排水桝の種類と材質と設置場所

排水桝の種類と材質と設置場所

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排水桝の種類と材質

排水桝の基本分類
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用途別の種類

汚水桝、雨水桝、公共桝など排水の目的によって分類され、それぞれ異なる構造と機能を持つ

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材質による分類

コンクリート製と塩ビ製の2種類が主流で、耐久性や施工性に大きな違いがある

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設置場所の特徴

排水管の合流点や屈曲部、勾配変化点など詰まりやすい箇所に設置し、メンテナンスを容易にする

排水桝とは、汚水や雨水が流れる排水管に設置される、点検や清掃のための構造物です。建築物や敷地内の排水を効率的に管理し、排水管の詰まりを防止する重要な役割を担っています。排水桝は土木建築で使用される水を溜めるための直方体または円筒形状のもので、使用される箇所や用途により様々な名称で呼ばれています。
参考)https://xn--yyv.com/type_page/

排水桝の用途別種類と役割

 

排水桝は用途によって明確に分類され、それぞれ異なる役割を持っています。汚水桝は、トイレや厨房などから出る汚水を集めて処理するための桝で、し尿を含む生活排水を溜める役割があります。桝底に流出孔が設けられており、一カ所に集められた汚水を下水道本管に流し込む施設として機能します。汚水の処理方法として一般的なのは公共下水へ流す方法と浄化槽を使用する方法があり、どちらの場合も汚水桝は必要となる重要な施設です。
参考)https://www.renotech.jp/column/column2503_01.html

雨水桝は、屋根から雨どいを伝って集まってくる雨水を排水するための雨水管に設置する桝です。降雨時に発生する雨水を効率よく集めて排水するために設置され、特に大雨や集中豪雨時の過剰な雨水の流入を軽減し、周辺環境への負担を低減できます。桝の側面に穴が空けられている浸透タイプのものと、非浸透タイプのものがあり、浸透タイプは溜まった雨水を地中に浸透させることで処理しますが、非浸透タイプは主に下水道に流れるように排水管が設置されています。​
公共桝は最終桝とも呼ばれ、雨水、汚水などの敷地内から流れる全ての排水を集める役割を果たします。敷地排水管と下水道との接続点に設けられるマスで、取付桝とも呼ばれています。設置や管理は行政や市町村が管轄になります。
参考)https://www.maezawa-k.co.jp/school/yougo/

会所桝は、複数の排水管が合流する重要な地点に設置される設備で、流入した水を適切に調整し分配する役割を果たします。これにより、排水の流れが効率よく管理され、システムの安定性を高める役割を果たしています。​

排水桝の材質による分類と特徴

排水桝の材質は大きく分けてコンクリート製塩ビ製の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。かつてはコンクリート製の排水桝が主流でしたが、現在はより施工しやすく耐久性の強い塩ビ(塩化ビニル)という素材が使われています。
参考)https://water-support-center.suidou-shuri.com/general/sewage-manhole-types-uras/

コンクリート桝は古い住宅に広く採用されており、重量があり頑丈で壊れにくいという特徴があります。雨水・汚水などを一時的に集めて管路へつなぐ箱状の排水設備として、耐荷重・耐久性が高くメンテナンスも容易であることから、公共事業でも標準採用されています。現在は150φの塩化ビニール製の枡が主流ですが、昔は400角程度のコンクリート製の枡が一般的でした。コンクリート製の枡の場合、耐久年数が20年前後とされています。
参考)https://yellhouse.jp/blog/%E6%8E%92%E6%B0%B4%E6%9E%A1%E3%81%9D%E3%81%AE%E2%91%A1%E6%8E%92%E6%B0%B4%E6%9E%A1%E3%81%AE%E6%98%94%E3%81%A8%E4%BB%8A%E3%80%90%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E6%9E%A1%E3%81%AE/

塩ビ桝は衝撃に強くひび割れしにくいという特徴があります。硬質塩化ビニル樹脂を射出成形機と金型によって成形したもので、塩ビ管と接合することにより浸入水を防止するとともに、耐久性に優れています。コンクリート桝よりも塩ビ桝の方が寿命が長いので、現在のコンクリート桝が壊れていなくても、先を見越して塩ビ桝に乗り換えておくのが推奨されています。
参考)https://housewindow.co.jp/blog/7019.html

近年ではレジコン(レジンコンクリート)桝で軽量化と耐薬品性を両立しているケースも増えてきています。また、橋梁などの特殊な用途ではFRP製排水桝も使用されており、軽くて強く、塩害などの耐食性に優れているため、長期間に渡り健全な機能を発揮します。FRPの重量は鉄の25%程度と軽量なため、少ない人数で安全に設置ができます。
参考)https://news.build-app.jp/article/35574/

排水桝の設置場所と構造基準

排水桝は排水管の合流部や湾曲部、勾配が変わる地点に設置されます。ゴミが溜まりやすいところに設置し、掃除や点検をしやすくするためです。排水溝や下水溝から流れてくる水の合流地点に桝が設置され、排水管の繋ぎ目や曲がっている部分など、汚れやゴミが溜まりやすい場所に設けられていて、ふたを開けるだけで簡単にメンテナンスが行えます。
参考)https://iekoma.com/part/sanitary/drainagepipe/htsadmin-836/

下水道法施行令第8条では、暗渠の特定箇所にマスまたはマンホールを設けることが規定されています。具体的には、もっぱら雨水を排除すべき管渠の始まる箇所、下水の流路の方向又は勾配が著しく変化する箇所、管渠の長さがその内径又は内のり幅の120倍をこえない範囲内の箇所に設置が必要です。
参考)https://www.city.komaki.aichi.jp/material/files/group/43/53046388.pdf

排水桝はトイレや台所、お風呂等の排水に含まれる生ゴミや排泄物、油分、排水管を通る雨水に含まれる泥などを取り除くための設備として機能します。排水枡を設置している場所は、家の角やトイレ、台所、浴室、洗面所など、排水が出る箇所の外側や、合流するところにあります。
参考)https://life-support-e.net/outdoor-drainage/1858/

排水管の勾配基準も重要な設計要素です。汚水管の場合、排水人口が150人未満であれば管径100mm以上で勾配2/100以上が基準となっており、雨水排水管や合流管の場合は排水面積が200㎡未満で管径100mm以上、勾配2/100以上が求められます。下水道法施行令では管渠の勾配は、やむを得ない場合を除き、100分の1以上とすることが規定されています。
参考)https://kenchiku-setsubi.biz/haisuikan-kobai/

排水桝の雨水浸透機能と氾濫防止効果

雨水浸透桝は、雨とい等から流入してくる雨水を受けるバケツのような桝で、側面及び底面にある浸透孔から雨水を地中に浸透させる構造のものです。設置してある家で雨水が処理されますので下水や側溝はもちろん、河川にも流れ込まずに雨水を処理できる方法として、雨水浸透桝を推奨している自治体が多く、設置に補助金を出しているところもあります。
参考)https://www.smile24.co.jp/useful/sonota/usuimasu-mizuhake-taisaku/

近年の日本では、ゲリラ豪雨や災害級の大雨の影響を受けて、一部地域の浸水や河川の氾濫といった被害が発生しています。適切な位置と容量の桝を設置することで、浸水・悪臭・メンテナンス費を削減することが可能です。雨水浸透桝の桝の中にたまった水を地下に浸透する仕組みにより、都市化によって大地をコンクリートで覆うことで起こるひとたび大雨に見舞われれば洪水を引き起こす問題や、地下水の低下などの問題を解決できます。
参考)https://www.ooike.net/lineup/product/p002/

地下水位低下による地盤沈下が起こりやすくなるという問題に対して、浸透させることで地下水を回復させ地下水位低下を防ぐことができます。雨水浸透桝は施設本体の透水機能と地中への浸透機能が長期間にわたり効果的に発揮されるよう、目詰まり防止や清掃等の維持管理に配慮した構造とする必要があります。
参考)https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/cmsfiles/contents/0000173/173827/shintomasusettikizyun.pdf

排水桝のメンテナンス基準と定期清掃の重要性

排水桝の掃除は、半年に1回ほどの頻度で行うのが理想です。排水桝は定期的なメンテナンスが前提の構造なので、掃除をしないと汚れが溜まり、排水がスムーズに流れなくなる可能性があります。戸建て住宅の場合、敷地内の排水マスは基本的に住人(家主)自身で管理しなければいけません。
参考)https://www.esmile-24.com/drain-pipe/column/detail/12454/

排水桝のメンテナンスを怠ると、排水の流れが悪くなり最終的に完全な詰まりを引き起こす、汚水桝から悪臭が漂い始める、害虫が発生しやすい環境となる、排水管の劣化が進むといった問題が生じる可能性があります。特にキッチンの排水枡では、食器洗い後の食材の残りカスや調理油が流れ込み、時間が経つと固まって排水口を塞ぐことがあります。バスルームでは、髪の毛や石鹸カスが詰まりを引き起こす原因となります。
参考)https://www.hi-sumeron.com/blog/column/178270

排水桝の清掃方法は、安全に配慮してゴム手袋とマスクを着用して作業を行い、排水桝のフタを開け、内部に溜まった泥やゴミをシャベルやブラシで取り除き、バケツで回収します。新築なら5年以内に清掃を行い、その後は1年に1度くらいのペースで点検・掃除が必要になります。汚水桝の適切な掃除の頻度は家庭のライフスタイルによって異なるため、自分たちの生活にはどれくらいの掃除頻度が合っているのかチェックするのがおすすめです。
参考)https://www.odei.jp/lp02/column/809/

排水桝のメンテナンス費用は、業者によって料金設定が異なりますが、おおむね数万円というのが相場です。定期的な洗浄と管理を行うことで、家庭内の環境を清潔で健康的に保つことができます。
参考)https://mkc.jp/columns/co_061.html

前澤化成工業 - 排水設備用語集
排水設備に関する専門用語の詳細な解説が掲載されており、マスの種類や構造について理解を深めることができます。

 

富山市排水設備工事施工指針(PDF)
下水道法施行令に基づく排水設備の構造基準や設置要件が詳細に記載されており、法的根拠を確認できる参考資料です。