
管材料は、使用する材質により大きく金属管と非金属管の2つに分類されます 。金属管は主に鉄鋼系(炭素鋼鋼管、ステンレス鋼管)と非鉄金属系(銅管、アルミニウム管)に分けられ、非金属管には塩化ビニル管、ポリエチレン管、樹脂管などがあります 。[1][2]
金属管の代表格である鋼管(SGP:配管用炭素鋼鋼管)は、高い強度と耐圧性を持ち、液体・気体を問わず幅広い流体配管に利用されています 。しかし、腐食に弱いという特性があるため、防食処理が必要となります 。一方、ステンレス鋼管(SUS304TPD、SUS316TPDなど)は、鋼管に比べて高価ですが錆びにくく強度に優れ、リサイクルも可能です 。
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銅管は優れた導熱性と抗菌性、耐腐食性を持ち、水道管や冷暖房システムに広く使用されています 。特に建築設備分野では、給水・給湯・冷温水配管において信頼性の高い管材として評価されており、施工性にも優れています 。
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非金属管の代表的なものに、塩化ビニル管(VP管、VU管)があります 。塩ビ管は軽量で耐腐食性に優れ、安価で取り扱いが容易なため、最もコストパフォーマンスが高い管材とされています 。しかし、耐熱性が低く温水配管には不向きで、直射日光にも弱いという特性があります 。[5][1][2]
HIVP管(耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管)は、VP管よりも衝撃に強く、地下埋設や屋外給水に適しています 。樹脂管の中でも架橋ポリエチレン管(PEX管)は、耐熱性・耐圧性・耐久性に優れ、給水・給湯・冷暖房配管で施工が容易な点が評価されています 。
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ダクタイル鋳鉄管(DIP)は、通常の鋳鉄より強度と耐久性が高く、上下水道や工業用配管に使用されています 。重量があるものの、加工性が良好で長寿命を実現できる特徴があります 。
管材料を選定する際の基準として、最初に確認すべきポイントは流体の種類、圧力、温度の3つです 。流体の性状により腐食性や化学反応の可能性を把握し、使用圧力に対する耐圧性能、使用温度に対する耐熱性能を確認する必要があります 。[7][8]
設置環境も重要な選定要因となります 。屋外設置では紫外線や温度変化への対応、地中埋設では土壌の性質や地下水の影響、建物内では湿度や換気条件を考慮する必要があります 。また、配管の用途(給水、排水、給湯、冷温水など)によって求められる性能が異なるため、用途に応じた適切な材質選択が重要です 。
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施工性とメンテナンス性も選定の重要な要素です 。軽量な樹脂管は運搬や施工の負担が軽減され、接続方法も多様で現場での工事がスムーズに進行します 。一方、金属管は専門的な溶接技術が必要な場合があり、施工費に影響することがあります 。
参考)配管工事で使われる材料の特徴
配管材料の経済性を評価する際は、初期費用だけでなく工事費、維持管理費、交換費用を含めた総合的なライフサイクルコストを考慮する必要があります 。塩ビ管は材料費が最も安価で、軽量なため施工費も抑えられますが、耐久年数が他の材質より短い場合があります 。[9][5]
銅管は水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(SGP-VB)やステンレス鋼管(SUS-TPD)より材工単価が低く、コスト削減が図れることが確認されています 。また、銅管の優れた導熱性は、給湯システムでのエネルギー効率向上にも貢献します 。
参考)http://www.doukan.org/kenchiku/33/index.html
ステンレス鋼管は初期費用は高いものの、優れた耐腐食性により長期間の使用が可能で、メンテナンス頻度の低減によりランニングコストを抑制できます 。特に衛生性が求められる食品関連施設や病院などでは、その清潔性とメンテナンスの容易さから総合的なコストメリットがあります 。
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実際の施工現場では、管材料の入手性と納期も重要な選定要因となります 。標準的な規格品であるSGP、VP管、銅管などは在庫が豊富で短納期での調達が可能ですが、特殊合金やカスタムサイズの管材は納期に時間を要する場合があります 。[7][6]
現場での取り扱いやすさも実践的な選定ポイントです 。重量のある鋳鉄管や鋼管は運搬に重機が必要で、狭小な現場では施工性に制約があります 。一方、樹脂管は手作業での運搬が可能で、曲げ加工も容易なため、複雑な配管レイアウトに対応しやすい特徴があります 。
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管材料と継手の適合性確認も現場では重要です 。配管材質と同じ種類の継手を使用することが基本であり、異種材料の接続では電食や接合不良のリスクがあります 。特に、JIS規格やメーカー純正品の使用により、品質と施工性の両立が図れます 。近年では、環境意識の高まりにより、リサイクル可能な材料や長寿命材料の選定も現場で求められる傾向にあります 。
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