
インターロッキングブロックの厚さ選定は、設置場所の荷重条件によって決定されます。標準的な厚さ寸法は60mmと80mmがあり、80mmは車道や駐車場に、60mmは歩道に使用されるのが基本です。
用途別厚さ選定基準:
特に重要なのは、普通道路の交通量区分N7の車道や、空港舗装および港湾コンテナヤードなど重荷重舗装では100mmや120mmのインターロッキングブロックを使用する場合があることです。これらの特殊規格は、従来の建設プロジェクトではあまり知られていない仕様ですが、大型商業施設や物流施設の開発では必須の知識となります。
車道統一型インターロッキングブロックでは、8N型(200×100×80mm、3.3kg)と8S型(100×100×80mm、1.7kg)が標準規格として確立されており、長期間の実証実験を経て道路での高い共用性が確認されています。
インターロッキングブロックの形状は用途とデザイン性を考慮して選定します。以下は主要メーカーの標準規格一覧です。
ストレートシステム規格:
形状 | 規格寸法(mm) | 厚さ(mm) | 使用量(個/㎡) | 参考重量(kg/個) |
---|---|---|---|---|
STR-N | 98×198 | 60/80 | 50.0 | 2.6/3.5 |
STR-S | 98×98 | 60/80 | 100.0 | 1.3/1.7 |
STR-D | 148×198 | 60/80 | 33.3 | 2.9/3.9 |
STR-A | 198×298 | 60/80 | 16.7 | 5.3/7.0 |
STR-B | 198×198 | 60/80 | 25.0 | 5.9/7.9 |
STR-L | 298×298 | 60/80 | 11.1 | 11.9/15.9 |
トップシステム規格:
形状 | 規格寸法(mm) | 厚さ(mm) | 使用量(個/㎡) |
---|---|---|---|
TP-N | 111×225 | 60/80 | 38.5 |
TP-S | 111×111 | 60/80 | 76.9 |
TP-H | 111×195 | 80のみ | - |
注目すべきは、TP-H型が厚さ80mmのみの製造となっている点です。これは構造上の強度要件から来る制約で、設計段階での見落としが多い仕様です。
また、スリムタイプとして50×250×60mm(80個/㎡)や75×300×80mm(44.4個/㎡)といった特殊寸法も用意されており、狭小地や特殊なデザイン要求に対応できます。
重荷重に対応するインターロッキングブロックは、通常の歩行者用や軽車両用とは異なる設計思想で製造されています。厚さ100mmや120mmの製品は、単純に厚みを増すだけでなく、コンクリート配合や表面仕上げも最適化されています。
重荷重対応の特徴:
車道統一型では、角欠けと摩擦に強い表層の骨材粒度で製造されており、これまでの一般的なインターロッキングブロックとは明確に差別化されています。この技術革新により、従来は耐久性の問題で敬遠されがちだった車道部分への適用が現実的になりました。
港湾コンテナヤードでの使用事例では、フォークリフトやコンテナトレーラーの重量(総重量40トン超)に対応するため、120mm厚の特殊規格が採用されています。これらの現場では、ブロックの水平移動現象を防ぐため、目地材の選定と充填方法も通常とは異なる施工法が採用されています。
インターロッキングブロックの設計において、実寸法と目地込み標準割付寸法の違いを理解することは極めて重要です。多くの設計ミスは、この寸法の取り扱いが曖昧なことに起因しています。
寸法表記の読み方:
例えば、STR-N型の場合。
この2mmの差は、ブロック間の目地幅を示しており、施工面積の計算や発注数量の算出に直接影響します。1,000㎡の施工面積で目地込寸法を誤用すると、必要数量に約4%の誤差が生じ、材料の過不足や追加発注の原因となります。
施工上の注意点:
特に複雑な施工パターン(フィッシュボーン、パーケット等)では、カットブロックの発生率が高くなるため、10-15%の予備材を見込む必要があります。
施工コストの最適化を図るうえで、ブロックサイズの選定は材料費だけでなく施工効率に大きく影響します。これは業界内でもあまり体系化されていない知見です。
コスト効率の観点からの寸法選択:
サイズ分類 | 施工性 | 材料コスト | 適用場面 |
---|---|---|---|
小型(100mm角以下) | 施工時間増 | 単価高 | 曲線部・細部 |
中型(200mm角程度) | バランス良好 | 標準 | 一般部分 |
大型(300mm角以上) | 効率的 | 単価安 | 広面積 |
意外に知られていないのは、ブロック敷設機の対応サイズによる施工効率への影響です。機械施工を前提とする大規模現場では、標準的な200×100mmサイズの選択により、人力施工比較で約40%の工期短縮が可能です。
重量による作業効率への影響:
透水性インターロッキングブロックの場合、同寸法の普通タイプと比較して約10-15%軽量化されており、手作業での施工効率向上に寄与します。これは透水性を確保するための空隙構造による副次的効果で、材料選定時に考慮すべき隠れたメリットです。
さらに、施工パターンの選択によっても材料歩掛かりが変動します。ブリック張り(ランニングボンド)は材料ロスが最小となり、複雑なパターンほど10-20%の材料増を見込む必要があります。大規模開発プロジェクトでは、この差が数百万円規模のコスト差となることもあるため、設計段階での慎重な検討が重要です。