単管足場寸法一覧と重量規格表完全ガイド

単管足場寸法一覧

単管足場パイプの基本寸法規格

単管足場パイプの寸法は、JIS G 3444によって厳格に規定されています。基本的な寸法規格は以下の通りです。
📏 基本寸法

• 外径：48.6mm（JIS規格統一寸法）
• 厚み：STK500で2.4mm、SL700で1.8mm
• 長さ：1.0m～6.0mまでの標準ラインナップ

🔧 材質規格

• STK500：一般構造用炭素鋼鋼管
• SL700：スーパーライト700（軽量タイプ）
• 表面処理：溶融亜鉛めっき、樹脂系透明保護皮膜

STK500は従来から使用されている標準的な材質で、肉厚が2.4mmあるため強度が高く、高層建築物の足場に適しています。一方、SL700は肉厚1.8mmの軽量タイプで、取り扱いやすさを重視した材質です。

 

建設現場における足場管の選択基準として、工事の規模と建物の高さが重要な判断要素となります。3階建て以下の低層建築物では軽量なSL700でも十分な強度を確保できますが、それ以上の高層建築物ではSTK500の使用が推奨されます。

 

単管足場の重量表と材質別仕様

単管足場パイプの重量は、長さと材質によって大きく異なります。正確な重量把握は、運搬計画と作業効率に直結する重要な要素です。

 

⚖️ STK500（厚み2.4mm）重量表

長さ	重量	用途
1.0m	2.73kg	短尺材・調整材
1.5m	4.10kg	建地・布材
2.0m	5.46kg	標準建地
2.5m	6.82kg	中間材
3.0m	8.19kg	長尺建地
3.5m	9.56kg	大型足場用
4.0m	10.9kg	標準最大長
4.5m	12.3kg	特殊用途
5.0m	13.6kg	超長尺材
6.0m	16.4kg	最大規格

🪶 SL700（厚み1.8mm）重量表

長さ	重量	重量差
1.0m	2.08kg	-0.65kg
2.0m	4.16kg	-1.30kg
3.0m	6.24kg	-1.95kg
4.0m	8.32kg	-2.58kg
5.0m	10.4kg	-3.20kg
6.0m	12.5kg	-3.90kg

SL700は同じ長さのSTK500と比較して約24%の軽量化を実現しており、作業員の負担軽減と作業効率向上に大きく貢献します。特に手作業での組立作業が多い現場では、この重量差が作業時間の短縮につながります。

 

単管足場構成部材の寸法基準

単管足場を構成する各部材には、それぞれ標準的な寸法基準が設けられています。これらの寸法を正確に把握することで、安全で効率的な足場設計が可能になります。

 

🏗️ 基本構成部材の寸法

• 建地間隔：布方向で標準的に設定される間隔
• 層高：1.65mを標準とする垂直間隔
• 作業床幅：40cm以上を確保（安衛則基準）
• 手すり高さ：85cm以上110cm以下

📐 クランプ・接続部材の寸法

• 直交クランプ：48.6mmパイプ専用設計
• 自在クランプ：角度調整可能タイプ
• 固定ベース：地面設置用の基礎部材

実際の現場では、建物の形状や周辺環境に合わせて、これらの基本寸法を調整する必要があります。特に狭小地や変形地では、標準寸法からの適切な調整が安全性確保の鍵となります。

 

建地の垂直精度は、足場全体の安定性に直結する重要な要素です。建地が1度傾くだけで、10mの高さでは約17cmのズレが生じ、これが足場全体の変形や崩壊の原因となる可能性があります。

 

単管足場組立時の寸法設定基準

足場組立における寸法設定は、安全性と作業効率の両面から極めて重要です。適切な寸法設定により、作業員の安全確保と工期短縮を同時に実現できます。

 

🔧 組立時の重要寸法

• 壁つなぎ間隔：垂直方向5m以下、水平方向5m以下
• 筋かい設置間隔：5スパン以内に1箇所
• 作業床の最大張り出し：25cm以下
• 手すりと中さんの間隔：30cm以下

⚡ 安全基準寸法

• 開口部の最大幅：25cm以下
• 足場と建物の離れ：30cm以下
• 昇降設備の設置間隔：40m以下

地上第1の布は、地上から高さ2m以下に設置することが労働安全衛生規則で義務付けられています。この規定は、足場の基部安定性を確保するとともに、万一の転倒時における被害拡大を防止する目的があります。

 

足場組立時には、各部材の締め付けトルクも重要な管理項目です。クランプの標準締め付けトルクは40～60N・mとされており、この範囲を外れると接続部の強度不足や過度な締め付けによる部材損傷を引き起こす可能性があります。

 

単管足場寸法計算の実務ポイント

実際の建設現場では、理論的な寸法計算だけでなく、現場特有の条件を考慮した実務的な寸法調整が必要です。経験豊富な足場職人が重視する実務ポイントを紹介します。

 

💡 現場での寸法調整テクニック

• 温度変化による伸縮：夏場は約0.1%の熱膨張を考慮
• 地盤沈下への対応：軟弱地盤では敷板面積を1.5倍に拡大
• 風荷重計算：高さ10m以上では風速40m/sを想定した設計
• 積載荷重分散：集中荷重を避ける部材配置

🎯 効率的な寸法設計のコツ
建設現場では、標準的な寸法表だけでは対応できない特殊な状況が頻繁に発生します。例えば、隣接建物との離隔距離が限られている場合、標準的な足場幅では設置できないケースがあります。このような場合、片側足場や吊り足場との組み合わせによる解決策を検討する必要があります。

 

また、足場材の運搬効率を考慮した寸法選択も重要です。4mを超える長尺材は運搬時に特殊車両が必要となる場合があり、現場アクセスや周辺道路状況を事前に調査して適切な寸法を選択することが、工期とコストの最適化につながります。

 

積雪地域では、雪荷重を考慮した補強材の追加配置が必要です。一般的に、積雪1cmあたり約3kg/㎡の荷重が足場にかかるため、多雪地域では通常の1.5～2倍の強度設計が推奨されます。

 

足場の解体時期も寸法設計に影響を与える要素です。長期間設置される足場では、材料の経年劣化や錆の進行を考慮して、より余裕のある寸法設定を行うことが安全性確保の観点から重要となります。

 

高品質な足場設計のためには、これらの実務ポイントを総合的に判断し、現場条件に最適化された寸法仕様を策定することが不可欠です。