エアロック現象ダイヤフラムポンプ原因と対処法

エアロック現象ダイヤフラムポンプ原因と対処法

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エアロック現象ダイヤフラムポンプ対策

ダイヤフラムポンプエアロック現象の基礎知識
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エアロック現象とは

ポンプヘッド内に気泡が混入し液体が吐出されなくなる現象で、外壁塗装現場での作業効率低下の主要因

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発生原因

吸入配管からの空気混入、不適切な設置、メンテナンス不足により気泡がポンプ内部に蓄積

対処法

エアベント操作、配管点検、適切な設置位置調整により正常な送液機能を回復

エアロック現象ダイヤフラムポンプの基本原理

ダイヤフラムポンプにおけるエアロック現象(ガスロック現象とも呼ばれる)は、ポンプヘッド内に気泡が混入することで液体の正常な吐出ができなくなる現象です。外壁塗装現場では、塗料や下地処理材などの高粘度液体を送液する際に頻繁に発生するトラブルの一つです。

 

ダイヤフラムポンプの動作原理を理解することで、エアロック現象の発生メカニズムが明確になります。ダイヤフラムが前後に移動することで容積変化を起こし、この動作により液体の吸引と吐出を行います。

 

  • 吸込み工程:ダイヤフラムが後方に移動し負圧を発生させ液体を吸引
  • 吐出工程:ダイヤフラムが前方に移動し内部圧力を上昇させ液体を押し出す

しかし、ポンプヘッド内に気泡が混入すると、気体の圧縮性という特性により正常な送液ができなくなります。気泡が存在する状態でダイヤフラムが前方に移動すると、液体は圧縮されにくいのに対し、気泡は圧縮されて体積が小さくなります。この時、逆止弁を押し上げるのに十分な圧力が発生せず、気泡が膨らんだり縮んだりするだけで液体が排出されません。

 

ダイヤフラムポンプエアロック原因と症状

エアロック現象の主要な原因は以下の通りです。
吸入配管からの空気混入

  • 接続部の緩みやガスケットの劣化による空気の侵入
  • 吸入ラインのシール部分の損傷
  • 配管の勾配が不適切で空気だまりが発生

運転条件の問題

  • ポンプの設置位置が高すぎる(吸入高さの超過)
  • 液体の粘度が高すぎて適切な吸引ができない
  • 運転停止水位の設定ミス

エアロック現象が発生した場合の典型的な症状には以下があります。

  • 液体の吐出量が極端に減少または完全に停止
  • ポンプは作動しているが液体が流れない
  • 吸引音や異常な振動が発生
  • 圧力計の指示値が不安定

外壁塗装現場では、特に高粘度の塗料やプライマーを使用する際にエアロック現象が発生しやすくなります。粘度の高い液体は流動性が低く、配管内に空気が残留しやすいためです。

 

エアロック現象防止メンテナンス方法

エアロック現象を防止するための定期的なメンテナンス手順。
日常点検項目

  • 吸入配管の接続部確認(緩みやひび割れの有無)
  • ガスケットやパッキンの状態確認
  • エアベントバルブの動作確認
  • ダイヤフラムの外観点検(亀裂や穴の有無)

定期メンテナンス

  • 配管内のエア抜き作業の実施
  • 逆止弁(チャッキボール)の清掃と動作確認
  • ダイヤフラムの交換(使用頻度に応じて)
  • 弁座の摩耗状況確認

予防的対策

  • 適切な配管勾配の確保(約1/50の上り勾配)
  • 吸入配管の太径化と短縮化
  • サクションストレーナーの設置
  • 定期的なエア抜き作業の実施

特に外壁塗装業界では、研磨性のある下地処理材や高粘度塗料を扱うため、ダイヤフラムや弁座の摩耗が早くなる傾向があります。そのため、通常より頻繁な点検とメンテナンスが必要です。

 

ダイヤフラムポンプのガスロック現象に関する詳細な技術資料

外壁塗装現場でのダイヤフラムポンプ活用法

外壁塗装現場におけるダイヤフラムポンプの特徴的な活用方法と利点。
高粘度塗料の送液
ダイヤフラムポンプは最大20,000mPa程度の高粘度液体まで移送可能で、外壁塗装で使用される各種塗料に対応できます。

  • 水性塗料:1-100mPa
  • 溶剤系塗料:100-1,000mPa
  • 厚膜型塗料:1,000-5,000mPa
  • 特殊防水材:5,000-15,000mPa

スラリー混入材料への対応
外壁塗装では骨材や顔料が混入した材料を扱うことが多く、ダイヤフラムポンプの耐スラリー性能が重要です。

  • 最大10mmの固形物まで移送可能
  • 研磨性材料にも対応(適切な弁材質選択により)
  • バックダイヤフラム仕様で耐久性向上

現場での実用例

  • 高層建築物での塗料圧送
  • 大面積外壁の連続塗装作業
  • 下地処理材の自動供給システム
  • 防水材の精密な定量塗布

外壁塗装現場特有の課題として、作業環境の変化(温度変化、湿度変化)があります。これらの環境変化は液体の粘度変化を引き起こし、エアロック現象の発生リスクを高めるため、環境条件に応じた運転調整が必要です。

 

エアロック現象解消後の動作確認手順

エアロック現象を解消した後の適切な動作確認手順。
段階的な起動手順

  1. エアベントバルブの完全な開放
  2. ポンプの低速での始動(可能な場合)
  3. 吸入圧力の段階的な確認
  4. 吐出圧力の安定性確認
  5. 流量の正常値到達確認

性能確認項目

  • 定格流量の達成確認
  • 脈動の正常範囲内確認
  • 異常振動や騒音の有無
  • 温度上昇の異常値確認
  • 漏れの発生有無

外壁塗装特有の確認事項

  • 塗料の均一な吐出確認
  • 色分かれや気泡混入の有無
  • 吐出圧力の安定性(塗装品質への影響確認)
  • 連続運転時の性能維持確認

トラブル再発防止策
エアロック現象が解消された後も、再発防止のための継続的な監視が重要です。

  • 運転データの記録と分析
  • 定期的なエア抜き作業のスケジュール化
  • 配管系統の定期点検実施
  • オペレーターの教育と技能向上

特に外壁塗装現場では、作業の中断が工期に大きく影響するため、予防保全の重要性が高くなります。日常の点検記録を詳細に残し、トラブルの前兆を早期に発見することで、計画的なメンテナンスが可能になります。

 

ダイヤフラムポンプの吸引トラブル対処法について
また、エアロック現象の解消後は、使用する塗料の特性に応じた運転条件の最適化も重要です。粘度の高い塗料では吐出圧力を上げ、低粘度塗料では流量調整を重視するなど、材料特性に応じた運転パラメータの調整により、安定した送液性能を維持できます。