バックアップ材とコーキングの役割・種類・施工手順の基本

バックアップ材とコーキングの役割・種類・施工手順の基本

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バックアップ材とコーキングの基本・種類・施工手順

バックアップ材を省いても、コーキングさえ打てばいいと思っていませんか?


この記事のポイント3つ
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バックアップ材の役割

目地深さの調整・三面接着の防止・コーキング材の節約という3つの目的をもつ、シーリング工事の要となる副資材です。

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素材・サイズの選び方

ポリエチレンフォームとゴムスポンジ(EPDM)の2種類があり、国交省仕様書に基づいた目地幅との寸法関係を守ることが重要です。

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施工手順と注意点

清掃→装填→マスキング→プライマー→充填→仕上げ→テープ除去の7ステップと、プライマー省略が引き起こす剥離リスクを解説します。


バックアップ材がコーキング施工で担う3つの目的


バックアップ材とは、外壁のサイディングやALCパネルのつなぎ目(目地)に詰め込んで使う、ポリエチレン発泡体などでできた副資材です。コーキング(シーリング)工事において、仕上がりの品質と耐久性を左右する、縁の下の力持ち的な存在です。


建築業に携わる方でも「コーキングを打てばそれでいい」と考え、バックアップ材の役割を軽視しているケースが少なくありません。しかし実際には、バックアップ材が担う目的は大きく3つあります。



  • 目地深さの調整:目地の奥が深すぎる場合、バックアップ材を詰めることでコーキング材を適切な厚み(目地幅の1〜1.5倍程度)に充填できるよう調整します。コーキング材は適切な厚みがなければ、本来の伸縮追従性を発揮できません。

  • 三面接着の防止(二面接着の実現):バックアップ材を入れない状態でコーキングを充填すると、目地の両サイドだけでなく底面にもコーキング材が接着してしまう「三面接着」が起きます。これが劣化・ひび割れの主要因になります。バックアップ材はコーキング材と接着しない素材でできているため、底面への接着を防ぎ「二面接着」を実現できます。

  • コーキング材の使用量削減:目地の深い部分をバックアップ材で埋めることで、コーキング材が奥まで流れ込むのを防ぎ、材料コストを抑えられます。


三面接着が起きるとどうなるかというと、地震や温度変化による建物の動きに対してコーキング材が追従できず、施工後わずか数年でひび割れや剥離が発生します。つまり三面接着は、劣化・剥離の最大の原因です。


コーキングの耐用年数は一般的に5〜10年とされていますが、三面接着の状態ではさらに短命になることが現場でも確認されています。打ち替えのコストは1mあたり700〜1,200円が相場ですが、これが数十メートル規模になれば費用は一気に跳ね上がります。バックアップ材を正しく使うことが、長期的なコスト削減にも直結するということですね。


参考:三面接着の仕組みとバックアップ材・ボンドブレーカーの必要性
バックアップ材とは?求められる機能と伸縮装置における役割 | ジョイントナビ


バックアップ材の種類と素材ごとの特徴・選び方

バックアップ材の素材は主に2種類。現場でどちらを使うかは、施工箇所の条件に合わせて選ぶのが原則です。


① ポリエチレンフォーム


最も普及しているのがポリエチレンフォーム製のバックアップ材で、現場での採用率が最も高い素材です。水泳のビート板と同じ素材と言えばイメージしやすいでしょう。止水性・耐候性・耐薬品性に優れ、カッターナイフで簡単に現場加工ができます。価格も比較的安価なため、一般的な外壁目地や窓枠まわりに幅広く使用されています。


② ゴムスポンジ(EPDM)


EPDMゴムを発泡させた素材で、ポリエチレンフォームよりも柔軟性が高く、凹凸のある面にも密着しやすいのが特長です。耐候性・耐オゾン性・耐熱性が高く、過酷な環境下での使用に向いています。引き裂き強度も強く、周辺材が熱変形を起こす場面でも追従します。価格はポリエチレンフォームより高めですが、長期耐久性を求める現場ではこちらが条件です。


国土交通省の「建築工事共通仕様書」では、バックアップ材の素材について「合成繊維または合成ゴム製で、シーリング材に悪影響を与えず、かつ接着しないもの」と定めています。これが条件です。


サイズの選定ルール


サイズ選定は以下の国交省ルールを参考にしてください。



  • 裏面に接着剤がついているもの → 目地幅より1mm程度小さいもの

  • 接着剤がついていないもの → 目地幅より2mm程度大きいもの


なお、1級建築施工管理技士の試験でも頻出の知識として「目地幅より20〜30%太いものを使用する」という基準が示されています。つまり目地幅10mmの場合、バックアップ材の直径は12〜13mm程度が目安になります。


目地の深さに関しては、一般的な窯業系サイディングの場合、目地幅10〜15mm・目地深さ8〜10mmが適切とされており、深さが10mmを超える場合はバックアップ材で調整します。これは意外な人も多いかもしれません。


形状は丸型と角型の2種類があり、丸型は2〜3m単位で箱詰め、角型は1m単位で裏面粘着タイプが多くなっています。丸型は断面がつづみ型のシール断面を作りやすく、応力が分散されやすいとされています。


参考:国交省基準に基づくバックアップ材のサイズと選び方
コーキング(シーリング)用のバックアップ材とは?使い方やサイズを解説 | 共良ホームサービス


バックアップ材を使ったコーキングの正しい施工手順7ステップ

手順を知っているつもりでも、細かいポイントを見落としているケースがあります。施工の流れを改めて確認しておきましょう。


ステップ1:施工箇所の清掃


まず、目地にホコリ・油分・古いコーキング材が残っていないかを確認します。汚れがある状態でプライマーを塗っても密着性が上がらず、早期剥離の原因になります。古いシーリング材は二面接着状態であれば比較的きれいに撤去できます。カッターとペンチを使い、残さず除去することが基本です。


ステップ2:バックアップ材の装填


目地寸法を専用ゲージで正確に計測し、適正サイズのバックアップ材を選んで装填します。傷や凸凹ができないように丁寧に押し込んでください。傷があるとコーキング材が膨れる原因になります。シーリング材の適正厚みが確保されているか確認が必要です。


ステップ3:マスキングテープの貼り付け


目地の両サイドに沿ってマスキングテープを貼ります。仕上がりラインを整え、周囲へのシーリング材の付着を防ぐ大事な工程です。長時間放置すると糊残りが発生するため、施工直前に貼るのが原則です。


ステップ4:プライマーの塗布


シーリング材と母材の接着力を高めるために、プライマーを均一に塗布します。プライマーを塗布しない、または乾燥時間を守らないと数ヶ月〜1年程度で剥がれが発生します。これは必須です。完全乾燥後、その日中にシーリングを充填するのが鉄則で、雨やホコリが付いた場合は再塗布してください。


ステップ5:シーリング材の充填


コーキングガンで空気が入らないよう注意しながら充填します。目地の交差点部分は交点から充填を始め、交点で終わらせないのがポイントです。ノズルは目地寸法に合ったものを選び、目地底のバックアップ材との間に隙間ができないよう圧力をかけながら充填します。


ステップ6:ヘラによる仕上げ


充填後は速やかにヘラで表面を均します。充填方向と逆向きにヘラを押し、さらに反対方向に戻りながら押さえると、波打ちのない仕上がりになります。


ステップ7:マスキングテープの除去と清掃


仕上げが完了したらすぐにマスキングテープを撤去します。硬化後は粘着剤が残って剥がせなくなるため、速やかな対応が条件です。周囲を清掃して完了です。


参考:シーリング施工の標準的な手順と各工程の注意点
コーキング施工 キホンのキ 7つのポイント | シャープ化学


バックアップ材とボンドブレーカーの違いと使い分けの判断基準

バックアップ材とボンドブレーカーは、どちらも三面接着を防ぐための副資材ですが、使い方が異なります。混同している方が多い項目なので、ここで整理します。





























項目 バックアップ材 ボンドブレーカー
形状 丸型・角型の成形材料(棒状) テープ状(薄い)
厚み調整 できる(10〜20mm程度の厚みあり) できない(テープ状で薄い)
使用シーン 目地が深い場合(深さ調整が必要な箇所) 目地が浅く、バックアップ材が入らない箇所
素材 ポリエチレンフォーム、ゴムスポンジなど ポリエチレンテープ、シリコンテープなど


使い分けの判断基準は「目地の深さ」です。目地が深くてバックアップ材を装填できる場合はバックアップ材を選び、目地が浅すぎてバックアップ材が入らない場合はボンドブレーカーで代替します。


ただし、ボンドブレーカーを使う際には素材の適合性確認が必要です。シリコーン系のシーリング材にはポリエチレンテープ、ポリサルファイド系・ポリウレタン系にはシリコンテープを使う、という対応関係があります。間違えると密着不良の原因になるため、確認が条件です。


なお、RCの打ち継ぎ目地のようにバックアップ材が不要とされる箇所も存在します。施工仕様書をよく読んで、現場に応じた判断が求められます。


参考:ボンドブレーカーとバックアップ材の素材・施工方法の違い
ボンドブレーカーとバックアップ材の違いを解説! | 共良ホームサービス


現場で起きやすいバックアップ材のトラブルと独自視点の対策

施工管理の立場から見ると、バックアップ材に関するトラブルのほとんどは「省略」「サイズ不一致」「材料の誤選択」の3パターンに集約されます。


【省略によるトラブル】


「目地が浅いからバックアップ材は不要だろう」と判断して省略した結果、三面接着が発生し、施工後3〜5年でひび割れが頻発するケースです。三面接着は劣化・剥離の最大原因であり、バックアップ材やボンドブレーカーのいずれかは必ず使用するのが原則です。コストは数十円〜数百円でも、後の打ち替え費用(1mあたり700〜1,200円×施工延長)と比べれば、省略の損失は明白です。これは使えそうな知識ですね。


【サイズ不一致によるトラブル】


バックアップ材が目地幅より細すぎると、目地の中でズレやすくなり、コーキングの充填深さが不均一になります。逆に太すぎると装填時に傷がつき、コーキング材が膨れる不具合が起きます。目地幅との寸法差は国交省ルール(接着剤なし:2mm大きい、接着剤あり:1mm小さい)を必ず守ってください。


【材料誤選択によるトラブル】


意外に見落とされがちなのが、シーリング材との化学的適合性の確認不足です。バックアップ材の素材によってはシーリング材の硬化を阻害したり、変色を引き起こすことがあります。特にウレタン系やポリサルファイド系のシーリング材は素材との相性が出やすいため、製品カタログの「適合シーリング材」欄を事前に確認することが大切です。


【独自視点:プライマー塗布のタイミングと温度管理】


現場でよく起きるのが、プライマー塗布後の時間管理の失敗です。プライマーは「完全乾燥後、当日中に充填」が原則ですが、気温5℃以下の寒冷期には乾燥が著しく遅れ、乾燥不足のままシーリングを充填してしまうケースがあります。プライマーを省略したり乾燥時間を守らなかった場合、数ヶ月〜1年という短期間で剥がれが生じます。


これは数字で言うと深刻で、コーキングの打ち替えが必要になれば1件あたり数万円規模の費用が発生します。「プライマーの乾燥チェック」という一手間を加えるだけで、大きなクレームリスクを回避できるということです。


加えて、バックアップ材自体にも耐用年数(5〜10年程度)があります。シーリング材を打ち替える際にはバックアップ材の状態も確認し、劣化が進んでいれば同時に交換を検討してください。バックアップ材が劣化していると、新しいシーリング材を打っても早期剥離の再発リスクが残ります。


関西シーリング工事業協同組合が公開している不具合事例集は、施工現場でのリアルなトラブルとその原因を詳述しており、施工管理者にとって参考になります。


シーリング工事の不具合事例とQ&A | 関西シーリング工事業協同組合




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