軽溝形鋼規格JIS G3350完全ガイド

軽溝形鋼規格JIS G3350完全ガイド

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軽溝形鋼規格の基本知識

軽溝形鋼規格のポイント
📏
JIS G 3350規格

一般構造用軽量形鋼の国家規格で品質と寸法を保証

⚖️
SSC400材質

降伏点245N/mm²以上の高強度材料

🔧
多様な用途

建築から農業まで幅広い分野で活用可能

軽溝形鋼JIS G3350規格の概要と適用範囲

形鋼は「一般構造用軽量形鋼」としてJIS G 3350で規格化されており、建築や農業分野で重要な構造材として位置づけられています。この規格では、軽みぞ形鋼リップみぞ形鋼の2つの形状が定められ、それぞれ厳格な品質基準が設けられています。

 

規格の適用範囲は以下の通りです。

  • 建築用途鉄骨造の母屋・胴縁材として使用
  • 農業用途:平張り施設の胴縁として活用
  • 機械工作:軽量性を活かした機械部品
  • エクステリア外構工事での構造材
  • 自動車部材:軽量化が求められる自動車部品

材料記号はSSC400で統一されており、これは最小引張強さ400~540N/mm²を保証することを意味しています。降伏点は245N/mm²以上と定められ、構造材として十分な強度を確保しています。

 

製造方法としては、めっき鋼板や黒皮鋼板を原材料として冷間成形により製造されるため、熱間圧延材と比較して寸法精度が高く、表面品質も優れているという特徴があります。

 

軽溝形鋼SSC400材質の化学成分と機械的性質

軽溝形鋼に使用されるSSC400材質は、厳格な化学成分基準により品質が管理されています。

 

化学成分基準(%)

  • 炭素(C):0.25以下
  • リン(P):0.050以下
  • 硫黄(S):0.050以下

これらの成分制限により、溶接性と加工性を確保しながら必要な強度を実現しています。特に炭素含有量を0.25%以下に抑制することで、溶接時の硬化を防ぎ、現場での施工性を向上させています。

 

機械的性質については以下の基準が設けられています。

  • 降伏点または耐力:245N/mm²以上
  • 引張強さ:400~540N/mm²
  • 伸び:板厚5mm以下で21%以上、5mmを超える場合17%以上

この機械的性質により、軽溝形鋼は構造材として必要な強度と延性を兼ね備えており、地震などの動的荷重に対しても優れた性能を発揮します。

 

また、冷間成形により製造されるため、断面形状が安定しており、設計通りの断面性能を確実に得ることができるという大きなメリットがあります。

 

軽溝形鋼の製造における品質管理・検査体制について詳しい情報
https://www.ns-kenzai.co.jp/pdf/a1/light_kikaku.pdf

軽溝形鋼寸法表記の読み方と許容差

軽溝形鋼の寸法表記はH × A × B × t × Lの形式で統一されており、各記号の意味を正確に理解することが重要です。

 

寸法記号の意味

  • H:高さ(辺の長さ)
  • A:幅(辺の長さ)
  • B:リップ長さ(辺の長さ)
  • t:板厚
  • L:長さ

例えば「450 × 75 × 75 × 6.0 × 5500」の場合、高さ450mm、幅75mm、リップ75mm、板厚6.0mm、長さ5500mmを表します。

 

寸法許容差についてもJIS G 3350で厳格に規定されています。

  • 高さ(H)の許容差
  • 150mm未満:±1.5mm
  • 150mm以上300mm未満:±2.0mm
  • 300mm以上:±3.0mm
  • 辺(A)の許容差:±1.5mm
  • リップ(C)の許容差:±2.0mm
  • 板厚の許容差:厚みに応じて±0.22mm~±0.60mm
  • 長さの許容差:+40、0mm(プラス側のみ)
  • 曲がり:全長の0.2%以下

これらの許容差により、設計通りの性能を確保できる精度が保証されています。特に隣り合った平板部分のなす角度は±1.5度以内に管理されており、組み立て時の精度向上に寄与しています。

 

軽溝形鋼重量計算の実践方法

軽溝形鋼の重量計算は、各サイズごとに定められた**単位質量(kg/m)**を基準として行います。計算式は以下の通りです。
基本計算式
単位質量(kg/m)× 長さ(m)= 重量(kg)
実際の計算例
450×75×75×6.0×5,500mmの軽溝形鋼の場合

  • 単位質量:27.3kg/m
  • 長さ:5.5m
  • 重量:27.3kg/m × 5.5m = 150.15kg

主要サイズの単位質量一覧

サイズ(H×A×B×t) 単位質量(kg/m) 断面積(cm²)
450×75×75×6.0 27.3 34.82
400×75×75×6.0 25.0 31.82
300×50×50×4.5 13.6 17.33
250×75×75×6.0 17.9 22.82
200×50×50×4.0 9.00 11.47
150×75×75×4.5 10.1 12.83

重量計算における注意点として、運搬費用や施工効率への影響も考慮する必要があります。特に大量使用する場合は、総重量から必要なクレーン能力や作業人員の算定も重要です。

 

また、束での納入時は結束本数と束質量も重要な要素となります。例えば60×30×10×2.3mmの場合、50本束で500kgとなり、現場での取り扱い性を考慮した計画が必要です。

 

軽溝形鋼の寸法・重量データの詳細情報
https://ranoblog.org/light-channel-steel/

軽溝形鋼選定における独自チェックポイント

軽溝形鋼の適切な選定には、一般的な強度計算だけでは見落としがちな独自の評価ポイントがあります。現場経験に基づく実践的なチェック項目をご紹介します。

 

🔍 施工環境適応性チェック

  • 内R寸法の確認:例えば300×50×4.5の内R寸法は5R前後ですが、この数値は配管や配線の取り回しに直接影響します
  • 表面処理の適合性:黒皮仕上げの場合、錆止め塗装の密着性を事前確認することが重要
  • 温度変化対応:農業施設では昼夜の温度差による伸縮を考慮した継手部の設計が必要

⚡ 加工性評価のポイント
軽溝形鋼は冷間成形材のため、現場加工時に以下の特性を理解しておくことが重要です。

  • 切断加工時の変形:薄肉のため切断時に断面が潰れやすく、切断公差±1.0mmを考慮した設計が必要
  • 穴あけ加工の位置精度:例えば40×20×2.3mmの40mm面中央にφ13の穴を開ける場合、位置精度が構造性能に影響
  • 溶接時の熱影響:板厚が薄いため溶接熱による変形が大きく、仮止め方法の工夫が必要

📊 コスト最適化の隠れたポイント

  • 定尺長さの活用:標準6mの定尺を最大限活用する切り回し計画により、材料費を20-30%削減可能
  • 束単位での発注:50本束や40本束など、束単位での発注により単価優遇を受けられるケースが多い
  • 在庫回転率:一般的でないサイズは取り寄せ期間が長く、工期に影響するため早期確認が重要

🏗️ 長期性能予測

  • 腐食環境での性能低下:海岸地域や工場地帯では、板厚の20-30%程度の腐食代を見込んだ設計が安全
  • 振動疲労対策:機械設備周辺での使用では、動的荷重による疲労破壊を防ぐため、応力集中部の設計に注意
  • メンテナンス性:将来的な点検・交換を考慮し、分割可能な構成とすることで維持管理コストを削減

これらの独自チェックポイントを活用することで、単純な強度計算だけでは見えない品質向上とコスト最適化を同時に実現できます。特に長期使用を前提とした構造物では、初期コストよりもライフサイクルコストを重視した選定が重要となります。

 

軽溝形鋼の実際の施工事例と現場での取り扱い方法
https://www.yokoyama-techno.net/detail/86.html