

フタル酸樹脂塗料に使われるシンナーは、一般的に「弱溶剤」に分類され、ミネラルスピリットなど脂肪族炭化水素を主成分とするタイプが代表的とされています。家庭向けでは「塗料うすめ液」という名称で販売されることも多く、同じ油性系でもラッカーシンナーなどの強溶剤とは溶解力や揮発特性が異なる点がポイントです。
シンナーの分類としては、弱溶剤(塗料シンナー・ペイントうすめ液)、強溶剤(ラッカーシンナーなど)、各種合成樹脂専用シンナーといった区分があり、フタル酸樹脂塗料は弱溶剤系や専用フタル酸シンナーによる希釈が基本と整理されています。各社とも専用シンナーの配合を塗料側の樹脂設計に合わせ込んでいるため、見た目が似ていても他社・他樹脂用を流用すると、乾燥時間の変化や隠ぺい不良など思わぬ差が出る場合があります。midorishokai+3
現場では、シンナー臭や揮発の早さだけで感覚的に「合いそうだ」と判断しがちですが、専用シンナーは溶解力だけでなく、乾燥速度やレベリング、泡抜けなどまで含めて調整されているとされます。混ぜた直後に問題が見えなくても、硬化過程で光沢ムラや艶びけが生じたり、塗膜内部に残留溶剤が偏って軟らかさが残るなど、後からトラブルが表面化するケースもありうるため、仕様書どおりの専用シンナー使用が安全策と言えます。mixing-colors+2
フタル酸樹脂塗料の希釈率は、刷毛・ローラー塗りで15~20%、吹付けで30~40%といった目安が提示されることがあり、実務ではこの範囲内で粘度を調整していきます。別の資料では、フタル酸樹脂塗料を刷毛塗りで使用する場合の標準希釈率が10~15%、スプレー塗りで15~30%とされ、10kgのフタル酸樹脂塗料なら刷毛塗り時の希釈液量は1~1.5kgといった具体例が示されています。
希釈量の計算自体はシンプルで、ベース容量×希釈率=必要なシンナー量という式で求めることができ、1kgを15%で希釈するなら0.15kg(150g)、2Lを10%で希釈するなら0.2L(200ml)のシンナー量が目安になります。ただし、仕様書に幅があるのは、気温・湿度や塗装機器によって実際の「塗りやすさ」が変わるためで、低温・高粘度の条件では上限側、真夏で塗料がサラサラしている場合には下限側に寄せるといった調整が必要とされています。mixing-colors+2
希釈の段取りとしては、最初から計算上の全量を一度に入れず、最低希釈率側の量を先に入れてよく撹拌し、その後、粘度を見ながら少しずつ追加していく方法が推奨されています。特にシルバー系などアルミ顔料を含んだフタル酸樹脂塗料では、顔料が沈降しやすいため、希釈前後ともに十分な攪拌を行わないと、メタリックムラや隠ぺい不足につながると注意されています。midorishokai+1
多品種の塗料を扱う現場では、「フタル酸樹脂塗料もウレタン用シンナーでまとめてしまいたい」といった発想になりやすいものの、メーカー各社は原則として専用シンナー以外の使用をNGとしています。専用シンナーは塗料側の樹脂・顔料・添加剤の組み合わせに合わせて設計されており、合わないシンナーを使うと分離・凝集・ゲル化などが起こるリスクが高まるとされます。
フタル酸樹脂塗料にラッカーシンナーなどの強溶剤を混ぜると、強い溶解力によって塗膜表層が過度に溶け、乾燥段階で「縮み(リフティング)」が発生する場合があると注意されています。リフティングを避けるために、塗り重ねのタイミングも重要で、表面が固まっていないうち、もしくは24時間以上経過した状態で塗り重ねるよう指示されるケースがあり、この指定を守らずに別系統のシンナーを含んだ塗料を重ねると、界面で相溶性が崩れて塗膜が持ち上がることがあります。mixing-colors+1
また、専用シンナー以外を使うと、乾燥時間のばらつきだけでなく、艶の出方や鉛筆硬度、耐薬品性など、カタログ値として示されている性能が再現できなくなることも問題です。仕上がり直後は目立たなくても、油・揮発油・機械油への耐性試験では、フタル酸樹脂塗料の耐揮発油性・耐機械油性がカタログ上「良好」とされていても、異種シンナーによる希釈で軟化が早まる可能性があり、メンテナンスサイクルに影響することも想定されます。nissin-industry+1
仕様書に書かれた希釈率を守っていても、実際の塗りやすさや仕上がりは「粘度の経時変化」と「残留溶剤の抜け方」に左右されます。フタル酸樹脂塗料は乾燥が早い一方、厚塗りや低温条件では内部に溶剤が残りやすく、表面だけ乾いて中が柔らかい「スキン現象」のような状態になることがあり、上塗り後の振動や衝撃でちぢれが出る要因にもなります。
実務的には、希釈してからの「ポットライフ」を意識し、開缶後・希釈後に長時間放置した塗料は、揮発によって粘度が上がっていくため、そのまま粘度を落とそうとしてシンナーを継ぎ足し続けると、樹脂に対する溶剤比率が高くなりすぎる場合があります。この状態で塗装すると、仕様どおりの膜厚が確保しづらくなるだけでなく、樹脂分が薄い割に溶剤が多い塗膜になり、乾燥初期に揮発が集中してピンホールや艶ムラを起こしやすくなります。midorishokai+1
あまり語られないポイントとして、振動が多い設備や車両などにフタル酸樹脂塗料を使う場合、残留溶剤が多いままの段階で早期に稼働させると、微細なクラックやちぢれの発生リスクが上がるという現場経験もあります。仕様書上は「室温24時間で硬化良好」とあっても、実際には膜厚・下地温度・換気状態で差が出るため、振動機器や手すりなどの部位では、カタログ値以上の乾燥時間を見込んでから荷重・振動をかける方が、安全マージンを確保しやすくなります。mixing-colors+1
フタル酸樹脂塗料用シンナーは、多くが第4類危険物に該当し、消防法や危険物の規制に関する規則に基づく貯蔵・取扱いが求められます。仕様書の中には、フタル酸樹脂系塗料用シンナーの組成比を表形式で示し、「表Aのシンナーで吹き付け粘度に希釈する」といった指示を記載しているものもあり、希釈から使用までを含めて危険物として管理する前提になっています。
さらに、学校環境衛生のような分野では、塗料シンナー等に含まれる揮発性有機化合物(VOC)が室内空気汚染の要因として挙げられており、油性ペイントや樹脂塗料の溶剤について、濃度管理や換気に関する基準が示されています。建築現場でも、屋内塗装や改修工事では、希釈量を増やして揮発成分を増やすほど作業環境への影響が大きくなるため、必要以上に希釈率を上げないことや、換気計画を含めた安全対策が重要です。mext+1
また、希釈作業時には静電気や着火源の管理も求められ、特に大量のシンナーを扱う場合には、防爆仕様の攪拌機やアースの確保が推奨されるケースもあります。希釈そのものは単純な作業に見えますが、実際には塗膜性能・作業環境・法令遵守が三つ巴で絡む工程であり、フタル酸樹脂塗料だからこそ「弱溶剤だから安全」と過小評価せず、危険物としての側面を踏まえた運用が求められます。fdma+2
フタル酸樹脂塗料の使用方法と希釈率例(刷毛・ローラー15~20%、吹付30~40%などの具体値の参考)
https://www.mixing-colors.jp/?mode=f25
塗料一般の希釈方法・希釈率の考え方、溶剤塗料におけるシンナー種別と計算式の整理(希釈量算出の参考)
https://media.paintnote.co.jp/kisyaku/
フタル酸樹脂塗料の希釈率(刷毛10~15%、スプレー15~30%)や「専用希釈液を使うのがベスト」とする解説(実務希釈率と専用シンナー推奨の参考)
https://midorishokai.co.jp/塗料を正しく希釈しないとどうなる?希釈方法や希釈液の選び方を徹底解説!
塗料と専用シンナー・うすめ液の関係、専用以外を使用するリスク(共用シンナーの落とし穴の参考)
https://www.nissin-industry.jp/column/1635996902-165173
シンナーの種類(弱溶剤・強溶剤・各種合成樹脂専用シンナー)、フタル酸樹脂塗料に適したうすめ液の位置付け(シンナー分類の参考)
https://www.nipponkazai.com/post/シンナーの種類

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