
不動産売却における更地渡しとは、古家付き土地を売却する際に、売買契約締結後に売主の負担で建物を解体し、更地の状態で買主に引き渡す売却方法です。
更地渡しと現況渡しの主な違いは以下の通りです。
更地の法的定義について、国土交通省の「不動産鑑定評価基準」では「建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地」とされています。
ただし、実際の取引では「更地」の厳密な意味について当事者間で十分な協議が行われていないケースが多く、基本的には既存建物を解体撤去した状態での引き渡しが契約上の内容と考えられています。
更地渡しのメリット
更地渡しのデメリット
更地にして売却することが適している物件の特徴は以下の通りです。
建物の状態による判断
立地条件による判断
市場環境による判断
逆に、悪立地の場合は更地にしても買い手がつかない可能性があるため、まずは古家付きで売り出し、半年以上売れなければ専門の不動産買取業者への売却を検討することが推奨されます。
解体費用の目安
建物の解体費用は構造や規模によって大きく異なります。
30坪の木造住宅の場合、解体費用は90万円~150万円程度が目安となります。
税金への影響
更地にして売却する際の税金計算は以下の通りです。
譲渡所得の計算式
売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得
譲渡所得税率
解体費用や測量費用は「譲渡費用」として控除対象となる場合がありますが、条件によっては一部しか認められないこともあるため、税理士への確認が重要です。
固定資産税の変化
建物を解体すると住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税が最大6倍になります。
更地での売却において、多くの売主が見落としがちな重要な要素が境界確定測量と地盤調査です。
境界確定測量の必要性
更地にすることで隣地との境界が明確になり、正確な土地面積を確定できます。境界確定測量により以下が明確になります。
これにより売主・買主双方が安心して取引できるため、売却価格の向上にもつながります。
地盤調査の意外な重要性
建物を解体した後に実施する地盤調査では、以下の問題が発見される可能性があります。
これらの問題が発見された場合、追加の工事費用が発生する可能性があるため、事前の調査と費用見積もりが重要です。
売却戦略への影響
地盤調査の結果が良好な場合は、それを売却時のアピールポイントとして活用できます。逆に問題が発見された場合は、事前に対策を講じるか、価格に反映させる必要があります。
特に、地盤改良が必要な土地の場合、買主にとって追加費用となるため、売却価格への影響は避けられません。しかし、事前に問題を把握し、適切な価格設定を行うことで、トラブルを回避し、スムーズな売却が可能になります。
このように、更地での不動産売却は単純に建物を解体するだけでなく、境界確定や地盤調査など、多角的な検討が必要な複雑な取引であることを理解しておくことが重要です。