壁つなぎ アンカー w1/2 施工方法と選び方

壁つなぎ アンカー w1/2 施工方法と選び方

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壁つなぎ アンカー w1/2 施工方法

壁つなぎ用W1/2アンカーの重要ポイント
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適切な下穴径の選択

CAアンカーは18mm、PSアンカーは16.5mmと種類によって異なる下穴径が必要です

高い固定強度

W1/2規格では最大引張強度29.4kN、最大せん断強度27.44kNの性能を発揮します

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設置基準の遵守

垂直方向5m以下、水平方向5.5m以下の間隔で壁つなぎを設置する必要があります

壁つなぎ用W1/2アンカーの基本構造と機能

壁つなぎ用アンカーW1/2は、足場と建物を安全に固定するための重要な部材です。W1/2という規格はネジ径1/2インチ(M12相当)を意味し、建築現場で最も一般的に使用されるサイズとなっています。このアンカーの構造は、円錐形のプラグとスリーブから構成され、プラグを打ち込むことでスリーブが拡開し、コンクリート内壁に強固に固着する仕組みです。
参考)CAアンカー W1/2 50本入 足場材などの販売

アンカーの固定原理は、スリーブ外周の環状溝が埋込穴の内壁を円錐形に削り取ることで実現されます。この独特な設計により、奥に行くほど穴が拡がり、引張強度が大幅に向上する構造となっています。W1/2規格のCAアンカーでは、最大引張強度29.4kN(約3,000kgf)、最大せん断強度27.44kN(約2,800kgf)という高い性能を発揮します。​
労働安全衛生規則第570条では、単管足場の壁つなぎ間隔を垂直方向5.0m以下、水平方向5.5m以下と定めており、適切なアンカー選択と施工が安全確保の要となります。
参考)足場のアンカー・壁つなぎとは?設置方法と設置基準を解説

壁つなぎ用W1/2アンカーの下穴径と施工手順

適切な下穴径の選択は、アンカーの性能を最大限発揮させるための重要なポイントです。CAアンカー(外部コーン式)のW1/2規格では下穴径18mm、PSアンカー(内部コーン式)では16.5mmが標準仕様となっています。下穴径が不適切だと固定力の低下や施工不良につながるため、必ず規定サイズを守る必要があります。
参考)壁つなぎ用アンカー(RC用)|足場一番 - 足場・仮設資材販…

施工手順は以下の流れで行います。まず適合ドリルでスリーブ全長より深めの孔をあけ、吸塵機またはダストポンプで孔内の切粉を完全に除去します。次にスリーブとプラグを一体として挿入し、アンカーを軽く叩いて挿入します。CA用打込ホルダーを使用して、打撃音が変わり打込む手に反発力を感じるまで十分に打ち込むことが重要です。​
打込み完了の判断は、音の変化と手応えで行います。専用打込み棒を使うタイプは施工完了の状態が分かりやすい一方、ハンマー打撃音や手応えで判別するタイプは施工スキルが必要とされます。施工不良は足場の安全性に直結するため、経験豊富な作業者による確実な施工が求められます。
参考)足場で使用するアンカーとは足場の重要部材の一つ!価格相場と仕…

壁つなぎ用W1/2 CAアンカーとPSアンカーの選び方

RC造の建物における壁つなぎ用アンカーには、主にCAアンカー(外部コーン式)とPSアンカー(内部コーン式)の2種類があります。CAアンカーは外部コーン打込み式とも呼ばれ、W1/2規格では下穴径18mm、スリーブ径17.5mmの仕様です。一方、PSアンカーは内部コーン打込み式で、同じW1/2規格でも下穴径16.5mmとCAアンカーより小径になっています。​
価格面では、CAアンカーが50本ロットで46円/本(税別)、PSアンカーが41円/本(税別)とPSアンカーの方がやや安価です。ステンレス製では耐食性が向上しますが、CAアンカーで320円/本、PSアンカーで250円/本と価格が上昇します。海沿いや工場地帯など腐食環境下では、錆による固定力低下を防ぐためステンレス製の選択が推奨されます。​
施工性の違いとして、内部コーン打込み式は専用打込み棒を使うため施工完了の判断がしやすい特徴があります。本体打込み式のグリップアンカーGA-40は、拡張部が大きく広い面積で圧着するため高い引抜き耐力を発揮しますが、W1/2で57円/本とやや高価です。現場の条件、コスト、求められる強度に応じて最適なアンカーを選定する必要があります。​

壁つなぎ用W1/2アンカーの引張強度とせん断強度

アンカーの性能評価において、引張強度とせん断強度は安全性を左右する重要な指標です。引張強度とは、コンクリートからアンカーを引き抜こうとする力に対する抵抗力を示し、垂直方向の荷重に対応します。一方せん断強度は、コンクリート面と平行にかかる横からの力に対する抵抗力で、地震時などの水平荷重に対応する能力を表します。
参考)アンカーの引張試験とせん断試験とは?href="https://anchor-birds.jp/new/news/1167.html" target="_blank">https://anchor-birds.jp/new/news/1167.htmlamp;nbsp;href="https://anchor-birds.jp/new/news/1167.html" target="_blank">https://anchor-birds.jp/new/news/1167.htmlamp;#124;…

W1/2規格のCAアンカーでは、最大引張強度が29.4kN(約3,000kgf)、最大せん断強度が27.44kN(約2,800kgf)という高い性能を持ちます。これは約3トンの重量に耐えられる計算になり、足場の風荷重や作業荷重に対して十分な安全率を確保できます。実際の設計では、許容設計荷重として安全率を考慮した値で検討が行われます。
参考)https://www.alps-inc.co.jp/global-data/2022051910481732.pdf

アンカーの性能は、母材コンクリートの強度、縁端寸法、アンカー間の離隔、ひび割れの有無などの条件により変動します。群効果や縁端寸法の影響により耐荷力が低下する場合があるため、現場条件を十分に考慮した設計が必要です。壁つなぎの設置には強度計算書を作成し、現場での最適な強度を確認することが重要とされています。
参考)ー足場に使用される壁つなぎとは?必要性や設置方法の種類を紹介…

壁つなぎ用W1/2アンカーの設置基準と配置計画

足場の安全性を確保するため、労働安全衛生規則では壁つなぎの設置基準が明確に定められています。単管足場および簡易枠組足場では、垂直方向5.0m以下、水平方向5.5m以下の間隔で壁つなぎを設置する必要があります。一方、標準的な枠組足場では垂直方向9m以下、水平方向8m以下となっていますが、枠幅600mm未満の簡易枠組足場は垂直・水平方向共5.5m以下とより厳格な基準が適用されます。
参考)株式会社かねなか商店|施工方法と注意事項

最初の壁つなぎは足場の最下端より9m以下の高さの位置、および足場の端側に取付ける必要があります。メッシュシートやネットフレーム、鋼製朝顔などを取付ける現場では、風荷重や偏心荷重を考慮して壁つなぎの間隔をできるだけ細かく入れることが推奨されます。風荷重の計算では、補正係数K=1.35、環境係数E=1.0、風力係数C(シート張り1.3、メッシュシート0.5)として計算されます。​
建物の構造や工事内容によっては壁つなぎ専用金物を使用できない場合があり、単管パイプを「F」の形に配置して建物と足場を連結する方法も採用されます。ただし単管パイプ固定は他の方法と比較して固定力が若干劣るため、強度の検討が不可欠です。躯体開口部等により規定位置に壁つなぎが設置できない場合は、適切な代替措置を講じる必要があります。
参考)荷受けフォームの壁つなぎの取り付け方を教えてください。|株式…

壁つなぎ用W1/2アンカー施工後のメンテナンスと補修

アンカー施工後の適切な管理は、長期的な安全性を維持するために欠かせません。W1/2アンカーの取外し後は、ねじ孔に防水シールを施し、雨仕舞いを確実に行う必要があります。防水処理を怠ると、孔から水分が侵入してコンクリート内部の劣化や鉄筋の腐食を引き起こす可能性があります。
参考)足場で使用するアンカーとは?打ち込み方法と補修方法を紹介

ステンレス製アンカーは通常のスチール製と比較して耐食性が高く、錆による固定力低下のリスクが低減されます。特に海沿いや工場地帯など腐食環境が厳しい現場では、初期投資は高くなりますがステンレス製の使用が長期的な安全性確保に有効です。W1/2ステンレスCAアンカーは320円/本、ステンレスPSアンカーは250円/本と通常品の約7倍の価格ですが、耐久性を考慮すると合理的な選択となります。​
アンカーの選定ミスとして、ALC造や木造などの軽量構造物にRC用の高負荷対応アンカーを使用すると、壁材の保持力不足でアンカーが抜けやすくなる事例があります。「強ければ良い」という考えではなく、壁材の特性に合った適切なアンカーを選ぶことが重要です。中空壁には空転防止機構のあるアンカーを使用するなど、現場条件との相性を第一に考える姿勢が求められます。​