ふすまの寸法一覧で標準サイズから特殊サイズまで完全解説

ふすまの寸法一覧

ふすまの標準サイズと基本寸法

ふすまの標準サイズは、不動産業界で最も頻繁に扱う重要な寸法情報です。一般的な住宅では、幅90cm前後、高さ170～180cm前後が標準的な寸法となっています。この標準サイズは「五七（ごしち）」と「五八（ごはち）」という名称で区別されており、五七は高さが五尺七寸（約171cm）、五八は高さが五尺八寸（約174cm）を指します。

 

興味深いことに、関東と関西では襖の標準寸法に違いが存在します。関東では幅約90cm、高さ約180cmが一般的ですが、関西では幅約95cm、高さ約190cmが標準とされています。この地域差は、歴史的な建築様式の違いに由来しており、不動産業者が物件を扱う際には地域特性を理解しておくことが重要です。

 

また、団地などの集合住宅では特殊な寸法が採用されることがあります。幅72cmの襖を4枚で1間半として使用する「団地サイズ」や、幅135cmで襖2枚で1間とする「広巾サイズ」など、建物の用途や設計思想により異なる寸法が存在します。

 

標準サイズの襖は、基本的に2枚で1間として使用されることが一般的で、この組み合わせにより部屋の仕切りや押入れの扉として機能します。不動産業者は、物件の査定や修繕計画を立てる際に、これらの標準寸法を正確に把握しておく必要があります。

 

ふすまの種類別寸法詳細（五七・五八・半襖・中間）

ふすまの寸法は、その用途や設置場所により細かく分類されており、それぞれに専門的な名称が付けられています。

 

五七（ごしち）と五八（ごはち）
最も一般的な襖のサイズで、五七は高さ171cm、五八は高さ174cmです。これらは尺貫法に基づく名称で、一尺は約30cm、一寸は約3cmに相当します。現代の住宅でも、この伝統的な寸法体系が維持されており、和室の設計における重要な基準となっています。

 

半襖（はんぶすま）
高さが60cm～90cm程度の襖で、二尺以上三尺程度までの寸法です。主に押入れの下部や、和室の一部に設置される小型の仕切りとして使用されます。この寸法は、収納効率を考慮した設計により生まれた実用的なサイズです。

 

中間（ちゅうま）
高さが90cm～150cm程度で、半襖と五七の中間的な大きさの襖です。三尺以上五尺の範囲に該当し、特殊な間取りや用途に応じて採用されることがあります。マンションの改装時などで、既存の開口部に合わせて制作されることが多い寸法です。

 

これらの寸法分類は、建築基準法における開口部の規定や、日本建築学会の推奨基準とも密接に関連しており、不動産業界では物件の価値評価や改修コストの算定において重要な判断材料となります。

 

ふすまの特殊サイズ（天袋・地袋・丈長・幅広）

特殊用途のふすまには、標準サイズとは大きく異なる寸法が採用されており、これらの理解は不動産業界での専門性を示す重要な知識です。

 

天袋（てんぶくろ）と地袋（じぶくろ）
天袋は押入れの上部など天井近くに設置される襖で、高さは40～60cm程度です。一方、地袋は床に近い部分に設置され、仏壇や床の間の下部に配置されることが多く、天袋とほぼ同じ寸法です。これらの寸法は、和室における機能的な収納設計の結果として生まれました。

 

丈長（たけなが）と幅広（はばひろ）
丈長は高さが174cm以上の襖を指し、幅広は幅が90cm以上の襖を指します。近年では、生活スタイルの変化に伴い、高さが200cmを超える襖も制作されており、和洋折衷の住宅で多く採用されています。

 

特殊サイズの襖は、建物の個性や設計思想を反映する重要な要素でもあります。例えば、高級マンションでは意匠性を重視した大型の戸襖が採用されることがあり、厚みも約27～35mmと標準的な20mmより厚く設計されています。

 

材質による厚み寸法の違い
襖の厚みは材質により異なり、本襖は20mm、戸襖は27～35mm、段ボール襖と発泡スチロール襖は約20mmです。この厚み寸法は、開口部の設計や建具金物の選定に直接影響するため、改修工事の際には特に注意が必要です。

 

ふすまの正確な測り方と注意点

不動産業界において、ふすまの正確な測定は物件の査定や改修費用の算定に直結する重要な技術です。測定には専用の工具と正しい手順が必要です。

 

測定に必要な工具
精密な測定のためには、樹脂製や布製のメジャーではなく、金属製の「コンベックス」を使用することが推奨されます。柔軟性のある素材は、測定時にゆがみやねじれが生じ、正確な寸法を得ることができません。

 

襖本体の測定方法
まず襖を敷居や鴨居から外して横にし、計測しやすい状態にします。襖がゆがんでいる可能性があるため、最低でも左右を比較し、複数箇所を測定することが重要です。高さを測る際は、最上部から最下部まで注意深く測定し、幅についても両端と中央部分を確認します。

 

レール部分の測定
襖の交換や修繕を正確に行うためには、本体だけでなくレール部分の測定も必要です。溝と溝の間は基本的に9mm、12mm、15mmのいずれかに分類されます。溝の深さは、下部が1～3mm程度、上部が10～20mm程度が基準となります。

 

古い襖がない場合の測定
既存の襖が撤去されている場合は、上下左右の縁を使って計測します。両側の柱の内側から左右の距離、上下の縁の内側から高さを測定し、襖のサイズを算出します。この場合、建物の経年変化による歪みも考慮する必要があります。

 

測定時には、建物の築年数や構造材の状態も合わせて確認し、交換工事の際の施工性や追加工事の必要性についても判断することが、不動産業者の専門性として求められます。

 

不動産業界でのふすま寸法管理のポイント

不動産業界における襖の寸法管理は、単なる測定作業を超えて、物件価値の評価や投資判断に直結する重要な業務です。

 

物件査定における寸法の重要性
襖の寸法と状態は、和室の価値評価に大きく影響します。標準的な寸法の襖が良好な状態で維持されている物件は、将来的な改修コストが低く抑えられるため、査定額にプラスの影響を与えます。逆に、特殊寸法や劣化した襖がある物件は、交換費用が高額になる可能性があり、査定時にその分を考慮する必要があります。

 

改修費用の算定
襖の張り替えや交換費用は、サイズと種類により大きく異なります。標準サイズ（190cm×95cm）の最安価ふすま紙で3,750円、上級ふすま紙で7,500円、本ふすまの交換では15,000円程度が相場です。これらの費用情報を正確に把握し、物件の収支計画に反映させることが重要です。

 

地域特性の理解
関東と関西の寸法差を理解し、地域に適した襖の調達ルートを確保することは、業務効率と顧客満足度の向上につながります。また、地域の伝統的な建築様式と現代的な住宅ニーズのバランスを考慮した提案ができることは、不動産業者の差別化要因となります。

 

デジタル化による管理効率の向上
現代の不動産業界では、襖の寸法データをデジタル化し、物件管理システムに統合することが一般的になっています。これにより、過去の測定データの参照や、類似物件との比較が容易になり、より精度の高い査定や提案が可能となります。

 

将来価値の予測
和室離れが進む現代においても、質の高い和室空間は一定の需要があります。襖の寸法が標準的で、材質が良好な物件は、将来的なリノベーションの際の選択肢が広がるため、長期的な資産価値の観点から評価が高くなる傾向があります。

 

これらの観点から、不動産業界では襖の寸法管理を単なる技術的作業ではなく、戦略的な業務として位置づけ、専門性の向上と顧客価値の創造につなげていくことが重要です。