ハンガーレール規格とサイズ選択

ハンガーレール規格とサイズ選択

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ハンガーレール規格基準

ハンガーレール規格の重要ポイント
📏
規格サイズと板厚

#2~#8まで7種類のサイズ展開、用途に応じて適切な板厚を選択

⚖️
耐荷重性能

35kg~300kgまで幅広い耐荷重に対応、安全性を重視した選択

🔧
設置基準と施工

JIS規格準拠の品質基準、確実な施工方法とメンテナンス

ハンガーレール規格サイズ一覧

ハンガーレールの規格は、主に#2から#8まで7種類に分類され、それぞれ異なる板厚と寸法を持っています。以下が標準的な規格一覧です:
📊 主要規格の詳細寸法

規格番号 板厚(mm) A寸法(mm) B寸法(mm) C寸法(mm) 耐荷重(kg)
#2 1.2 43.5 39.5 12.0 35
#3 1.6 57.0 44.0 14.0 75
#4 2.3 71.0 54.0 17.5 150
#5 3.0 90.0 67.0 21.0 250

#2規格は最も軽量で住宅用途に適し、板厚1.2mmのスチール製で35kgまでの扉に対応します。一方で#5規格になると板厚3.0mmとなり、重量建具や産業用途に使用される250kg耐荷重を実現しています。
🔍 規格選択の重要性
規格選択を誤ると、以下のリスクが生じます。

  • 耐荷重不足による安全性の問題
  • 過剰規格による不要なコスト増加
  • 設置スペースの制約による施工困難

建築現場では、扉重量の1.5倍を目安とした安全係数を考慮した規格選択が推奨されます。

 

ハンガーレール長さ寸法規格

ハンガーレールの長さは、規格品として1820mm、2730mm、3640mm、4550mmの4サイズが標準展開されています。
📐 標準長さ規格の特徴

  • 1820mm(6尺): 住宅用の最小規格、軽量扉向け
  • 2730mm(9尺): 一般的な建築現場で最も使用頻度が高い
  • 3640mm(12尺): 大型建具や工場用途に適用
  • 4550mm(15尺): #2~#4規格のみ展開、特注対応範囲

長さ選択では、扉開口幅に対して余裕を持った設計が必要です。通常、扉幅の1.2倍以上のレール長を確保し、戸当りやエンドキャップの取付スペースを考慮します。
💡 意外な規格情報
#8規格は受注生産品として存在し、超重量建具(300kg以上)に対応する特殊規格です。建築基準法における防火扉などの重量建具では、この最大規格が使用されることがあります。
施工現場では、レール継手の使用により長尺化も可能ですが、継手部分での強度低下や走行性能への影響を考慮した設計が重要になります。

ハンガーレール耐荷重基準

ハンガーレールの耐荷重は、規格番号に比例して大幅に向上し、建築用途に応じた適切な選択が安全性確保の要となります。
⚖️ 規格別耐荷重性能
各規格の詐細な耐荷重データ。

  • #2規格:35kg(住宅用軽量扉)
  • #3規格:75kg(一般建築用中量扉)
  • #4規格:150kg(重量建具・防火扉)
  • #5規格:250kg(工場用大型扉)
  • #6規格:300kg(超重量建具)
  • #7規格:350kg(特殊用途)
  • #8規格:400kg(受注生産品)

🏗️ 安全係数と設計基準
建築基準法では、実際の扉重量に対して最低1.5倍の安全係数を適用することが求められます。例えば、100kgの扉であれば150kg以上の耐荷重を持つ#4規格以上の選択が必要です。
実際の現場では、以下の要因も考慮します。

  • 風圧荷重による追加応力
  • 地震時の横方向荷重
  • 長期使用による材料劣化
  • 不適切な操作による過負荷

特殊な耐荷重考慮事項
カーブレール使用時は、直線レールと比較して約20%の耐荷重低下が発生します。R920の1/4円カーブレールが#2~#4規格で標準展開されており、曲線部での応力集中を考慮した設計が必要です。
また、複車(ダブルローラー)と単車(シングルローラー)の選択も耐荷重に影響し、重量建具では複車の使用が推奨されます。

ハンガーレール材質選択基準

ハンガーレールの材質選択は、使用環境と耐久性要件に基づいて決定され、主にスチール製、ステンレス製、アルミ製の3種類が展開されています。
🔧 材質別特性比較
スチール製ハンガーレール

  • 最も一般的で経済性に優れる
  • 粉体塗装仕上げで防錆性を向上
  • 屋内使用が基本、湿度管理が重要
  • 規格#2~#8まで全サイズ展開

ステンレス製ハンガーレール

  • 優れた耐食性で屋外使用可能
  • 食品工場や医療施設に適用
  • 初期コストは高いが長期メンテナンス性良好
  • 規格#2~#4が標準、#5以上は特注対応

アルミ製ハンガーレール

  • 軽量化が最大の特徴
  • 耐食性とコストのバランス良好
  • 軽量建具専用、耐荷重制限あり
  • 特殊用途での採用が中心

🌊 環境条件による材質選択指針
屋外使用や高湿度環境では、ステンレス製が必須となります。特に海岸部では塩害対策として、SUS316相当のグレード選択が推奨されます。
一方、コストを重視する一般建築では、スチール製に適切な防錆処理を施すことで十分な耐久性を確保できます。粉体塗装の膜厚管理と定期メンテナンスにより、20年以上の使用実績があります。
意外な材質特性
アルミ製レールは軽量化メリットがある反面、熱膨張係数がスチールの約2倍のため、長尺レールでは温度変化による伸縮を考慮した継手設計が必要になります。

ハンガーレール施工基準と検査

ハンガーレールの施工品質は、建築物の安全性と機能性に直結するため、厳格な基準に基づいた施工と検査が求められます。
🔨 施工基準の詳細要件
レール取付精度基準

  • 水平精度:1/1000以下(3m当たり3mm以内)
  • 直線性:レール全長に対して5mm以内
  • 継手部隙間:2mm以下、段差1mm以内
  • 支持間隔:最大1200mm(#2~#3)、900mm(#4以上)

天井受け取付要領
天井受けの選択は、建物構造と荷重条件に応じて決定します。

  • RC造:コンクリートアンカー使用、引抜強度確認必須
  • 鉄骨造:溶接取付または高力ボルト接合
  • 木造:垂木や梁への確実な固定、補強材併用

🔍 品質検査項目と合格基準
施工完了後の検査では、以下項目の確認が必要です。
機能検査

  • 吊り車の走行性:全長にわたり滑らかな動作
  • 戸当り機能:確実な停止、反発なし
  • ガイドローラー:適切なクリアランス確保

安全検査

  • 耐荷重試験:設計荷重の1.25倍で異常なし
  • 取付強度:規定トルクでの締付確認
  • 防錆処理:塗装膜厚測定、欠陥部修正

独自の検査ポイント
実際の現場では、温度変化による伸縮を考慮した「季節別動作確認」が重要です。夏季と冬季で異なる温度条件下での動作チェックにより、長期使用時のトラブルを予防できます。

 

また、地震時の挙動を想定した「横揺れ試験」では、レールの横方向剛性と吊り車の脱輪防止性能を確認し、災害時の安全性を担保します。
定期メンテナンスでは、年1回の注油と清掃、3年ごとの詳細点検により、規格性能の維持と長期使用を実現しています。