

カタログに掲載されていない色番号を口頭で発注すると、現場での色違いクレームで工期が平均2週間延びます。
旭トステム外装株式会社(現・AGC外装建材、旭トステム外装ブランド)は、外壁材メーカーとして住宅・非住宅問わず幅広い製品ラインナップを展開しています。カタログは製品系統ごとに分冊されており、総合カタログ・シリーズ別カタログ・施工マニュアルの3種類が存在します。
総合カタログは全製品の概要を一冊にまとめたもので、初回提案や顧客への説明場面で非常に役立ちます。一方、シリーズ別カタログは個別製品の詳細スペック・色番号・施工注意点まで細かく記載されており、実際の発注時に参照すべき資料です。
最新版カタログの入手方法は主に3つです。
- 旭トステム外装公式サイトからPDF版をダウンロードする(無料・即日入手可能)
- 最寄りの代理店・商社窓口に請求する(紙冊子、通常1週間程度で入手)
- 展示会・業者向けイベントで直接受け取る(最新版+担当者への質問が同時にできる)
紙版とデジタル版は基本的に同じ内容ですが、デジタル版はカラー見本の色再現精度がモニターの設定に左右される点に注意が必要です。重要な色選定は必ず紙版カタログか現物サンプルで確認するのが原則です。
カタログの発行年月は表紙または奥付に記載されています。外壁材は年に1〜2回モデルチェンジや廃番が発生するため、1年以上前のカタログをそのまま使うと廃番品を提案してしまうリスクがあります。定期的に最新版に更新することが条件です。
旭トステム外装 公式カタログ・資料ダウンロードページ(製品カタログPDF・施工マニュアルを無料で入手できます)
旭トステム外装の製品群は、大きく「サイディング系」「金属外壁系」「タイル・石材調系」の3カテゴリに分類されます。それぞれの特性を把握しておくことが、現場での適切な提案につながります。
Danサイディングシリーズは、高断熱性能を備えた外壁材として建築業界で広く認知されています。一般的な窯業系サイディングと比較して、断熱性能を示すλ(熱伝導率)値が約1/6程度に抑えられており、省エネ基準の厳格化が進む現在の住宅市場での採用率が高まっています。
AT-WALLシリーズは金属外壁材に分類され、軽量かつ高耐久性が特徴です。金属系外壁材の重量は窯業系に比べて約1/3程度(東京タワーの鉄骨総重量に換算すると全然異なるスケール感ですが、1枚あたりの施工重量で比較すると扱いやすさが実感できます)であり、高層建築や重量制限が厳しい改修現場で採用されるケースが多いです。これは使えそうです。
石面・タイル調シリーズは、高意匠性を求める案件での採用が多く、カタログ上の色番号と実際の外観の差異が最も生じやすいカテゴリでもあります。照明環境や周囲の外構色の影響を受けやすいため、必ず現地で大型サンプルを当てて確認する手順が基本です。
| シリーズ | 主な特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|
| Danサイディング | 高断熱・軽量 | 新築住宅・省エネ改修 |
| AT-WALL | 金属系・高耐久 | 高層・大型建築・改修 |
| 石面・タイル調 | 高意匠・多色展開 | デザイン重視の案件 |
| ニチハ・コラボ品 | OEM製品 | 施主支給・特注案件 |
カタログを見る際は、各シリーズの「適用建築物高さ制限」にも注目してください。シリーズによって適用可能な建物高さに上限があり、超高層建築には別途認定品が必要なケースがあります。見落としがちな点ですね。
旭トステム外装 製品ラインナップ一覧(シリーズ別の性能比較・仕様確認に役立ちます)
カタログの品番体系を正しく理解していないと、発注段階で取り返しのつかないミスが発生します。実際、外壁材の色違いクレームは建築トラブルの中でも件数が多く、再施工費用は平均で数十万円規模になることも珍しくありません。
旭トステム外装の品番は「製品コード+サイズコード+色番号+ロット番号」の4ブロックで構成されています。このうち色番号は3〜5桁のアルファベット+数字で表記されており、似た番号が多く存在するため視認性が低い環境(現場事務所の蛍光灯下など)では読み間違いが頻発します。
発注ミスを防ぐための確認手順は次のとおりです。
- 品番・色番号をカタログから転記する際は、2人確認(ダブルチェック)を徹底する
- デジタル発注の場合は、品番をコピー&ペーストする(手打ち入力は禁止)
- 発注書控えと現物の品番シールを納品当日に照合する
- ロット違いによる色差が許容範囲か、現物サンプルを施主に事前確認してもらう
ロット差による色差は、同じ色番号でも製造ロットが異なると目視で確認できるレベルの差が生じることがあります。これは外壁材全般に共通する問題ですが、特に面積が大きい外壁では目立ちやすい特性があります。
同一面・同一面積内では必ず同一ロットの製品を使用するのが原則です。万一ロット違いが混入した場合、施主への説明と書面による確認が後のトラブル防止につながります。
色番号の確認には、旭トステム外装公式サイトの「製品検索ツール」も活用できます。品番を入力すると製品仕様・廃番情報・後継品番を確認できるため、古いカタログを参照していた場合でも迅速に最新情報にアップデートできます。
カタログはあくまでも製品の意匠・スペックを示す資料であり、施工上の細かな注意点は「施工マニュアル」に分けて記載されています。カタログだけを参照して施工を進めると、見落としが生じやすいのが実態です。
特に注意が必要なのは「開口部周りのシーリング仕様」と「通気工法の確保」の2点です。旭トステム外装の外壁材の多くは通気工法を前提として設計されており、直張り工法での施工は保証対象外となるケースがほとんどです。これは施工マニュアルの冒頭に記載されていますが、カタログには明記されていない場合があります。
次に、目地シーリングの打ち替え推奨サイクルについてです。カタログの製品説明には耐久年数が記載されていますが、これは外壁材本体の耐久性であり、シーリング材の寿命は別扱いです。一般的なシリコン系シーリング材の耐用年数は10〜15年程度とされており、外壁材より先に劣化する点を施主に必ず説明する必要があります。
また、カタログには「標準施工」の納まり図が掲載されていますが、入隅・出隅・窓周りなどの特殊部位の納まりは「標準詳細図集」という別資料に収録されています。この資料は代理店に請求するか公式サイトからダウンロードでき、施工計画段階で入手しておくことが強く推奨されます。
現場での対処法として重要なのは、施工前に代理店担当者または旭トステム外装技術相談窓口へ確認することです。電話相談は無料で対応しており、特殊納まりや既存外壁との取り合いについてアドバイスを受けられます。無料は使わない手がありません。
旭トステム外装 技術サポート・施工マニュアルダウンロードページ(施工上の疑問点の解決に役立ちます)
建築業従事者にとって、カタログは単なる製品リストではなく、顧客への提案ツールとして機能します。旭トステム外装のカタログは意匠写真のクオリティが高く、施主に完成イメージを伝えやすい構成になっています。提案場面での活用方法を工夫することで、受注率の向上につながります。
提案時のポイントは、カタログの「コーディネート実例ページ」を活用することです。外壁色・屋根色・サッシ色の組み合わせ事例が豊富に掲載されており、色選びに迷う施主への視覚的なサポートとして有効です。1冊のカタログを施主と一緒に読み進めながら、好みの方向性を絞り込む進め方が効果的です。
他社製品との比較において旭トステム外装のカタログが優れている点として、性能スペックの記載が詳細であることが挙げられます。JIS規格・防火認定番号・断熱性能値が製品ごとに明記されており、仕様書作成や確認申請の資料作成時に直接引用できる形式になっています。
一方で、価格情報はカタログには掲載されていません。これは旭トステム外装に限らず建材メーカー全般の慣行ですが、施主から「カタログに値段が書いていない」と指摘されることがあります。価格は代理店経由の見積もりで確認することをあらかじめ説明しておくと、商談がスムーズに進みます。
競合製品との性能比較を行う際は、各社カタログのλ値・防火等級・保証年数の3項目を揃えて比較するのが効率的です。この3項目が揃えば、性能面での優劣を施主にわかりやすく説明できます。つまり比較軸を統一することが鍵です。
カタログの活用力を高めるためには、年1回以上のカタログ更新・整理のタイミングで、廃番品リストを社内で共有しておくことが大切です。過去の施工で使用した外壁材が廃番になっていると、増築・補修時に同一品の入手が困難になります。後継品番を代理店に確認し、施工記録と紐付けて管理しておく体制が、長期的なクレーム防止につながります。
日本建築学会 建築外皮関連技術情報(外壁材の性能比較・断熱基準の参考資料として活用できます)