角ねじ規格の種類と特徴を解説

角ねじ規格の種類と特徴を解説

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角ねじ規格の基礎知識

角ねじ規格の基本構造
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特殊な形状

ねじ山の断面が長方形(正方形)の特殊ねじ

🔧
高い伝達力

大きな軸方向の力を効率よく伝達可能

摩擦抵抗が小さい

三角ねじに比べて効率的な力の伝達

角ねじ規格のねじ山形状と基本特徴

角ねじは、ねじ山の断面が長方形(正方形)形状を持つ特殊なねじです。ねじ山の角度は90°で構成されており、ねじ面が軸線に対して直角になっているため、力の働く方向が軸線と平行になる構造が最大の特徴です。
この形状により、三角ねじと比較して以下の利点があります。

  • 摩擦抵抗が小さく、効率が良い
  • 大きな軸方向の力を伝達可能
  • 力の方向性が明確で効率的

角ねじは精度が比較的低いとされていますが、大きな伝達力を必要とする用途において威力を発揮します。

角ねじ規格の標準寸法と山数

角ねじには独自のJIS規格は設定されておらず、一般にセラース標準角ねじが使用されています。セラース標準規格では、呼び径10mmから190mmまでの範囲で詳細な寸法が規定されています。
主要寸法例(10mm~30mm)

  • 呼び径10mm:谷の径7.2mm、山数9(25.4mmあたり)
  • 呼び径16mm:谷の径12.4mm、山数7
  • 呼び径20mm:谷の径15.8mm、山数6
  • 呼び径30mm:谷の径24.9mm、山数5

山数(N)は25.4mm(1インチ)あたりのねじ山の数で表現され、径が大きくなるほど山数は少なくなる傾向があります。
大径部の規格(60mm~190mm)
大径の角ねじでは、より粗いピッチが採用されています。

  • 呼び径80mm:山数3
  • 呼び径100mm:山数2.5
  • 呼び径160mm:山数2

角ねじ規格の製造と加工上の特徴

角ねじの製造には特殊な加工技術が必要です。一般的な三角ねじ用のタップが使用できないため、多くの場合旋盤加工でめねじを製作する必要があります。
加工上の重要ポイント:

  • フランク面に3°~15°の角度を付けることがある
  • 市販のタップが存在しないため特殊加工が必要
  • DIN規格が参考とされることが多い

角ねじの製作では、ねじ山の角度精度と平行度が重要な管理項目となります。特に、ねじ山の側面が完全に垂直でなく、わずかな傾斜を付けることで、加工精度とはめあい性能の向上を図っています。
製造コストは三角ねじより高くなりますが、大きな力を伝達する用途では投資効果が高く評価されます。

 

角ねじ規格の台形ねじとの比較分析

建築業界では角ねじと台形ねじの使い分けが重要です。両者は似た用途で使われることがありますが、明確な違いがあります。

 

形状の違い:

  • 角ねじ:ねじ山角度90°
  • 台形ねじ:ねじ山角度30°

性能の比較:

項目 角ねじ 台形ねじ
摩擦力 より小さい 小さい
精度 低め 高精度加工可能
伝達力 大きい 高い強度
製作性 困難 容易

台形ねじは工作機械の送りねじに多用されるのに対し、角ねじは万力やジャッキなど、より大きな力を必要とする用途に適用されます。

角ねじ規格の建築業界における特殊用途

建築業界での角ねじ活用は、他の産業とは異なる特殊な要求があります。建築現場で求められる性能は以下の通りです。
建築特有の要求事項:

  • 重量物の支持と調整機能
  • 長期間の耐久性と安定性
  • 現場での調整とメンテナンス性
  • 安全性の確保

具体的な建築用途例:

  • 型枠支保工のジャッキシステム
  • 大型建築機械の位置調整機構
  • 重量鉄骨の組立治具
  • 橋梁工事用の特殊治具

建築業界では、角ねじの大きな伝達力特性を活かし、従来の油圧システムでは対応困難な精密調整が必要な場面で重宝されています。特に、段階的な荷重調整や長期間の荷重保持において、機械的な確実性が評価されています。

 

また、建築現場の環境条件(粉塵、湿度、温度変化)に対する耐性も重要な選定要素となり、適切な表面処理と材質選択が求められます。近年では、高強度材料を使用した角ねじが開発され、より過酷な建築環境での使用が可能になっています。

 

参考リンク - 角ねじの基本特性と用途について詳しい技術解説
https://hitopedia.net/%E8%A7%92%E3%81%AD%E3%81%98/
参考リンク - ねじの種類と特徴を包括的に解説
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machine-elements/screw/type.jsp