴径一覧は以下の通りです。
オールアンカー(Cタイプ)下穴径:
ユニコンアンカー下穴径:
セットアンカー下穴径:
下穴径の精度は引抜き強度に直接影響するため、±0.1mm以内での施工が推奨されます。ドリル径の選定時は、コンクリートの硬度や施工環境も考慮する必要があります。
現場では「M12」「W1/2」「4分(ヨンブ)」など、様々な呼び方が混在しており、初心者にとって混乱の原因となっています。
「M○○」表記について:
Mはミリネジ(メートルネジ)を意味し、数字は直径をミリメートルで表します。例えばM12は「約12mm径のミリネジ」という意味です。
「W○○」表記について:
Wはウィットネジを意味し、イギリス発祥のインチ単位規格です。1インチ(25.4mm)を基準として1/8単位で分割表記します。
分(ブ)表記の仕組み:
W1/2を「4分(ヨンブ)」と呼ぶのは、1/2を分母8にすると4/8(8分の4だから4分)となるためです。この呼び方は1968年にJIS規格で廃止されているものの、建設業界では締結しやすさから現在でも多用されています。
ウィットネジの特徴として、ねじ山の角度が55°と鋭利になっており、一般的なミリネジの60°とは異なるため、同径でも嵌合しません。
転造ねじJ形アンカーボルトの基準寸法では、ねじの長さS、内R寸法R、戻し寸法l1が詳細に規定されています。
転造ねじJ形アンカーボルト寸法例:
切削ねじとの相違点:
転造ねじでは軸部径がねじ径より小さく設定されているのに対し、切削ねじでは軸部径とねじ径が同等です。これにより、転造ねじの方が疲労強度に優れる特性があります。
L形アンカーボルトの特徴:
L形は戻し寸法l1がJ形より短く設定されており、施工スペースが限られた箇所での使用に適しています。
アンカーボルトの最大引張荷重は、サイズと埋込み長さによって決定されます。安全な施工のため、これらの数値を正確に把握することが重要です。
最大引張荷重一覧:
締付トルク管理:
適正な締付トルクの管理により、ボルトの性能を最大限活用できます。
過度な締付けは材料破損の原因となり、不足は接合不良を招くため、トルクレンチによる正確な管理が必須です。また、コンクリート強度が24N/mm²以上の条件下で上記性能が保証されるため、施工前のコンクリート強度確認も重要な工程となります。