デュトロ 電動パーキング リセット手順 故障 警告灯 対処法

デュトロ 電動パーキング リセット手順 故障 警告灯 対処法

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デュトロ 電動パーキング リセット手順

この記事の概要
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リセット作業の必要性

電動パーキングブレーキの部品交換やシュー調整時には必ずケーブルの初期位置戻しと解除位置学習が必要です

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故障の症状と警告

警告灯点灯やパーキングブレーキ作動不良の原因と、アクチュエーター異常の見分け方を解説します

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具体的な作業手順

OBDコネクタを使った初期位置戻しと解除位置学習の詳細な手順を現場目線で紹介します

デュトロ 電動パーキング リセットが必要となるタイミング

 

日野デュトロの電動パーキングブレーキは、パーキングブレーキ関連部品の脱着・交換作業時やパーキングブレーキシューのギャップ調整時に、必ずリセット作業(初期学習)を実施する必要があります。このリセット作業を怠ると、電動パーキングブレーキアクチュエータの故障やケーブルの巻き取り不良を招き、パーキングブレーキの制動力が低下するおそれがあります。特に車検時にパーキングブレーキシューのすき間調整を行う場合も、初期学習が必要になりますので確実に実施するようにしましょう。
参考)https://www.hino.co.jp/ts/vehicle_maintenance/pdf/20200827.pdf

電動パーキングブレーキはワイヤーに伸びが生じやすく、限度値を超えるとメーター内に警告灯(橙色)が点灯して運転者に知らせる仕組みになっています。手動式パーキングブレーキと異なり、ワイヤーがどの程度伸びているかドライバーには分かりにくいため、定期的な点検とリセット作業が重要です。多少の伸びならコンピュータが自動的に調整しますが、ワイヤーの伸びが許容量を超えると、ある日突然「サイドブレーキの効きが悪くなる」という事態が発生する可能性があります。
参考)https://readinesscoder.com/car-maintenance/hino-dutro-electricparkingbrake-initialization/

  • パーキングブレーキ関連部品の脱着・交換時
  • パーキングブレーキシューのギャップ調整時
  • 車検時のブレーキメンテナンス実施時
  • 電動パーキングブレーキアクチュエーター交換時
  • 警告灯(橙色)点灯時の対処として

リセット作業は「ケーブルの初期位置戻し」と「初期学習(解除位置学習)」の2つの工程で構成されており、両方を確実に実施することで電動パーキングブレーキの正常な作動を維持できます。​

デュトロ 電動パーキング 故障時の警告灯と症状

デュトロの電動パーキングブレーキが故障すると、メーター内に橙色の「電動パーキングブレーキ故障ランプ」が点灯し、パーキングブレーキレバーを引いても作動しなくなる症状が発生します。警告灯の点灯パターンには、橙色の(!)マークの点灯と、赤色の(P)マークの点滅という2つの表示があり、これらが同時に表示される場合はパーキングブレーキが効いていない状態を示しています。
参考)https://ameblo.jp/datte2ngendamono/entry-12930965020.html

故障の主な症状としては、停車してシフトをPレンジに入れても電動パーキングブレーキが作動しない、パーキングブレーキのロックと解除を繰り返す際にアクチュエーターが動く音がするものの正常に動作しない、走行中に警告音が鳴ってインジケーターが警告画面になるなどがあります。これらの症状が頻発するようになった場合は、早急に整備工場での点検が必要です。
参考)https://ra25celica.hatenablog.com/entry/2025/07/10/235535

  • 橙色の故障ランプ点灯
  • パーキングブレーキレバーを引いても作動しない
  • (!)マークと(P)マークの同時表示
  • 走行中の警告音とインジケーター警告表示
  • アクチュエーターの異常な作動音

ダイアグコード71(パーキングブレーキシュー摩耗)を検出した場合は、初期学習の実施のみで終了せず、必ずシューASSY、レバー、ストラット、No.3ケーブルの4点を交換する必要があります。車両が完全に停止する前にパーキングブレーキを使用したり、ブレーキペダルを踏まずにパーキングブレーキで車両を停車させる(緊急時を除く)といった使用方法を繰り返すと、電動パーキングブレーキの構成部品の早期摩耗につながりますので注意が必要です。
参考)https://www.hino.co.jp/ts/vehicle_maintenance/pdf/20250124.pdf

デュトロ 電動パーキング リセット OBDコネクタ短絡手順

デュトロの電動パーキングブレーキをリセットするには、OBDⅡコネクタ(DLC3)を使用した作業が必要です。まず車両に輪止めを行い、スターターキーを「ON」にして電動パーキングブレーキレバーを下げてパーキングブレーキを解除します。次にスターターキーを「LOCK」にしてDLC3の12(TS)端子と4(CG)端子間を短絡させます。​
短絡させた状態で、スターターキーを「LOCK」から「ON」にし、5秒以内にパーキングブレーキレバーを「下げる→引き上げる」の操作を3回行います。この操作のポイントは、アクチュエーターのワイヤー巻き上げの動きが止まるのを待たずに、素早く操作を行うことです。アクチュエーターの巻取り動作に関係なく「上げ→下げ→上げ→下げ→上げ」の操作を素早く行わないと、5秒以上経過してしまい正しく次のステップに進めません。
参考)https://carlifeanddiy.com/hino-parking/

手順 操作内容 注意点
1 輪止め・キーON・レバー下げ パーキングブレーキを解除する
2 キーLOCK・端子短絡 DLC3の12番と4番を短絡
3 キーON・レバー操作3回 5秒以内に素早く操作
4 レバーを下げる 解除方向に作動音を確認
5 カチカチ音後の停止確認 アクチュエーターの作動を確認

パーキングブレーキレバーを下げた後、電動パーキングブレーキアクチュエータが解除方向に作動し「カチカチ音」の後、停止することを確認します。その後、電動パーキングレバーを上げると、電動パーキングブレーキアクチュエーターが自動的に10回作動し、ワイヤーの巻き上げ解放を自動で10回行うことで初期位置を再学習します。作業完了後、スターターキーを「OFF」にしてDLC3コネクタの短絡を解除し、キーをONにして警告灯が消灯していることを確認してください。​

デュトロ 電動パーキング アクチュエーター故障診断

デュトロの電動パーキングブレーキでよく発生する故障は、電動パーキングブレーキアクチュエーターの異常です。アクチュエーター故障時の典型的な症状として、橙色のブレーキ警告灯が点滅し、電動パーキングがレバーを引いても作動しないという現象が発生します。この型のデュトロは電動パーキングが動かなくなる事例が多く報告されており、整備工場では頻繁に入庫してくる故障パターンです。​
アクチュエーター内部の故障原因として、荷重センサ用バネのヘたりによるパーキングブレーキの制動力低下があります。これは電動パーキングの初期学習を実施しなかったことにより発生する不具合で、アクチュエータ内部のモータ配線接続部の圧着端子の加締めが不十分な場合や、モータのコンミテータ及びブラシの製造が不適切な場合にも故障が発生します。走行振動でモータ内の接触抵抗が一時的に増加すると、モータ回路断線検知信号が乱れてVSAが異常を検知し、故障と判定することがあります。
参考)https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001320050.pdf

  • 荷重センサ用バネのヘたり
  • モータ配線接続部の圧着端子不良
  • コンミテータ及びブラシの製造不良
  • 走行振動による接触抵抗の増加
  • ケーブル先端部の強度不足による損傷

電動式駐車ブレーキにおいて、駆動モーターに接続するケーブル先端部の強度が不足している場合、停車前に駐車ブレーキを作動させるとケーブル先端部が損傷することがあります。そのため駆動モーターの動力が伝達できなくなり、警告灯が点灯するとともに駐車ブレーキが作動しなくなり、駐車中の車両が動き出すおそれがあるため、早急な対策が必要です。
参考)https://response.jp/article/2021/08/03/348310.html

アクチュエーター交換作業は、助手席の背もたれやだるまジャッキ、ステーを外した後、助手席の後ろにあるアクチュエーターを取り外します。交換後には必ずケーブルの初期位置戻し作業と解除位置学習作業を実施し、パーキングブレーキの調整を確認する必要があります。​
整備時の参考資料として、日野自動車の公式技術情報サイトが有用です。

 

日野自動車公式:電動パーキングの初期学習の未実施による不具合とリセット手順の詳細PDF

デュトロ 電動パーキング ワイヤー調整とシュー摩耗対策

電動パーキングブレーキのワイヤー調整は、手動式パーキングブレーキとは異なり、コンピュータによる自動調整機能が備わっていますが、ワイヤーの伸びが許容量を超えると警告灯が点灯します。デュトロの電動パーキングブレーキはワイヤーに伸びが生じやすく、限度値を超えるとメーター内に警告灯(橙色)を付けて運転者に知らせる仕組みになっています。
参考)https://jidoushaguide.com/wp/2016/03/03/parking-brake-knack-driving/

シュー摩耗への対策として、ダイアグコード71(パーキングブレーキシュー摩耗)を検出した場合は、初期学習の実施のみで終了せず、必ずシューASSY、レバー、ストラット、No.3ケーブルの4点の部品を交換する必要があります。これらの部品が摩耗しているおそれがあり、最悪の場合、電動パーキングブレーキが使用できなくなりますので、すみやかに日野販売会社の整備工場へ相談してください。​

部品名 摩耗箇所 交換の重要性
シューASSY ブレーキシュー本体 制動力低下防止
レバー ストラットとの嵌合部 動力伝達確保
ストラット レバー・シュー嵌合部 構造強度維持
No.3ケーブル ケーブル全体 破断防止

パーキングブレーキの使用方法として、車両が完全に停止する前にパーキングブレーキを使用しない、ブレーキペダルを踏まずにパーキングブレーキで車両を停車させない(緊急時を除く)という2点を守ることが重要です。これらの使用方法を繰り返すと、電動パーキングブレーキの構成部品の早期摩耗につながり、降車後に車両が動き出してしまい事故が発生するおそれがあります。​
ワイヤーの初期位置戻しを実施しないと、ストラットとレバーの嵌合部やストラットとシューの嵌合部が摩耗し、さらにケーブルが破断する事例も報告されています。これらの損傷例からも、定期的なメンテナンスとリセット作業の重要性が理解できます。​

デュトロ 電動パーキング 建設業向けメンテナンス管理

建設業や不動産業では、デュトロなどの小型トラックを業務で頻繁に使用するため、電動パーキングブレーキの適切なメンテナンス管理が事故防止の観点から非常に重要です。特に現場での短距離移動や頻繁な停車・発進を繰り返す使用環境では、電動パーキングブレーキの負担が大きくなるため、定期的な点検とリセット作業を計画的に実施する必要があります。

 

業務用車両の管理担当者は、車検時だけでなく、日常点検の一環として電動パーキングブレーキの作動状況を確認し、警告灯が点灯した際には即座に対処できる体制を整えることが求められます。建設現場での使用では、砂利や土埃が多い環境でブレーキシステムへの負荷が高まるため、通常よりも短いサイクルでのメンテナンスが推奨されます。

 

  • 日常点検での電動パーキングブレーキ作動確認
  • 車検時の必須リセット作業実施
  • 警告灯点灯時の即時対応マニュアル整備
  • ドライバーへの正しい使用方法の教育
  • 整備記録の保管と次回メンテナンス時期の管理

建設現場で使用する車両は、急な坂道での停車や不整地での作業が多いため、パーキングブレーキの制動力が低下すると重大な事故につながる危険性があります。電動パーキングブレーキの初期学習を怠ると、アクチュエータ内部の荷重センサ用バネがヘたり、パーキングブレーキの制動力が低下するおそれがありますので、確実に「ケーブルの初期位置戻し」と「初期学習(解除位置学習)」作業を実施していただけますようお願い致します。​
業務用車両の管理では、複数台のデュトロを保有している場合、各車両の整備履歴をデータベース化し、電動パーキングブレーキのリセット実施日やアクチュエーター交換時期を一元管理することで、予防保全を実現できます。特に2016年4月28日~2018年12月10日に製造されたデュトロについては、電動式駐車ブレーキのケーブル先端部の強度不足によるリコール対象車両の可能性があるため、該当車両の確認と対策部品への交換が必要です。​
整備工場との連携体制を構築し、定期的な診断機を使った故障コードチェックを実施することで、警告灯が点灯する前に予防的なメンテナンスを行うことが可能になります。ダイアグコードの確認により、アクチュエーター異常やシュー摩耗の早期発見ができ、突然の故障による業務停止を防ぐことができます。建設業・不動産業の事業者にとって、車両の稼働率維持は収益に直結するため、計画的なメンテナンス管理が経営上も重要な要素となります。