配色計画とDTPエキスパートで建築資料を差別化する方法

配色計画とDTPエキスパートで建築資料を差別化する方法

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配色計画とDTPエキスパートの知識で建築資料を差別化する

RGBのまま印刷に入稿すると、モニターの鮮やかな色が最大40%くすんで仕上がり、刷り直しコストが発生します。


この記事の3つのポイント
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配色計画の基本「70:25:5の法則」

ベースカラー70%・アソートカラー25%・アクセントカラー5%の黄金比を守るだけで、建築資料・パンフレットの印象が格段に整います。

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RGBとCMYKの色再現の落とし穴

DTPエキスパートが必ず学ぶカラーマネジメントの知識。モニターで美しく見えた色が印刷で大きく変わる理由を知れば、刷り直しのリスクをゼロに近づけられます。

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カラーユニバーサルデザインと建築プレゼン

日本人男性の約20人に1人が色覚の多様性を持つと言われています。建築提案資料にCUD(カラーユニバーサルデザイン)の配色を取り入れることで、より多くの顧客に正確に情報を届けられます。


配色計画の基本——DTPエキスパートが押さえる「色の三属性」とは

建築業で日々扱うパンフレット、パース、図面説明資料といった印刷物。こうした資料の配色をなんとなく感覚で決めていないでしょうか。DTPエキスパートの試験範囲にも明記されているように、配色計画の出発点は「色相」「明度」「彩度」という3つの属性(三属性)の正確な理解にあります。


色相とは、赤・青・黄など色みの種類そのものを指します。明度は色の明るさ、彩度は色の鮮やかさを示します。建築パースで「落ち着いた高級感のある空間」を表現したい場合、単に「茶色っぽくする」のではなく、彩度を低く・明度を中〜低に設定した「グレイッシュトーン」を選ぶことで一貫した品格が生まれます。これが配色計画の起点です。


JAGAT(日本印刷技術協会)が発行するDTPエキスパートカリキュラムでは、「色はさまざまな感情を人に与える。色相・明度・彩度の組み合わせにより、どのような効果が生まれるかについて典型的なケースは理解しておかなければならない」と明示されています。同一の色相でも、トーン(明度と彩度の組み合わせ)を変えるだけで、見る人への印象は大きく変わるのです。


たとえば「青」で考えてみましょう。明度が高く彩度が低い「ペールブルー」は、開放的でやわらかな印象を与えます。一方、明度が低く彩度も抑えた「ネイビー」は、重厚で高級感のある印象になります。どちらも同じ「青」系統でありながら、建築パースや資料で受け取るクライアントの感情はまったく別物です。色を選ぶ際は、色相だけでなくトーンまで意識することが基本です。


また、DTPエキスパートカリキュラムには「プルキンエ現象」についての記載もあります。薄暗い環境では、赤色が暗く見え、青が明るく見えるという現象です。屋内の暗い環境での展示資料や夕暮れ時の現場での施工説明資料を作る場合、この特性を知らずに赤・オレンジ系を多用すると、肝心の情報が視認しにくくなるリスクがあります。色の三属性が原則です。


【JAGAT公式】DTPエキスパートカリキュラム「色」の出題範囲——色の三属性・カラースペース・メタメリズムまで体系的に解説されています。


配色計画における「70:25:5の法則」——建築資料への応用

資料を作るとき、色が多すぎてまとまりがない、という経験はよくあることです。実はこれ、色数の問題ではなく「配色の比率」の問題であることがほとんどです。


DTPエキスパートの配色計画でも扱われる有名な法則が「70:25:5の法則」です。配色を3役に分けて比率を守るというシンプルなルールです。


| 役割 | 比率 | 使用箇所の例(建築資料) |
|---|---|---|
| ベースカラー | 約70% | 背景・余白・ページ地の色 |
| アソートカラー | 約25% | 見出し背景・図表の主要色 |
| アクセントカラー | 約5% | CTA(行動喚起)・強調マーカー |


建築の提案書に置き換えると、背景・余白をオフホワイト系(ベースカラー70%)にし、見出し帯や図表をブランドカラーのネイビー(アソートカラー25%)、重要な数値や締め切り日を強調するオレンジや赤(アクセントカラー5%)で構成するとまとまりが生まれます。これが原則です。


多くの建築業の方が陥りやすいのは、「アクセントカラーの過剰使用」です。資料内の3割以上が赤や鮮やかな色で埋まると、視線が散って何が重要か伝わらなくなります。アクセントカラーは全体の5%程度、名刺で言えば1文字か2文字分の面積感に留めるのが適切です。


意外ですね。色数が多いほど「情報量が多く見える」と思いがちですが、実際には情報の優先順位が見えにくくなり、読み手のストレスになります。色を絞るほど伝わる資料になるということです。


加えて、JAGAT公式カリキュラムでは「明度の低い色は重厚な感じを与え、明度が高く彩度が低中度の色は軽やかな感じを与える」と明記されています。建築提案においてハイエンド物件を扱う資料では、ダークトーンを意識的に使い「重厚さ」を演出する選択が有効です。一方、子育て世帯向けの戸建て分譲資料なら、明るく軽やかなトーンで親しみやすさを出すのが効果的です。配色は言葉なしに「誰向けの建物か」を伝える役割も担っています。


【吉田印刷所 DTPブログ】配色の基礎——70:25:5の法則とトーンを使った実践的な配色計画の解説。


配色計画とDTPエキスパートが必須とするRGB・CMYK問題——建築資料の「色ずれ」リスク

モニターで完璧に見えた配色が、いざ印刷すると「くすんだ」「暗くなった」「違う色になった」という経験、建築業の現場でも珍しくありません。これが起きる根本的な理由は、モニターの色(RGB)と印刷の色(CMYK)の仕組みの違いにあります。DTPエキスパート試験の中核をなす知識です。


RGBは「光の三原色(赤・緑・青)」を混ぜて色を表現します。混ぜるほど明るくなる「加法混色」です。パソコンのモニターやスマートフォン画面はすべてRGBです。一方のCMYKは「シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック」のインキを重ねて色を表現する「減法混色」です。インキを重ねるほど色は暗くなります。


重要なのは「RGBの色再現域はCMYKより広い」という事実です。RGBで表現できる鮮やかな蛍光オレンジや鮮やかなエメラルドグリーンは、CMYKでは再現できません。そのためRGBのまま印刷に入稿すると、印刷会社側がCMYKへ自動変換する際に彩度が大きく落ちることがあります。最大で40%程度、色の鮮やかさが損なわれるケースもあります。刷り直しは当然追加費用が発生します。


これは痛いですね。建築業のチラシやパンフレットは1部100円〜数百円の印刷コストがかかりますが、500部規模で刷り直しが発生すれば数万円単位のロスになります。


DTPエキスパートが学ぶ対策は明確です。印刷用の資料を作る段階から最初にCMYKモードで作成し、印刷会社が推奨する「Japan Color 2001 Coated」などの標準ICCプロファイルを適用して入稿することです。建築の提案資料をデジタルデバイスで表示するだけなら問題ありませんが、印刷して配布・展示する場合は、最初からCMYKで設計するのが条件です。


さらに見落とされがちなのが「メタメリズム(条件等色)」という現象です。同じ色に見えていても、照明光源が変わると別の色に見えてしまうことがあります。たとえばD50(5000K)の光源で合わせた建材サンプルとパンフレットの色が、蛍光灯下では異なって見えることも起こります。建築のショールームや完成見学会で「資料と実物の色が違う」とクレームにつながるケースはこの現象が一因です。印刷物の色評価には演色評価数Ra95以上・色温度5000Kの標準光源を使うことが、JAGATが定めた基準です。


【Photo Retouch Office】DTP関連の色問題解決——RGBとCMYKの色ずれ原因と確認手順が実務目線で解説されています。


配色計画とDTPエキスパートが注目するカラーユニバーサルデザイン——建築資料に潜むリスク

建築の提案書や図面説明資料を作るとき、多くの人は「見た目が美しいか」を基準に配色を決めます。しかし、それだけでは十分ではありません。DTPエキスパートのカリキュラムに明記されているカラーユニバーサルデザイン(CUD)の観点が、建築業でも今後ますます重要になっています。


いいことですね。日本人男性の約5%(約20人に1人)、女性の約0.2%が色覚多様性を持つと言われています。赤と緑の区別がつきにくい「P型・D型」が多数を占めます。建築の平面図で「緑=設備配管」「赤=非常設備」のように色だけで区別した図面を作ると、この方々には正確に読み取れません。施主や顧客の約20人に1人に情報が正確に届かない可能性があります。


DTPエキスパートカリキュラムでは「年齢による視覚感度の低下や色弱者に配慮したカラーユニバーサルデザイン、ピクトグラム(絵文字・絵単語)などの視覚記号、UDフォントの使用も有用」と明示しています。建築資料における具体的なCUD配色の実践ポイントは以下のとおりです。


- 🔴 赤と緑だけで区別しない:異なる記号・パターン・文字ラベルを必ず組み合わせる
- 🔵 青と黄色の組み合わせを活用:色覚多様性のある方にも識別しやすい組み合わせです
- ⬛ 明度差で情報を担保する:色相が違っても明度差があれば、モノクロコピーでも区別できます
- 🏷️ 重要情報は文字・数値で補足:色に頼りきらず、テキストで情報を補う設計が原則です


特に建築確認書類や避難経路図など、公共性の高い資料では、カラーユニバーサルデザインに沿った配色が求められる場面が増えています。NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)が提供する「推奨配色セット」はAdobe製品でも使えるカラースウォッチとして配布されており、無料でダウンロード可能です。配色ミスによるクレームリスクを下げるためにも、一度確認する価値があります。


【NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)】推奨配色セットや色覚シミュレーションツールの解説——建築・印刷資料への応用に直結する情報が揃っています。


建築業従事者だけが気づいていない配色計画とDTPエキスパートの実用的接点

DTPエキスパートは「印刷・デザイン業界の資格」というイメージが強く、建築業の方が学ぶ機会はほとんどありません。しかしその試験範囲である配色計画の知識は、建築業が日常的に発行する多くの印刷物に直接活かせる内容です。


建築業が扱う主な印刷物・資料を整理してみましょう。


| 資料の種類 | DTPエキスパート知識の活用ポイント |
|---|---|
| 物件パンフレット・チラシ | CMYK入稿・70:25:5配色・視線誘導のレイアウト |
| 建築パース(提案用) | 色の三属性・トーン・照明光源と色の関係 |
| 図面説明資料 | CUD配色・ピクトグラム・明度差による区別 |
| 工事案内看板 | JIS安全色の配色知識・誘目性の高い配色 |
| 会社案内・コーポレートパンフ | カラーマネジメント・ICCプロファイルの設定 |


DTPエキスパート試験の合格ラインは、「DTP」「色」「印刷技術」「情報システム」「コミュニケーションと印刷ビジネス」の5カテゴリーすべてで正解率80%以上です。合格率は40〜50%程度(第63期の学科合格率は約40.4%)とされており、難関ではありませんが専門知識が問われる内容です。


建築業の方が資格取得を目指すのはハードルが高いですが、カリキュラムのうち「色」と「DTP(グラフィックデザイン)」の2カテゴリーだけを選択的に学ぶだけでも、日常の資料制作の質は大きく変わります。


これは使えそうです。たとえばAdobe Illustratorで建築パンフレットを作る際に、あらかじめカラーモードをCMYKに設定し、ICCプロファイルを「Japan Color 2001 Coated」に指定するだけで、印刷後の色ずれリスクは大幅に下がります。設定自体は3分もあれば完了します。


また、DTPエキスパートの学習教材として、JAGAT公式の「DTPエキスパートカリキュラム(最新第16版)」はウェブ上で無料閲覧が可能です。配色計画のセクションだけ読むだけでも、現場の資料制作に直結する知識が得られます。まずカリキュラムを確認することから始めてみましょう。


【JAGAT公式】DTPエキスパートカリキュラム出題範囲——最新第16版に基づく「配色計画」「カラーマネジメント」「グラフィックデザイン」の内容を無料で確認できます。