
ダイヤフラムポンプにおけるエアロック現象(ガスロック現象とも呼ばれる)は、ポンプヘッド内に気泡が混入することで液体の正常な吐出ができなくなる現象です。外壁塗装現場では、塗料や下地処理材などの高粘度液体を送液する際に頻繁に発生するトラブルの一つです。
ダイヤフラムポンプの動作原理を理解することで、エアロック現象の発生メカニズムが明確になります。ダイヤフラムが前後に移動することで容積変化を起こし、この動作により液体の吸引と吐出を行います。
しかし、ポンプヘッド内に気泡が混入すると、気体の圧縮性という特性により正常な送液ができなくなります。気泡が存在する状態でダイヤフラムが前方に移動すると、液体は圧縮されにくいのに対し、気泡は圧縮されて体積が小さくなります。この時、逆止弁を押し上げるのに十分な圧力が発生せず、気泡が膨らんだり縮んだりするだけで液体が排出されません。
エアロック現象の主要な原因は以下の通りです。
吸入配管からの空気混入
運転条件の問題
エアロック現象が発生した場合の典型的な症状には以下があります。
外壁塗装現場では、特に高粘度の塗料やプライマーを使用する際にエアロック現象が発生しやすくなります。粘度の高い液体は流動性が低く、配管内に空気が残留しやすいためです。
エアロック現象を防止するための定期的なメンテナンス手順。
日常点検項目
定期メンテナンス
予防的対策
特に外壁塗装業界では、研磨性のある下地処理材や高粘度塗料を扱うため、ダイヤフラムや弁座の摩耗が早くなる傾向があります。そのため、通常より頻繁な点検とメンテナンスが必要です。
外壁塗装現場におけるダイヤフラムポンプの特徴的な活用方法と利点。
高粘度塗料の送液
ダイヤフラムポンプは最大20,000mPa程度の高粘度液体まで移送可能で、外壁塗装で使用される各種塗料に対応できます。
スラリー混入材料への対応
外壁塗装では骨材や顔料が混入した材料を扱うことが多く、ダイヤフラムポンプの耐スラリー性能が重要です。
現場での実用例
外壁塗装現場特有の課題として、作業環境の変化(温度変化、湿度変化)があります。これらの環境変化は液体の粘度変化を引き起こし、エアロック現象の発生リスクを高めるため、環境条件に応じた運転調整が必要です。
エアロック現象を解消した後の適切な動作確認手順。
段階的な起動手順
性能確認項目
外壁塗装特有の確認事項
トラブル再発防止策
エアロック現象が解消された後も、再発防止のための継続的な監視が重要です。
特に外壁塗装現場では、作業の中断が工期に大きく影響するため、予防保全の重要性が高くなります。日常の点検記録を詳細に残し、トラブルの前兆を早期に発見することで、計画的なメンテナンスが可能になります。
ダイヤフラムポンプの吸引トラブル対処法について
また、エアロック現象の解消後は、使用する塗料の特性に応じた運転条件の最適化も重要です。粘度の高い塗料では吐出圧力を上げ、低粘度塗料では流量調整を重視するなど、材料特性に応じた運転パラメータの調整により、安定した送液性能を維持できます。