

変成シリコーン接着剤は、変成シリコーン樹脂を主成分とする湿気硬化型の接着剤・シーリング材で、空気中の水分と反応して硬化し、ゴム状の弾性体になります。
硬化後も弾力性を保ち、衝撃・振動に強く、部材の膨張収縮に追従して応力を吸収できるため、建築物の取り合い部など「動く納まり」に向きます。
用途は建築用シーリング材に加え、床用(フローリング用)接着剤、タイル張り用接着剤、異種材料接着など幅が広いのが特徴です。
現場で「どのシール材・接着剤を選ぶか」で迷ったときは、まず要求性能を分解すると判断が速くなります。
また、変成シリコーンは「シーリング材としての顔」と「弾性接着剤としての顔」を持つため、設計・監理側との会話でも言葉をそろえておくとトラブルが減ります。たとえば、納まり上は接着目的でも、将来的な点検では“シーリングの一部”として扱われることがあり、補修材の互換性が問題になりやすいからです。
変成シリコーン接着剤は「何にでも付く」印象が先行しがちですが、実際は下地状態で接着性・耐久性が大きく変わるため、下地処理とプライマー適合が重要です。
メーカーは、接着性・耐久性を高める目的で下地処理剤(プライマー)の使用を推奨しており、被着体の材質や表面状態で適合プライマーが異なるため、適合確認が必要とされています。
施工の“事故りやすいポイント”を、工程の観点で整理します。
特に改修現場で見落としがちなのが「旧シール材の種類」です。既存がシリコーン系だと、表面に残留成分があり、新しい材料が乗っても界面が滑りやすく、部分的な浮き・剥がれの原因になります。ここは“撤去の度合い”と“プライマーの選定”が効きます。
参考:変成シリコーン系(変成シリコーンエポキシ樹脂系)接着剤の下地処理・プライマーの扱いが具体的に書かれている
https://www.bond.co.jp/bond/catalog/pdf/download/1000056
参考)https://www.bond.co.jp/bond/catalog/pdf/download/1000056
変成シリコーン接着剤(変成シリコン系コーキングを含む)は、表面硬化がおよそ1時間、皮膜硬化が約1.5時間、完全硬化が約3日という目安が紹介されています。
ただし硬化は空気中の水分で進むため、気温・湿度・厚みで大きく変わり、工程は「触って乾いた」ではなく「完全硬化まで必要な性能が出ない」前提で組むのが安全です。
工程管理で効くのは、次の“割り切り”です。
意外に盲点なのが、外部の取り合いで「夜間の結露」に当たるパターンです。湿気硬化型は水分が必要ですが、結露は“硬化を助ける水分”というより“界面トラブルの原因になる水膜”になり得ます。天候読みが難しい時期は、施工時間帯の調整(午前に打って夕方前に養生を外す等)や、部位によっては仮養生の延長も検討したいところです。
変成シリコーンは「硬化後に塗装が可能」とされ、外装で仕上げ塗装が絡む取り合いに採用されやすい材料です。
一方で塗装トラブル(汚染・変色・べたつき・塗膜剥離)の文脈で“ノンブリード”が重要論点として扱われることが多く、変成シリコンはノンブリード型を選ぶべきだ、という実務寄りの解説もあります。
塗装を前提にするなら、現場の判断基準を「塗れる/塗れない」ではなく、次のように分解するとミスが減ります。
「塗装できる」と「塗装して長期耐久が出る」は別物です。外壁改修では、足場解体後に不具合が見えると手戻りが致命的なので、試験施工(小面積テスト)を1日挟むだけで、クレーム確率が大きく下がります。
建築分野だけを見ていると見落としがちですが、シリコーン系接着剤(シーリング材)に含まれ得る低分子環状シロキサンが原因として「接点障害」が指摘されることがあり、電子用途では材料選定の重要項目になります。
セメダインのQ&Aでは、変成シリコーン系接着剤(シーリング材)は低分子環状シロキサンを含まないため、接点障害が懸念される用途にも使用できる旨が説明されています。
また、変成シリコーンの技術解説として「シロキサンフリー」で、シリコーンで問題となる接点障害が起きない、と明記している例もあります。
この話が建築現場で役立つのは、たとえば次のようなケースです。
「変成シリコーン=外壁のコーキング材」という固定観念のままだと、こうした要求仕様の会話で後手に回りがちです。電気・設備が絡む建築では、仕上げの見た目だけでなく“化学的に何が出るか(アウトガスや成分移行)”まで踏み込むと、提案の説得力が上がります。
参考)変成シリコンとは?コーキングやシリコンの接着力とおすすめのシ…
参考:接点障害の原因(低分子環状シロキサン)と、変成シリコーン系は含まない旨の説明
https://faq.cemedine.co.jp/technology/detail?site=T5WB9K2B&id=75
参考)FAQ詳細|Q&A 工業用|セメダイン株式会社