

カタログだけ見て選んだインプラス内窓が、現場で3割以上の案件でサイズ違いによる手戻りを引き起こしています。
LIXILが提供するインプラスのカタログは、毎年改訂される総合カタログと、断熱・防音・防犯などテーマ別の補足資料に分かれています。建築業従事者が最初に確認すべきは、製品の正式ラインナップが載っている「インプラス 総合カタログ」です。
総合カタログが基本です。
カタログには大きく分けて「引き違い窓タイプ」「内開きタイプ」「FIX(はめごろし)タイプ」「テラスタイプ」の4系統が掲載されています。それぞれ対応する既存窓の種類が異なるため、現場の窓形状を先に把握してからカタログと照合する手順が正確です。
たとえば既存窓がテラスドア(掃き出し窓)の場合、カタログ上の「テラスタイプ」ページを参照することになりますが、有効開口高さが2,000mmを超えるケースでは標準仕様から外れる可能性があります。この点はカタログの「製品一覧表」ページに細かい上限寸法が記載されているため、見落とさないようにしましょう。
意外ですね。
ガラス種の区分も重要です。カタログにはLow-Eガラスのバリエーションとして「単板Low-E」「複層Low-E(アルゴンガス入り)」の2種が記載されており、断熱性能を示すU値(熱貫流率)の数値が製品ごとに掲載されています。引き違いタイプの複層Low-Eモデルは、U値が1.4〜2.0 W/(㎡·K)程度まで改善されます。これは既存の単板ガラスアルミサッシ(U値6.0前後)と比較すると、熱の逃げにくさが約4倍以上向上する計算です。
東京ドームのグラウンド面積(約13,000㎡)に相当する建物全体で試算すると、暖房コストへの影響は無視できない規模になります。建築業従事者として施主への提案精度を高めるには、カタログのU値一覧を手元に置いて説明することが有効です。
LIXIL インプラス公式製品ページ(製品ラインナップ・仕様確認に有用)
インプラスのカタログには、標準品として製造されるサイズ(規格品)と、注文後に工場で製作される特注品(オーダーサイズ)の2種類が混在しています。これが手戻りの最大原因です。
つまり規格品と特注品の区別が条件です。
規格品は幅370mmから幅2,600mm程度、高さ260mmから高さ1,830mm程度の範囲でマトリクス表として掲載されています。一方で特注品は幅150mm〜幅2,600mm、高さ140mm〜高さ2,000mmまで対応しますが、納期が規格品より2〜3週間長くかかる場合があります。施工スケジュールがタイトな現場では、規格品の範囲内で設計できるかどうかを最初に確認しましょう。
採寸の基本は「内法(うちのり)寸法」です。カタログの寸法表は既存窓の額縁の内側寸法(内法)を基準に記載されているため、外寸で測定してしまうと製品が合わない事態が起きます。具体的には額縁の内側の幅と高さをスケールで計測し、そこからカタログに記載されている「引き代(ひきしろ)」や「召し合わせ寸法」を差し引いた値で適合サイズを選定します。
これは使えそうです。
また、築年数が古い建物では窓の直角が出ていないケースがあります。左右・上下の寸法が5mm以上ずれている場合は、カタログの標準仕様では対応困難になることもあるため、採寸は最低でも3か所(上・中・下)測る習慣をつけておくとよいでしょう。現場経験が浅いスタッフに採寸を任せる際も、この3点採寸のルールを伝えておくと後のトラブルを防げます。
LIXIL サポート・FAQ(採寸方法や製品選定に関するよくある質問を確認できる)
カタログを開いて最初に迷うのが、ガラス種とフレームカラーの組み合わせです。インプラスのカタログには2024年度時点でガラス種が8種類以上、フレームカラーが8色掲載されており、組み合わせは単純計算で60通りを超えます。
組み合わせが多いのは強みです。
ガラス選定の基準は用途別に整理すると分かりやすくなります。
フレームカラーはホワイト・ナチュラル・ダークブラウン・ブラックなど8色が基本ラインナップです。既存の内装材・巾木・ドア枠などの色に合わせて選ぶのが基本ですが、カタログには実際の施工写真が色見本と一緒に掲載されているため、施主へのプレゼンにそのまま活用できます。
フレームカラーは施主説得に使えます。
あまり知られていない点として、カタログには記載されていないケースがある「特注カラー対応」があります。白系ではない特殊な色味を希望する施主に対しては、LIXILの営業担当に個別確認すると対応できる場合があります。これは通常の発注ルートでは把握しにくい情報なので、担当営業と密なコミュニケーションを取ることが差別化につながります。
インプラスを施主に提案する際、カタログの製品価格だけを見せると「高い」という反応になりがちです。ここで重要になるのが、国の補助金制度との組み合わせです。
補助金を先に説明するのが原則です。
2024〜2025年度に実施された「先進的窓リノベ2024事業」では、内窓設置工事に対して最大200万円(工事費補助率は最大60〜70%相当)の補助が支給されました。1窓あたりの補助額は窓のサイズと断熱グレードによって異なり、小型窓(幅1m以下)で14,000〜21,000円程度、中型窓(幅1〜1.5m)で23,000〜34,000円程度が目安です(補助額は年度・グレードによって変動)。
この補助金と組み合わせると、たとえば引き違い窓への内窓設置工事費が15万円の案件で実質負担が9〜10万円程度に収まるケースがあります。施主への提案時には「カタログ価格+工賃」の合計から補助額を引いた「実質負担額」を提示することが成約率を上げる最短ルートです。
これは使えそうです。
建築業従事者として把握しておきたいのは、補助金の対象となるには「登録施工事業者」としてあらかじめ登録が必要という点です。登録なしで施工した後に申請しても補助は受けられません。工事前の登録状況の確認が条件です。登録状況は環境省・国交省が運営する各事業の公式サイトで確認できます。
環境省 先進的窓リノベ事業公式ページ(補助金制度の詳細・登録施工事業者の確認に有用)
カタログを単なる「製品一覧」として使うか、「施主説得ツール」として使うかで、受注率に大きな差が出ます。これが意外と見落とされているポイントです。
カタログの活用方法が差を生みます。
インプラスのカタログには、断熱・防音・省エネ効果を数値で示したデータページが含まれています。たとえば「室内温度の変化グラフ」では、内窓あり・なしで冬の暖房時に室内の窓際温度が約8〜10℃異なるという実測データが掲載されています。これははがきの横幅(10cm)ほどの小さなグラフですが、施主への説明で口頭だけより視覚的なインパクトが全く違います。
また、カタログには「騒音低減のシミュレーション例」として、交通量の多い道路沿い(外部騒音65〜70dB相当)での室内騒音が内窓設置後に40〜45dB程度まで低減される事例が掲載されています。40dBは図書館内の静かさに相当するため、施主の生活実感に置き換えた説明が可能です。
現場で差がつく使い方として特に有効なのが、カタログの「お客様向け説明資料」としての分冊活用です。LIXILはWebサイトからカタログのPDF版と、施主向けの簡易版リーフレットを別途ダウンロードできます。施主には専門仕様の総合カタログより、簡易版リーフレットを渡す方がスムーズに理解してもらえます。
施主向け資料と業者向け資料は別物です。
さらに、あまり活用されていない機能として「LIXILのWeb見積もりツール」があります。カタログ品番を入力すると標準的な参考価格の試算が可能で、現場での口頭見積もりの精度を高める補助ツールとして使えます。ただしあくまで参考価格であり、実際の納入価格は販売店・代理店との取引条件によって異なるため、確定見積もりは必ず販売店に依頼することを忘れないようにしましょう。
LIXIL インプラス カタログダウンロードページ(最新カタログPDF・施主向けリーフレットを入手できる)