建築確認済証ない登記の対処法と売却への影響

建築確認済証ない登記の対処法と売却への影響

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建築確認済証ない登記

建築確認済証がない場合の登記と対処法
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代替書類で登記可能

台帳記載事項証明書や固定資産税証明書など複数の所有権証明書を組み合わせることで表題登記が可能です

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住宅ローン審査への影響

検査済証がない物件は金融機関の融資審査が厳しくなり、売却時の価格下落リスクがあります

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ガイドライン調査による救済

建築基準法適合状況調査報告書を取得することで、検査済証がなくても適法性を証明できます

建築確認済証がない状態での登記は、不動産従事者にとって頻繁に直面する課題です。結論から言えば、建築確認済証がない未登記建物でも、建物表題登記を行うことは可能です。ただし、通常とは異なる手続きや代替書類の準備が必要となります。
参考)https://sato-archioffice.jp/%E5%BB%BA%E7%AF%89%E7%A2%BA%E8%AA%8D%E3%81%8C%E7%84%A1%E3%81%84%E5%BB%BA%E7%89%A9%E3%81%AE%E8%A1%A8%E9%A1%8C%E7%99%BB%E8%A8%98%E3%81%AF%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F/

建物を新築した場合、通常は建築確認済証や検査済証を添付して表題登記を申請しますが、数十年放置された未登記建物では確認済証を紛失しているケースが多く見られます。この問題を解決するためには、確認済証を紛失した場合と、そもそも取得していない場合で対処法が異なることを理解する必要があります。​

建築確認済証を紛失した場合の登記手続き

 

建築確認済証を取得していたものの書類を紛失した場合、台帳記載事項証明書を活用することで登記手続きが可能です。台帳記載事項証明書とは、確認済証や検査済証の番号や交付年月日が、役所が保存している建築確認台帳に記載されていることを証明する書類です。​
この証明書は、建築確認を行った特定行政庁(審査を管轄する県や市役所)または指定確認検査機関に対して交付申請できます。発行手数料は1通につき300円程度の自治体がほとんどで、役所の建築指導課窓口で取得可能です。
参考)https://lab.iyell.jp/knowledge/realestate/daichou-kisaizikou-shoumeisho/

ただし注意点として、台帳記載事項証明書には図面が含まれないため、建物が未登記のまま数十年経過している場合は、証明内容と現況の面積や用途に変更がないか慎重に調査する必要があります。また、時期によっては台帳が焼失・紛失している場合や、作業ミスで台帳に記録が抜けているケースもあることを理解しておくべきです。​

建築確認済証を取得していない場合の登記対処法

そもそも建築確認済証を取得していない建物の場合、まず確認申請が不要だったのか、それとも違法建築なのかを精査する必要があります。昭和25年以前は建築基準法の施行前のため全ての建物で確認申請手続き自体が存在せず、また都市計画区域外の小規模建物では現在でも確認申請が不要なケースがあります。​
確認済証がない場合の所有権証明書としては、以下の組み合わせが有効です:
参考)https://to-ki.jp/center/useful/ta011.asp

  • 固定資産税証明書と工事施工者の建築工事完了引渡証明書の組み合わせ
  • 建築請負契約書と工事代金領収書の組み合わせ
  • 火災保険加入証書や電気ガス水道等の設備代金領収書
  • 敷地所有者の証明書や敷地の賃貸契約書

登記官が申請人の所有権取得を推認できるよう、原則として2種類以上の書類が必要となります。これらの書類を総合的に揃えることで、確認済証がなくても登記申請が可能になります。​

建築確認済証ない物件の売却と住宅ローン審査

建築確認済証がない物件は、売却時に大きなリスクを伴います。最大の問題は、買主が住宅ローンを利用できない可能性が高いことです。多くの金融機関は建築確認済証の提示を求め、書類がないことで融資が受けられず売買が頓挫するケースが少なくありません。
参考)https://century21-aluc.jp/column/page_1839.html

これは2003年に国土交通省が金融機関に対して「検査済証のない建築物への住宅ローンの融資を控えるように」と要請したことに起因します。この指導により、特に大手銀行では検査済証がない物件への融資審査が非常に厳しくなりました。
参考)https://and-td.com/financing/

売却価格への影響も深刻で、買主はリスクを考慮して相場よりも低い価格を提示することが予想されます。また、違法建築の可能性や将来的なリフォーム・増改築の困難性への懸念から、売買契約の締結が難航したり、そもそも契約に至らない可能性も高まります。
参考)https://adept-m.net/fudousantoushi/14244/

建築確認済証ない物件の代替書類取得方法

建築確認済証がない場合でも、役所で発行できる代替書類によって一定の証明が可能です。主な代替書類には以下の2種類があります:
参考)https://re-estate.co.jp/press/knowledge/6251/

建築計画概要書は、建築物の概要や建築についての検査履歴が記載された書類で、建築確認番号や検査済番号、取得年月日などが記載されています。役所の建築指導課窓口で1通100円から500円程度で発行可能です。東京都では閲覧のみは無料ですが、コピーや撮影は認められていません。​
台帳記載事項証明書は前述の通り、建築確認台帳に記載されている事項を証明する書類です。ただし、完了検査を行っていない建物については検査済証がないため台帳に記載がなく、また建物が古く台帳が現存していない場合も証明書の発行ができないことに注意が必要です。
参考)https://www.chukokodate.com/column/detail/?p=42

これらの代替書類は、住宅ローン申込書類の一部や重要事項説明書の添付資料として活用できます。ただし、確認済証や検査済証の再発行は不可能であることを理解しておく必要があります。
参考)https://www.city.toyama.lg.jp/faq/1008448/1009930/1009146.html

建築基準法適合状況調査による救済措置

検査済証がない物件でも、建築基準法適合状況調査(ガイドライン調査)を実施することで適法性を証明し、住宅ローン融資を受けられる可能性があります。これは2014年7月2日に国土交通省が公表したガイドラインに基づく調査制度です。
参考)https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00220/

ガイドライン調査では、建築士が既存建物を調査し、当時の建築基準法に適合していたかを検証します。指定確認検査機関に提出して審査を受け、現場検査を経て建築基準法適合状況調査報告書が作成されます。
参考)https://saiteki-branding.com/kenchiku-law6/

この報告書は検査済証とみなされるものではありませんが、増改築時の基礎資料として活用でき、現状の建物が当時の建築基準に適合していることが確認されれば融資を受けることが可能になります。違反建築である場合でも、是正工事を行うことで融資を受けられる道が開けます。
参考)https://wakearipro.com/illegal-construction-reported/

国土交通省へ届出を行った指定確認検査機関(ガイドライン調査機関)が実施するため、国際的に認められた第三者機関からの報告書は高い付加価値を提供します。調査費用は発生しますが、将来的な売却や賃貸を考えている場合は、違反部分の把握や是正工事のコスト算定にも役立ちます。
参考)https://kansa.bvjc.com/news/2025/250307.html

参考情報として、建築基準法適合状況調査の詳細については国土交通省の公式ガイドラインが参考になります。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutakukentiku_house_fr_000061.html
既存建築物の増築等を検討する際の法適合状況調査の方法が詳しく解説されています。
参考)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutakukentiku_house_fr_000061.html