

型枠パネルの寸法は、日本全国で統一されているように見えて、実は地域によって微妙な違いがあります。最も一般的なのは二六版と呼ばれる600×1800mmのパネルと、三六版の900×1800mmのパネルです。
関西地方では、パネルの厚みが72mmとなっており、これは桟木60mmにベニヤ12mmを組み合わせた構造によるものです。一方、関東地方では桟木が50mmのため、全体の厚みは62mmとなります。この10mmの違いは、現場での転用や保管において重要な要素となります。
パネルの長さは900mmから3000mmまで対応可能で、現場の要求に応じて調整されます。特に高層建築では、階高に合わせたパネル長さの選定が作業効率に大きく影響するため、事前の寸法計画が重要です。
二六版・三六版の詳細寸法
桟木の寸法は、型枠工事において最も地域差が顕著に現れる部材の一つです。四国や関西地方では30×60mmが標準的に使用されていますが、関東・東北地方では30×50mmが主流となっています。
特に興味深いのは、東北地方の北部に進むほど24×48mmという、より細い桟木が使用される傾向があることです。これは気候条件や地域の木材供給事情、さらには施工慣習の違いによるものと考えられています。
地域別桟木寸法一覧
材木屋からの仕入れ価格も地域により異なり、関東では30×50mmの方が流通量が多いため、コスト面でも有利になることが多いです。転勤や新規参入の際は、事前に地域の材木屋に問い合わせることが重要です。
桟木の強度については、断面積が小さいからといって必ずしも弱いということはありません。北部地域では、より強固な木材を使用するケースが多く、24×48mmでも十分な強度を確保しています。
現代の型枠工事でも、尺貫法に基づいた寸法体系が色濃く残っています。1尺が303mmという基準から、様々な建築材料の寸法が決められており、型枠材料も例外ではありません。
基本的な尺貫法寸法
二六版の「二六」は2尺×6尺を意味し、正確には606×1,818mmとなりますが、実用上は600×1,800mmとして扱われています。同様に三六版も3尺×6尺で、909×1,818mmが正確な寸法ですが、900×1,800mmとして標準化されています。
石膏ボードの規格サイズである910×1,820mmも、この三六版の考え方を踏襲しており、建築業界全体で尺貫法の影響が続いていることがわかります。
型枠大工の技能検定においても、この尺貫法に基づいた寸法計算が出題されることがあり、現場での実用性だけでなく、技術者としての基礎知識としても重要です。
型枠コンクリートブロックは、特殊な現場条件や仮設構造物において使用される重要な型枠材料です。標準的な隅形ブロックの寸法は390×190×150mmで、重量は約12kgとなっています。
このブロックは、通常の木製型枠では対応が困難な箇所、例えば地下構造物の外壁や、水圧のかかる部分での使用に適しています。コンクリート打設後も撤去の必要がないため、工期短縮とコスト削減を実現できます。
型枠ブロックの特徴
残存型枠として使用される場合は、600×1,200×40mmのパネル型も利用されます。これらは100㎡当たり139枚必要という計算になり、大規模な現場での材料計画に重要な数値となります。
型枠寸法の選定は、単に標準サイズを選べば良いという単純な問題ではありません。現場の条件、工期、予算、そして地域の供給体制を総合的に判断する必要があります。
寸法選定の重要ポイント
特に注意すべきは、転勤や新規参入時の地域差への対応です。関西から関東への転勤の場合、桟木寸法の違いにより、既存の加工図面や施工方法の見直しが必要になることがあります。
また、近年の労働力不足を背景に、より軽量で扱いやすい材料への需要が高まっています。伝統的な寸法体系を維持しながらも、作業効率と安全性を両立する新しい規格の開発も進んでいます。
現場での実用性を高めるため、寸法調整可能な製品も多数開発されており、標準寸法では対応できない特殊な形状にも柔軟に対応できるようになっています。これらの新技術と従来の標準寸法体系を適切に組み合わせることが、現代の型枠工事における重要な技術となっています。
型枠工事の品質向上と効率化のためには、これらの寸法知識を現場条件に合わせて適切に活用することが不可欠です。地域特性を理解し、標準寸法の背景にある尺貫法の考え方を把握することで、より精度の高い型枠計画が可能となります。