駐車場法基準とは|建築事業者が守るべき構造設備の要件

駐車場法基準とは|建築事業者が守るべき構造設備の要件

記事内に広告を含む場合があります。

駐車場法基準の概要と適用範囲

📋 駐車場法基準の重要ポイント
📏
適用対象

駐車の用に供する部分の面積が500㎡以上の路外駐車場に技術的基準が適用されます

📝
届出義務

都市計画区域内で料金を徴収する場合は工事着手前に届出が必要です

⚖️
法的根拠

駐車場法第11条と施行令第6条から第15条で詳細な基準が定められています

駐車場法に基づく技術的基準は、路外駐車場で自動車の駐車の用に供する部分の面積が500平方メートル以上のものに適用されます。この基準は、駐車場法第11条に規定され、同法施行令第6条から第15条で具体的な構造及び設備の要件が定められています。
参考)e-Gov 法令検索

建築事業者が路外駐車場を設置する際は、建築基準法その他の法令に加えて、駐車場法施行令で定める技術的基準に適合させる必要があります。特に都市計画区域内で料金を徴収する駐車場については、工事着手前に市区町村への届出が義務付けられています。
参考)街路・連立・新交通:路外駐車場の技術的基準 - 国土交通省

駐車場法の適用を受ける「路外駐車場」とは、道路の路面外に設置される自動車の駐車施設で、一般公共の用に供されるものを指します。不特定多数の人が営業時間内に自由に利用できる状態の駐車場が該当し、店舗や病院などの駐車場も対象となる場合があります。ただし、月極駐車場のように利用者が限定されているものは対象外です。
参考)駐車場法等に基づく届出駐車場のご案内 - 奈良市ホームページ…

駐車場法基準が適用される施設の要件

駐車場法の技術的基準が適用される施設には、明確な要件が定められています。まず、駐車の用に供する部分の面積が500平方メートル以上であることが必要です。この面積は、利用者が限定されている車室(月極駐車場など)を除いて算出します。
参考)e-Gov 法令検索

機械式駐車施設の場合、1台あたり15平方メートルで面積を算出する必要があります。平成18年の駐車場法改正により、自動二輪車も対象車両に含まれるようになりました。
参考)駐車場法に基づく路外駐車場設置の届出/門真市

届出が必要な駐車場は、上記の面積要件に加えて、都市計画区域内に設置され、かつ駐車料金を徴収するものに限られます。これら3つの要件をすべて満たす場合、駐車場法第12条に基づく届出が必要となり、同時に技術的基準への適合が求められます。
参考)路外駐車場の届出について|和歌山市

駐車場法における出入口と車路の構造基準

駐車場の出入口に関する技術的基準は、駐車場法施行令第7条で詳細に規定されています。出入口は、交差点の側端及びそこから5メートル以内の道路の部分には原則として設置できません。ただし、国土交通大臣の認定を受けることで、設置できる場所が追加される場合があります。
参考)https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/common/100026319.pdf

自動車の駐車の用に供する部分の面積が6,000平方メートル以上の路外駐車場では、出口と入口を分離した構造とし、かつ10メートル以上の間隔を確保する必要があります。これにより、駐車場内での車両の円滑な流れと道路交通の安全が確保されます。
参考)https://www.city.kumagaya.lg.jp/about/soshiki/toshi/toshikeikaku/kyokatodokede/kyoka/tyuusyajyou.files/edemirukijunn.pdf

車路の幅員については、対面通行の場合は5.5メートル以上、一方通行の場合は3.5メートル以上が必要です。ただし、駐車の用に供する部分の面積が500平方メートル未満の場合は、対面通行で5.0メートル以上、一方通行で3.0メートル以上とされています。自動二輪車専用駐車場の場合は、これらの数値がより小さく設定されています。
参考)https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000016/16355/RulesGuidebook_1_13.pdf

車路の屈曲部は内のり半径を5.0メートル以上にする必要があり、自動二輪車専用駐車場の場合は3.0メートル以上です。傾斜部の縦断勾配は17パーセントを超えてはならず、斜面部の路面は粗面とし滑りにくい材料で仕上げることが求められます。​

駐車場法で定められた設備の技術的要件

建築物である路外駐車場には、換気装置、照明装置、警報装置などの設備を設けることが義務付けられています。換気装置については、内部の空気を床面積1平方メートルにつき毎時14立方メートル以上直接外気と交換する能力が必要です。ただし、窓その他の開口部を有する階で、その開口部の換気に有効な部分の面積がその階の床面積の10分の1以上である場合は、この限りではありません。
参考)https://www.city.saitama.lg.jp/005/003/011/002/p006678_d/fil/tebiki4.pdf

照明装置については、自動車の車路の路面で10ルックス以上、自動車の駐車の用に供する部分の床面で2ルックス以上の照度を保つことが求められます。これにより、利用者が安全に駐車場を利用できる環境が確保されます。
参考)https://www.mlit.go.jp/common/001201347.pdf

警報装置は、建築物である路外駐車場に設置が義務付けられており、自動車の出入及び道路交通の安全を確保するために必要なものを設けなければなりません。車室の高さについては、はり下の高さを2.1メートル以上とすることが基準とされています。
参考)駐車場法施行令 |Lawzilla(迷わない法令データベース…

防火区画についても規定があり、給油所その他火災の危険がある施設を附置する場合は、当該施設と路外駐車場とを耐火構造の壁または特定防火設備によって区画する必要があります。これらの設備基準を遵守することで、利用者の安全性と利便性が確保されます。​

駐車場法に基づく届出手続きと必要書類

駐車場法第12条に基づく届出は、工事着手前までに所定の書類を提出する必要があります。届出書類は正副2部提出し、1部に受領印を押して返却されます。
参考)路外駐車場設置の届出について/守口市ホームページ

必要書類には、路外駐車場設置(変更)届出書、地形図(位置図)1/10,000以上、平面図1/200以上が含まれます。平面図には、路外駐車場の区域、自動車の出入口、車路その他の主要な施設、付近の道路及び駐車場法施行令7条で定める部分を表示する必要があります。
参考)路外駐車場設置(変更)届|大阪府八尾市公式ホームページ

建築物である駐車場の場合は、各階平面図、立面図(2面以上)、断面図(2面以上)をそれぞれ1/200以上の縮尺で作成し、駐車場法施行令第2章第1節に定める規定について確認できる書類を添付します。機械式駐車場の場合は、駐車場法施行令第15条の大臣認定書の写し、仕様及び構造図も必要です。​
供用開始の10日以内には、路外駐車場管理規程(変更)届出書と駐車場管理規程を提出する必要があります。届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合は、駐車場法第22条に基づき罰則が適用されることがあります。​

駐車場法と附置義務制度の関係性

駐車場法第20条に基づき、各自治体は附置義務条例を定めており、一定規模以上の建築物には駐車施設の設置が義務付けられています。この制度の目的は、路上駐車の解消や道路交通の円滑化です。
参考)倉庫や工場の附置義務駐車場とは?制度の内容や目的も解説|倉庫…

駐車場整備地区は、商業地域や近隣商業地域などのうち、自動車交通が著しく輻輳する地区において都市計画で指定されます。駐車場整備地区内では、条例に従って延べ面積2,000平方メートル以上の建築物または事務所等の特定用途に供する一定面積以上の建築物の新増築時に、駐車施設を附置する必要があります。
参考)駐車場整備地区とは|不動産用語を調べる【アットホーム】

国が示す標準駐車場条例では、人口規模に応じて附置義務の原単位が定められています。例えば、商業地域では百貨店その他の店舗の用途に供する部分について、150平方メートルから200平方メートルごとに1台分の駐車施設が必要とされています。​
倉庫や工場も特定用途の建物として附置義務制度の対象となり、地域や延床面積に応じて必要な駐車台数が算定されます。近年では自動車保有台数の減少などにより、対象となる建物の延床面積の引き下げや台数緩和などの見直しも行われています。​
駐車場法の詳細な条文については、e-Gov法令検索で確認できます(駐車場法本文)
国土交通省の路外駐車場の技術的基準に関するページでは、基準の改正履歴や詳細情報が掲載されています(路外駐車場の技術的基準)
国土交通省が公開している駐車場制度の概要資料では、制度全体の仕組みが分かりやすく解説されています(駐車場制度のパンフレット)