型枠鋼管寸法一覧|規格別重量と許容応力度データ集

型枠鋼管寸法一覧|規格別重量と許容応力度データ集

記事内に広告を含む場合があります。

型枠鋼管寸法一覧

型枠鋼管の基本規格と用途
📏
60角鋼管(型枠・吊り足場用)

最も一般的な型枠用鋼管で、□-60×60×2.3の断面形状を持つ

⚖️
100角鋼管(大引用)

重荷重対応の大引用途で、3.2×100×100の高強度仕様

📊
JIS規格準拠の品質保証

JIS G3466 STR9124準拠で溶融亜鉛メッキ処理済み

型枠用60角鋼管の寸法規格と重量データ

型枠工事で最も頻繁に使用される60角鋼管は、断面サイズ□-60×60×2.3mmの角形鋼管です。この規格は型枠・吊り足場用として特化されており、建設現場での汎用性の高さから標準仕様として採用されています。

 

60角鋼管の長さ別重量一覧表

長さ 重量 商品コード
1.0m 4.06kg 00901
1.5m 6.09kg 00902
2.0m 8.12kg 00903
2.5m 10.15kg 00904
3.0m 12.18kg 00905
3.5m 14.21kg 00906
4.0m 16.24kg 00907

この重量データは現場での運搬計画や足場設計時の荷重計算に欠かせない情報です。特に高所作業では、作業員1人当たりの運搬可能重量を考慮した長さ選定が重要になります。

 

断面性能と技術仕様
60角鋼管の断面性能は以下の通りです。

  • 断面積:12.130cm²
  • 断面2次モーメント:187cm⁴
  • 断面2次半径:3.83cm
  • 断面係数:37.5cm³(9.44cm³の記載もあり)

これらの数値は構造計算時の基礎データとなり、許容荷重の算定に直接影響します。

 

型枠用100角鋼管の寸法規格と性能比較

大引用途に特化した100角鋼管は、断面サイズ3.2×100×100mmの角形鋼管で、60角鋼管と比較して約2.3倍の荷重耐性を持ちます。重量物を支える型枠工事や大スパンの構造物に使用されます。

 

100角鋼管の長さ別重量一覧表

長さ 重量 60角との重量比
1.0m 9.52kg 約2.3倍
1.5m 14.3kg 約2.3倍
2.0m 19.04kg 約2.3倍
2.5m 23.8kg 約2.3倍
3.0m 28.56kg 約2.3倍
3.5m 33.32kg 約2.3倍
4.0m 38.08kg 約2.3倍
5.0m 47.6kg -
6.0m 57.12kg -

100角鋼管は5.0mおよび6.0mの長尺材も製造されており、大型構造物の型枠工事での継手数削減効果が期待できます。ただし、6.0m材の57.12kgは現場での取り扱いに重機が必要になるため、作業計画時の考慮が重要です。

 

100角ジョイントの活用
100角鋼管専用の直線ジョイント(重量3.0kg)を使用することで、現場での長さ調整や継手施工が可能です。このジョイントシステムにより、設計変更や施工精度の向上に対応できます。

 

型枠鋼管のJIS規格と断面性能一覧

型枠用鋼管は一般構造用炭素鋼鋼管JIS G3466 STR9124に準拠しており、表面処理としてJIS H8641およびJIS H9124規格のHDZ40(付着量400g/m²以上)溶融亜鉛メッキが施されています。

 

JIS規格による配管寸法の呼び方
配管業界では、A呼称(mm系)、B呼称(inch系)、俗称の3つの表記方法が併用されています。

  • A呼称:ミリメートル系の寸法表記(例:25A)
  • B呼称:インチ系の寸法表記(例:1B)
  • 俗称:現場での通称(例:1インチ)

主要配管サイズの対応表

A呼称 B呼称 俗称 外径(mm)
15A 1/2B 4分 21.7
20A 3/4B 6分 27.2
25A 1B 1インチ 34.0
32A 1-1/4B 1インチ2分 42.7
40A 1-1/2B 1インチ半 48.6
50A 2B 2インチ 60.5

この規格統一により、設計図書と現場施工の寸法整合性が確保されています。

 

断面性能による強度分類
型枠鋼管の断面性能は用途に応じて以下のように分類されます。
🔹 軽量型枠用(60角)

  • 断面係数:9.44cm³
  • 主な用途:一般的な型枠・吊り足場

🔹 重荷重対応用(100角)

  • 断面係数:大幅向上
  • 主な用途:大引・重量物支持

型枠鋼管の許容応力度と安全係数の計算

型枠工事における安全性確保には、鋼管の許容応力度を正確に把握し、適切な安全係数を設定することが不可欠です。60角鋼管の標準的な許容応力度は以下の通りです。
基本許容応力度データ

  • ヤング係数(E):2.058×10⁷ N/cm²(2.1×10⁶ kg/cm²)
  • 許容曲げ応力度(fb):15.680 kN/cm²(1.600 kg/cm²)
  • 許容せん断応力度(fs):8.820 kN/cm²

これらの数値は構造計算時の基準値として使用され、型枠の安全性を数値的に担保する重要な指標です。

 

実務での安全係数設定方法
型枠工事では一般的に以下の安全係数が適用されます。
🔹 静的荷重に対して:安全係数2.0以上
🔹 動的荷重に対して:安全係数2.5以上
🔹 風荷重併用時:安全係数3.0以上
計算例として、60角鋼管を2.0mスパンで使用する場合。

  • 許容荷重 = 許容曲げ応力度 × 断面係数 ÷ スパン長
  • 実用荷重 = 許容荷重 ÷ 安全係数

この計算により、現場条件に応じた適切な鋼管選定が可能になります。

 

荷重分散効果の考慮
複数本の鋼管を並行配置する場合、荷重分散効果により実効的な許容荷重が向上します。ただし、鋼管間の剛性差や設置精度により分散効果にばらつきが生じるため、設計時は保守的な評価が推奨されます。

 

型枠鋼管選定時の現場活用ポイント

型枠工事の効率化と安全性向上を両立するため、現場での鋼管選定には実践的なノウハウが重要です。特に最近の建設現場では、省力化と品質確保の両立が求められています。

 

運搬効率を考慮した長さ選定
現場での取り扱い性を重視した選定基準。
🔹 1人運搬の場合:1.5m材まで(重量6.09kg)
🔹 2人運搬の場合:3.0m材まで(重量12.18kg)
🔹 重機併用の場合:4.0m材以上(重量16.24kg超)
この基準により、作業効率と安全性のバランスを最適化できます。

 

特殊な現場条件への対応
通常の型枠工事以外での活用事例。
🔹 橋梁下面型枠工:H鋼桁下フランジ側面との密接設置が必要
🔹 型枠孔径設定:Φ15~20mm程度の取付用ボルト孔
🔹 分割設置:橋軸方向に2枚以上の分割が必須
これらの特殊条件では、標準的な型枠工事とは異なる技術的配慮が必要になります。

 

品質管理上の注意点
型枠鋼管の品質確保には以下の点が重要です。

  • 表面処理の確認:溶融亜鉛メッキの付着量確認
  • 寸法精度の検査:角度精度と直線性の測定
  • 継手部の処理:ホゾ設置またはシール材充填による漏れ防止

特に継手部の処理は、コンクリート打設時の品質に直接影響するため、施工前の入念な確認が必要です。

 

コスト最適化の考え方
鋼管選定時のコスト要因。
🔹 初期費用:材料費と運搬費
🔹 維持費用:保管・メンテナンス費
🔹 転用回数:減価償却効果
長期的な視点では、品質の高い鋼管を選定し、適切なメンテナンスを行うことで、転用回数の増加によるコスト削減効果が期待できます。

 

技術的な発展動向
最近の型枠鋼管技術では、軽量化と高強度化の両立が進んでいます。新しい鋼種の採用や断面形状の最適化により、従来品と比較して約10-15%の軽量化を実現した製品も登場しています。これらの新技術により、現場作業の省力化と安全性向上が同時に達成されています。

 

型枠工事の効率化には、適切な鋼管選定が不可欠です。本記事で紹介した寸法データと技術仕様を参考に、現場条件に最適な型枠鋼管を選定することで、工事品質の向上と作業効率の最適化を実現できます。