ダイライト工法で地震や火災に強い住宅を実現

ダイライト工法で地震や火災に強い住宅を実現

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ダイライトと建築の基礎知識

ダイライト工法の主なメリット
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高い耐震性

壁倍率最大5.0倍を実現し、地震や台風による水平方向の力に強い構造を提供します。

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優れた防火性能

準不燃材料として認定されており、火災のリスクを低減します。

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高い透湿性

透湿抵抗値が低く、壁内の湿気を効果的に排出し、結露や腐食を防ぎます。

ダイライトの特徴と耐震ボードの基本

ダイライトとは、大建工業株式会社が製造・販売している耐力面材(外壁耐力下地材)の一種です。正式名称は「火山性ガラス質複層板」と呼ばれ、ロックウール(鉄鋼スラグから作られた繊維)と火山性ガラス質堆積物質(シラス)を主成分とした無機質の耐震ボードです。

 

ダイライトの最大の特徴は、木材並みの軽さ(比重0.7)でありながら、構造用合板(特類)と同レベル以上の高強度を実現している点です。一般的な木造住宅の筋かいと比較して、水平方向の力に強く、建物全体の剛性を高める効果があります。

 

ダイライトには用途に合わせて様々な種類があります。

  • ダイライトMS:外壁耐力下地材として使用
  • ダイライトMU:耐力クロス下地材として使用
  • ダイライト耐震かべ「かべ大将」:耐震性の高い壁材として使用
  • ダイライト軒天井材:軒天井材として使用

これらの製品は、それぞれの用途に最適化された性能を持ち、建物の様々な部分の強化に役立ちます。

 

ダイライト工法の耐震性能と壁倍率

ダイライト工法の最大の魅力は、その高い耐震性能です。壁倍率とは、地震や台風などにより外壁に加わる水平方向の力に対して、壁自身が抵抗する能力の大きさを表す指標で、数値が大きいほど強度が高くなります。

 

ダイライト工法では、外壁下地には木造軸組壁で業界初となる壁倍率3.0のダイライトMS(12mm厚)、内壁クロス下地には壁倍率2.0のダイライトMK(12.5mm厚)を使用し、合計壁倍率5.0という公的に認定されている最高値にあたる強度を実現しています。

 

具体的な耐力壁性能としては、ダイライトMS(9mm厚)で壁倍率2.5倍を取得しており、平成9年建設省富住指発第9号の認定を受けています。これは一般的な木造住宅の筋かいよりも高い耐震性を発揮することを意味します。

 

ダイライト工法は、力を面で支える軸組パネル工法なので、これまでの筋かいを使った軸組工法より、壁量がある分、地震・台風・火災などの災害に強い住まいをつくることができます。簡単に言えば、木造軸組みと2×4のいいとこ取りのようなイメージです。

 

ダイライトの防火性能と透湿性の関係

ダイライトは防火性能においても優れた特性を持っています。ダイライトFは不燃認定を取得しており、キッチン周りなど、火を使う空間の内装材に適しています。また、その他のダイライト製品もすべて不燃材料として認定されています。

 

ダイライトMSとサイディング(準不燃)の二重の防火材料で住宅の外周を覆うことで、住宅全体の防火性を高めています。万が一外装材が欠落しても、火災に強いダイライトMSが構造材への延焼を防ぎます。

 

特筆すべきは、ダイライトの透湿性能です。透湿抵抗値は材料が湿気をどれだけ通しにくいかを示す指標で、数値が小さいほど湿気を通しやすいことを意味します。ダイライトの透湿抵抗値は3.0(m²・h・mmHg/g)で、構造用合板の10.3と比較すると約3倍も湿気を通しやすい性質を持っています。

 

この高い透湿性により、壁体内の結露を抑え、土台や柱の腐朽を防止し、丈夫な住まいを長持ちさせる効果があります。さらに筋交いを使わないため、断熱材の施工ムラが防げ、夏涼冬暖の快適な住まいを造ることができます。

 

透湿抵抗に関する詳細な情報はこちらで確認できます

ダイライトの施工方法と注意点

ダイライトの施工方法は、構造用合板と同様に行います。施工の際には、釘種やピッチ、間柱+4周打ちなど、マニュアル通りに施工することが重要です。これによって期待される耐力を発揮させることができます。

 

施工の際の注意点として、釘の間隔をきちんと基準を守らないと、期待される壁倍率が確保できない点に注意が必要です。また、ダイライトは「パリッ」と割れやすい特性があるため、取り扱いには注意が必要です。

 

ダイライト工法の施工には、以下のポイントがあります。

  1. 外壁下地としての施工:ダイライトMSを使用し、適切な釘打ちパターンで固定します
  2. 内壁クロス下地としての施工:ダイライトMUを使用し、内壁の強度を高めます
  3. 耐震リフォームでの施工:「かべ大将」を使用し、既存の壁に追加で補強を行います

特に耐震リフォームに特化した「かべ大将」は、施工講習の受講が必須となっています。これは梁や土台まで打たずに、内部の柱に釘でダイライトを打ち付けることで耐力を出す施工法です。天井や床を解体せずにできるため、コストや工期を抑えられ、ちょっとしたリフォームにも適しています。

 

施工方法の詳細はこちらで確認できます

ダイライトと剛床工法の組み合わせによる耐震強化

最近の新築一戸建てでは、ダイライト工法と剛床工法を組み合わせることで、さらなる耐震性能の向上を図る事例が増えています。剛床工法とは、従来の根太(ねだ)工法とは異なり、根太を使用せず、下地の合板を24mm以上に厚くして、梁に直接留め付ける床組のことです。

 

剛床工法の主なメリットは、水平方向に対する力に強く、地震や台風に強い点です。直接、梁材に留めつけることができるため、地震・台風時に発生する水平力に対して強い力が生まれます。大地震が起こると、躯体への損傷や床のズレが起こってしまうことがあるため、床に対策をしておくことは重要です。

 

ダイライト工法と剛床工法を組み合わせることで、以下のような効果が期待できます。

  • 建物全体の剛性が高まり、地震や台風に対する抵抗力が向上
  • 柱・梁・床が一体化することで、建物の変形を抑制
  • 施工の効率化により、工期短縮とコスト削減が可能

ただし、剛床工法にはデメリットもあります。通気性が悪くなる点や、上階の音が下階に響きやすくなる点(太鼓現象)には注意が必要です。これらのデメリットを考慮した上で、建物の用途や環境に応じた適切な工法選択が重要です。

 

剛床工法についての詳細はこちらで確認できます

ダイライトのメリットとデメリットの総合評価

ダイライト工法を採用する際には、そのメリットとデメリットを総合的に評価することが重要です。

 

メリット

  1. 高い耐震性:壁倍率最大5.0倍を実現し、地震や台風に強い住宅を提供します
  2. 優れた防火性能:準不燃材料として認定されており、火災のリスクを低減します
  3. 高い透湿性:透湿抵抗値が低く、壁内の湿気を効果的に排出し、結露や腐食を防ぎます
  4. シロアリ被害への強さ:無機質素材のため、シロアリの食害を受けにくいです
  5. 間取りの自由度向上:内部に耐力壁を少なくできるため、間取りの自由度が高まります
  6. リフォームのしやすさ:将来の間取り変更が容易になります
  7. 健康への配慮:アスベストを一切使用せず、ホルムアルデヒドの放散量も少ないです

デメリット

  1. コスト:構造用合板よりも価格が高くなる傾向があります
  2. 施工の難しさ:特殊な施工技術が必要となる場合があります
  3. 割れやすさ:「パリッ」と割れやすい特性があるため、取り扱いに注意が必要です
  4. モイスより耐火性能が低い:地域によっては追加の耐火対策が必要な場合があります
  5. デザイン性:一般的な木造住宅の外壁材と比較して、デザイン性に乏しい場合があります

これらのメリットとデメリットを比較検討し、自分のニーズに合った工法を選択することが大切です。特に地震や火災のリスクが高い地域では、ダイライト工法の採用を積極的に検討する価値があるでしょう。

 

ダイライト工法は、高い耐震性と防火性を兼ね備えた工法として、日本の住宅建築において重要な選択肢となっています。特に近年の自然災害の増加を考えると、住宅の安全性を高めるためのダイライト工法の重要性はますます高まっていくでしょう。

 

住宅の新築やリフォームを検討する際には、ダイライト工法のメリットとデメリットを十分に理解し、専門家と相談しながら最適な選択をすることをおすすめします。地震や火災から家族を守るための投資として、ダイライト工法は検討する価値のある選択肢と言えるでしょう。

 

ダイライト工法のメリット・デメリットについての詳細はこちらで確認できます