

建設廃材を現場で「ちょっと燃やした」だけで、最大1,000万円の罰金リスクがあります。
建設現場で廃棄物を適正管理するうえで、「三成分分析」という考え方は避けて通れません。三成分とは、廃棄物を「水分」「可燃分」「灰分」の3つに分けて割合を求めるものです。この3つを合計すると100%になります。
| 成分 | 内容 | 求め方 |
|---|---|---|
| 水分 | 乾燥させたときに減った部分 | 105℃で乾燥→減量分を計算 |
| 灰分 | 燃やした後に残る不燃性成分 | 電気炉で強熱→残量を計算 |
| 可燃分 | 燃えてなくなる有機成分 | 100%−水分%−灰分% |
灰分が基本です。この値が大きいほど、燃やしても多くの残渣が残ることを意味します。
ここで注意が必要なのは、「灰分」という言葉が2つの意味で使われている点です。ひとつは「乾燥可燃物の灰分」で、可燃物だけを燃やしたときの残渣の割合を指します。もうひとつは三成分分析での「灰分」で、不燃物(金属・ガラスなど)と可燃物の燃え残りを合計した、廃棄物全体に対する割合を指します。
実際の計算では、不燃物は「燃やしても100%が燃え残る」という前提で算入します。実際には加熱せず、重量比をそのまま灰分に加算するわけです。同業の分析会社からデータを受け取る際、どちらの灰分が記載されているかを確認しないと、数値の解釈を誤る恐れがあります。意外ですね。
建設現場から排出される廃棄物の処理方針(焼却施設への搬入可否や発熱量の推算など)は、この三成分の数値に基づいて決まります。つまり灰分の正確な測定は、適正な廃棄物処理の出発点といえます。
廃棄物三成分(水分・灰分・可燃分)の詳しい計算方法と概念図はこちら(埼玉環境サービス)
最も広く使われているのが乾式灰化法です。この方法は電気マッフル炉(箱型の電気炉)を用いて試料を高温で燃焼させ、残った無機残渣の質量から灰分を算出します。建設廃材や木質バイオマス燃料の灰分管理では、JIS Z 7302-4(廃棄物固形化燃料の灰分試験方法)がこの乾式灰化法を採用しています。
手順は大きく5つの工程に分かれます。
測定は2回実施が原則です。2回の差が平均値の3%を超えた場合は3回目を実施し、中央値を採用します。
結論は正確な放冷管理が条件です。デシケータから出した後、すぐに秤量しないと吸湿で数値が変わります。この点は見落としやすいので要注意です。
JIS Z 7302-4(廃棄物固形化燃料 灰分試験方法)の全文はこちら(kikakurui.com)
灰分測定でよくある盲点が「温度の選択」です。乾式灰化法といっても、測定温度はJIS規格や対象物によって異なります。代表的な温度設定は以下の通りです。
特に建設廃材や木質バイオマスを扱う現場で注意してほしいのが、815℃での測定です。木質系の廃材・ペレットをこの温度で灰化すると、550℃で測定した場合と比べて灰分値が2〜4割低く出るケースがあります。これはカリウム(K)や一部の重金属が高温で揮散してしまうためです。
つまり815℃は過大に見える重金属が揮散し、灰分値は低く出ます。
この違いは、廃棄物処理施設への搬入判断や、RDF(廃棄物固形化燃料)の品質区分に直結します。木質ペレットの国内品質規格(日本木質ペレット協会)では、灰分の値によってA・B・Cの3ランクに分類されており、数値のブレがランク判定を左右することもあります。
測定目的とJIS規格番号を確認し、対象物に合った温度を選ぶのが原則です。「とりあえず炉に入れて燃やせば灰分がわかる」という認識のままでは、正確なデータを得られません。これは使えそうです。
木質バイオマス燃料の灰化温度と灰分値の変化に関する詳細資料(wbioplfm.net)
建設現場や廃棄物処理施設で三成分を正式に求める際は、環境省の通達「環整95号」に基づく方法が標準とされています。この手順は単に試料を燃やすだけでなく、廃棄物の組成分別と組み合わせた体系的な工程です。
工程の流れを整理すると、まず廃棄物を6つの組成(紙・布類、ビニール・プラスチック類、木・竹・ワラ類、厨芥類、不燃物類、その他)に分別します。その後、不燃物類を除いた5項目をそれぞれ破砕機で2mm以下に粉砕し、灰分測定用の試料に調製します。
各組成について乾式灰化法で灰分を求め、組成ごとの重量比と掛け合わせて合算することで、廃棄物全体の灰分が算出されます。不燃物類はそのまま灰分100%として加算するのが特徴です。土砂などは、不燃物扱いが一般的ですが、実際には加熱すると減量することがあります。埋設廃棄物や掘り起こし廃棄物を扱う建設現場では特に注意が必要です。
灰分測定だけ覚えておけばOKではなく、組成分別の精度が三成分全体の正確さを左右します。現場担当者が組成の分別基準を熟知していないと、数値が大きくずれる可能性があります。
廃棄物処理の現場では、この三成分データをもとに焼却施設の運転条件を決定したり、外部の分析機関に分析を委託したりするケースが多くあります。分析を委託する場合は、事前に「どの基準(環整95号かJIS規格か)で測定するか」を確認してから依頼するとスムーズです。
建設現場で出た廃材を「ちょっとだけ燃やして確認する」行為が、実は廃棄物処理法の不法焼却に該当するリスクがあります。廃棄物処理法第16条の2は、法令で認められた焼却炉・処理施設以外での廃棄物焼却を原則禁止しており、違反した場合は5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下の罰金)またはその両方が科せられます。厳しいところですね。
つまり、灰分を「現場で自ら確認しようと廃材を燃やす」行為は、適切な焼却設備がない限り違法になりえます。現場で灰分データが必要な場合は、必ず専門の分析機関(外部ラボ)に依頼するか、認定された試験設備で実施する必要があります。
また、建設廃材の中でも木質系廃材(解体木材・廃チップなど)を燃料として利用する場合、品質管理の一環として灰分の定期測定が求められます。木質バイオマス発電施設に木質廃材を売却・搬入する際は、JIS Z 7302-4またはJAS規格に準拠した灰分データの提出を求められることがあります。
灰分が高い廃材ほど燃焼後の飛灰・底灰が増え、灰の処理コストが跳ね上がります。例えば、灰分が5%の廃材と15%の廃材では、廃材1トンあたりの飛灰発生量に約3倍の差が生じます。廃棄物処理コストの管理という点でも、灰分測定の正確さは直接「お金」に影響する問題です。
廃棄物の適正処理と法令遵守を確認するには、環境省の「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について」(環整通達)が参考になります。
環境省:建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(法的根拠と処理手順)
灰分測定の数値が出た後、その数値を「どう読み解くか」を理解していないと、せっかくのデータが活かせません。測定結果の活用法を押さえておくことで、廃棄物処理コストの削減や品質管理のレベルアップにつながります。
まず確認すべきは、測定値のベース(気乾ベースか無水ベースか)です。同じ試料でも、気乾ベースと無水ベースでは数値が変わります。気乾ベースは大気中の湿度を含んだ状態の試料を基準にした値、無水ベースは完全に水分を除いた状態を基準にした値です。外部ラボから灰分データを受け取ったとき、どちらのベースかを確認しないと比較・計算が誤ります。
次に、木質ペレット品質規格の活用例を見てみましょう。日本木質ペレット協会の品質規格では、灰分によってA・B・Cの3ランクが設定されています。Aランクは灰分0.7%以下(小型ストーブ向けは0.5%以下推奨)、Bランクは1.5%以下、Cランクは3.0%以下が目安です。建設廃材を原料にしたRDFや再生燃料チップを取り扱う場合、このランク基準が取引条件に関わることもあります。
灰分だけ覚えておけばOKです、ただし発熱量とセットで理解することが重要です。灰分が高い燃料は燃焼後の残渣が多い分、発熱量も相対的に低くなる傾向があります。「灰分が少ない=良質な燃料」という基本的な関係性を押さえておけば、廃材の燃料としての価値評価にそのまま活用できます。
| 灰分(%) | 意味・目安 | 建設現場での対応 |
|---|---|---|
| 1%以下 | 木部ペレット相当の高品質 | 燃料利用・外部売却向き |
| 1〜5% | 一般的な木質廃材の範囲 | 燃料利用は可能・発熱量確認要 |
| 5%超 | 土砂・金属混入の可能性 | 組成分別の見直し・処理委託を検討 |
現場での灰分測定を外部機関に委託する際は、JIS規格の番号(例:JIS Z 7302-4)と希望するベース(気乾・無水)を最初から指定するとスムーズです。「灰分を測ってほしい」と伝えるだけでは、適用規格が担当者任せになり、意図した条件での測定にならないケースがあります。
外部機関への灰分測定委託サービスの詳細(ユーロフィン・環境分析)