

弾性接着剤 タイル工法の最大の特徴は、硬化後も接着層がある程度の柔軟性を保ち、下地の微細な動きに追従できる点にあります。
コンクリートの乾燥収縮やクリープ、躯体変形、微細な地震動が生じても、弾性層が応力を緩和することでタイルへの引張応力を低減し、剥離リスクを抑えられます。
従来のセメントモルタル張りでは、深目地や薄貼りの外壁タイルは躯体の動きに追従しにくく、割れ・浮きの原因になりやすいとされてきました。
参考)外壁タイル(接着剤張り工法)
弾性接着剤 タイル工法では、こうした条件下でも深目地施工が可能になるなど、設計自由度の向上にも寄与している点は現場で意外と知られていません。asloc+1
モルタルが主に圧縮力に強い「剛性層」であるのに対し、弾性接着剤はせん断や引張に対しても粘弾性的に変形して追従するため、タイル・下地・目地材を含めた「複合システム」として性能を考える必要があります。nihonkasei+1
特に300角以上の大判タイルでは、壁面施工時に弾性接着剤の採用が推奨され、3mを超える位置では金物併用といった追加措置が必要になる点も押さえておくべきです。
参考)https://tile-park.com/blog/detail/22835
弾性接着剤 タイル工法で安定した性能を発揮させるには、下地種別ごとの適用範囲と下地処理を正しく理解することが重要です。
内装ではモルタル、既設タイル、FRP(工場成形品)、けい酸カルシウム板などへの適用が一般的で、外装ではコンクリートやALCパネルなどへの使用に際して、メーカーが定める含水率や表面状態の条件を満たす必要があります。
接着剤メーカーの仕様では、下地表面のゴミ・油分・レイタンス・旧塗膜を確実に除去し、不陸や欠損を補修したうえで平滑に整えることが前提となります。ceracore+1
特に外壁では、下地コンクリートの養生期間(例:28日以上)や含水率、表面のpHなどが、弾性接着剤の硬化と接着性能に影響するため、調査・記録を行ってから採用可否を判断するのが望ましいとされています。abc-t+1
また、弾性接着剤 タイル工法では「タイルサイズ」と「裏足形状」に応じて塗布方法が変わり、例えば600角までのタイルを対象とする製品では、3mm・5mmといったクシ目コテを使い分けて標準塗布量が細かく定められています。dinaone+1
張付け可能時間(オープンタイム)は夏季20分・冬季40分といった目安が提示されており、これを超えると表面に皮張りが生じて接着不良の原因になるため、1回当たりの塗布面積をオープンタイム内に張り終えられる範囲に絞ることが重要です。ceracore+1
弾性接着剤 タイル工法は、セメントモルタル張りに比べて内部と外部の水分移動を抑えられるため、外壁で問題となる白華・粉吹きの発生を軽減できるというメリットがあります。
一方で、弾性層そのものが「防水層」のように働くため、意図しない水分滞留が起こると、タイル表面や目地部に局所的な白華が集中して現れるといった、従来とは違うトラブルパターンが報告されています。
日本化成の資料では、有機系弾性接着剤で施工されたタイルには、専用の白華抑制型化粧目地材を組み合わせることで、一般的なセメント系目地材に比べて白華・色むらを抑えられるとしています。monoichi+1
こうした専用目地材は吸水量・透水量が小さく、耐候性や退色の少なさも特徴であり、外壁・外床での長期的な美観維持を狙う場合には、接着剤だけでなく目地材まで含めてシステムとして選定することが重要です。
参考)日本化成 NSメヂセメント 弾性接着剤専用 20kg <有機…
さらに見落とされがちなポイントとして、弾性接着剤とセメント系張付け材の併用が推奨されていない点が挙げられます。
参考)https://www.nihonkasei.co.jp/cms/NS/pdf/method/tile_method_5.pdf
異なる材料同士を部分的に併用すると、躯体の動きへの追従性や水分挙動に差が生じ、界面に応力集中が起きて剥離やひび割れを誘発するおそれがあるため、工区内ではできるだけ同一工法で統一することが望ましいとされています。asloc+1
白華・目地材の選び方と弾性接着剤専用化粧目地材の解説
日本化成「弾性接着剤について ご存知ですか?」技術資料
床における弾性接着剤 タイル施工では、壁面以上に「全面接着」と「硬化管理」が重要になります。
点付け施工は接着剤の厚みや硬化条件にムラを生じさせ、局所的な沈み込みやタイル割れを招く可能性があるため、床施工では特に全面接着工法が推奨されており、点付けは禁止事項として明記されているケースもあります。
速硬化型の内装床・壁用弾性接着剤では、冬季など低温環境で硬化が遅れることを想定し、専用の硬化促進剤を併用する仕様があります。
参考)LIXIL ビジネス情報
この場合、接着剤1本に対して硬化促進剤1袋を混練用板上で均一に練り混ぜ、混練後は速やかに塗布・張付けまで完了させる必要があり、開缶後の放置や再振り混ぜは硬化不良の原因となるため、段取り計画が重要です。
床面が平滑でない場合、弾性層の厚みが不均一になり、タイルの荷重応力が一点に集中して割れやすくなることがあります。ceracore+1
そのため、床面は事前にレベリング材等で不陸調整を行い、メーカーの規定する最大接着層厚さを超えない範囲に収めること、また床面が濡れている場合は必ず乾燥させてから接着剤を塗布することが、耐久性確保の基本となります。abc-t+1
床タイル施工一般と接着剤選定・塗布方法の解説
ABC商会「セラミックタイル施工法」カタログ
参考)https://www.abc-t.co.jp/shared/pdf/product/ceramicTile/0103_P175-182.pdf
改修工事では、既存タイルを撤去せずにそのまま下地として利用し、弾性接着剤 タイル工法で上張りするケースが増えています。
この場合、既存タイルの浮き・剥離がないことを確認し、必要に応じて部分撤去・樹脂注入やエポキシ系注入材による補修を行ったうえで、油分・汚れ・シーリング残渣等を機械的に除去してから施工することが前提条件です。
改修現場で特に意識すべきキーワードが「ディファレンシャルムーブメント(差動変位)」です。
参考)https://www.asloc.co.jp/pdf/al-dt-all.pdf
躯体コンクリートと既存タイル層、新設タイル層がそれぞれ異なる温度変化・乾燥収縮挙動を示すため、それらの差動を弾性接着剤層がどこまで吸収できるかが、長期的な剥離リスクを左右します。amnak+1
一部メーカーの試験では、弾性接着剤を用いたタイルパネルの反り量や接着力を、促進試験で長期的に評価し、差動変位に対する追従性と耐久性を確認しています。
現場レベルではあまり意識されていませんが、改修で既存仕上げを活かしつつタイルを増し張りする際には、「何をどこまで弾性層で吸収させるか」という設計思想を持ち、必要に応じて伸縮目地や目地割り計画を見直すことが、独自性の高いトラブル低減策になりえます。amnak+1
弾性接着剤張りパネルと差動変位に関する技術資料
アスロック「弾性接着剤張り」技術資料

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