

建築や製作の現場では、まず「ざっくり重量を掴む」ために比重表を持っておくのが強いです。代表的な比重の目安として、アルミニウムは2.7、鉄は7.9、銅は9.0、チタンは4.5、ステンレスは7.8~8.0、黄銅(真鍮)は8.4~8.6が掲載されています。
とくに見積段階では、材料が未確定でも「鉄系(約7.9)か、ステンレス系(約7.8~8.0)か、アルミ系(約2.7)か」で重量が大きく変わり、搬入・揚重・下地負担・金物選定の前提が変わります。
以下は、建築で出番が多いものを「比重(目安)」でまとめた一覧です(鋼種や成分で変動する前提の“入口”として使います)。
参考)鉄スクラップのH1とH2の違い【画像有り・最新版】
・アルミニウム:2.7
・鉄:7.9
・ステンレス:7.8~8.0
・銅:9.0
・チタン:4.5
・黄銅(真鍮):8.4~8.6
参考リンク(比重表の該当部分:主な金属・樹脂の比重表)
https://www.linex.co.jp/products/jis/parts14/
「比重」は基準(一般に水)に対する相対値で、単位を持たない数値として扱われます。
一方「密度」は単位体積あたりの質量で、g/㎤やkg/㎥のように単位を伴う“絶対値”です。
現場で混乱が起きやすいのは、密度をg/㎤で表している資料を見たとき、数値だけを見ると比重と同じ見た目になる点で、たとえば鉄は「密度7.8 g/㎤」とも「比重7.8」とも言えてしまいます(意味は別でも、数値が一致して見える)。
この違いを押さえると、図面や仕様書で「密度(kg/㎥)」が出てきても、比重に直す・直さないの判断ができます。
参考)比重とは?比重と密度の違いや重量計算をおさらい【製品開発のた…
また、社内や協力会社とのやり取りでは「比重=密度のこととして会話している」ケースが混ざるため、提出書類や検討書では単位付き(密度)に寄せて誤解を減らすのが安全です。
参考リンク(比重と密度の違いの整理:定義と単位の話)
比重とは?比重と密度の違いや重量計算をおさらい【製品開発のた…
「ステンレス」と一口に言っても、オーステナイト系、フェライト系、二相系など分類があり、鋼種群ごとに基本質量(比重に相当する扱いの値)が整理されています。
例えばオーステナイト系では0.793や0.798など複数の代表値が示されており、同じSUSでも完全に同一値ではないことが分かります。
この「鋼種で少しずつ比重が違う」事実は、薄板・手摺・金物のような“数量が多い部材”で効いてきて、積算・運搬・現場保管の想定重量にジワジワ差が出ます。
実務での使い分けは次の発想が安定です。
参考)https://www.jisri.or.jp/documents/recycle/kikaku1997.pdf
・概算:ステンレスは7.8~8.0程度でまず掴む(社内の早見表・標準値)。
・精算:鋼種(SUS304、SUS316など)が確定したら、鋼種別の基本質量で再計算する。
参考リンク(ステンレス鋼種別の基本質量:表がまとまっている部分)
https://steel.yamco.co.jp/guide/specific_gravity/
アルミニウムは「2.7」というイメージが強い一方、合金系(1000系、2000系、5000系など)で基本質量が少しずつ異なるデータが整理されています。
例として、純アルミ(1000系)は0.270~0.271、A5056は0.264、A2011は0.282といった具合に、同じ“アルミ”でも合金番号で差が出ます。
建築でアルミを扱う場面(ルーバー、手摺、外装、下地材など)では、断面が大きい押出形材や長尺部材が多く、合金による比重差が「総重量」「スパン」「たわみ」「施工性」に影響しやすいので、早い段階で合金系の当たりを付けるのが有利です。
見積・設計の現場向けに、アルミの比重の扱いを手順化するとミスが減ります。
・概算段階:2.7で統一して重量感を掴む(比較検討の速度優先)。
・部材確定:A6063など実材が決まったら基本質量で確定計算する(発注・運搬・揚重の精度優先)。
参考リンク(アルミニウム合金の基本質量:1000系~7000系の一覧)
https://steel.yamco.co.jp/guide/specific_gravity/
検索上位の「比重表を載せるだけ」の記事では触れられにくいのが、現場で起きる“比重のズレ”の原因を先に潰す視点です(ここは独自に深掘りします)。
比重は材料固有の性質ですが、現場で扱うのは「材料+加工+状態」なので、重量の体感や実測がズレる典型パターンがあります。
ズレの原因と対策(建築・制作の現場で頻出)
・表面処理:めっき、塗装、ライニングは“体積に対する追加重量”になるので、薄板やメッシュでは無視できないことがある(概算は比重、精算は処理重量を別見込み)。
・中空形材:アルミ押出や角パイプは外形だけで計算すると過大になるので、肉厚・中空部を正しく差し引く(断面積×長さで考える)。
・水分・付着物:解体材や屋外保管材は水分・泥・モルタル付着で「比重表の重量」より重く感じる(検収や撤去運搬では“乾燥状態の比重”だけで判断しない)。
・鋼種の取り違え:ステンレスを一括りにして7.9固定で積算し、後でSUS316相当などに変わると微差が積み上がる(鋼種確定時に再計算のゲートを作る)。
最後に、比重表を「単なる暗記」ではなく、判断の道具に変えるコツを置いておきます。
・比重は“材料の候補を絞る”ために使う(軽量化・重心・施工性の方向性が見える)。
・密度(単位付き)は“説明責任が必要な書類”に使う(単位があると誤解が減る)。
・数値は、概算→確定の2段階で更新する(初期は早く、最後は正確に)。