国家賠償法時効改正除斥期間判例

国家賠償法時効改正除斥期間判例

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国家賠償法時効改正

国家賠償法時効改正の要点(建築実務向け)
「20年」の意味が実務で変わる

旧ルールで「除斥期間」とされがちだった20年は、改正民法で「時効」と明確化され、更新・完成猶予の議論余地が広がりました。

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判例で「例外」が現実に動く

最高裁大法廷(旧優生保護法)では、除斥期間の主張が信義則違反・権利濫用になり得る点が明確に語られ、国側の時間 دفاعの扱いが注目されました。

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建築は「損害の顕在化」が遅い

地盤沈下・雨漏り・耐久性など、後から損害が見える類型では、起算点(いつから数えるか)と証拠化の設計が結果を左右します。

国家賠償法時効改正の消滅時効と除斥期間

建築の世界で「国や自治体のせいで損害が出た」と感じる場面は、想像以上に幅があります。例えば、道路・河川の管理、崖地や公共工事安全対策、行政の許認可運用、あるいは違法な指導・勧告など、相手が公権力側になると、一般の損害賠償(民間同士)とは別の論点が立ちます。そこで最初にぶつかるのが「いつまで請求できるのか」という時効の壁です。
ここで重要なのは、かつて不法行為の「20年」が、裁判実務では“除斥期間”として扱われてきた経緯があることです。除斥期間は、期間が経過すると原則として当然に権利が消える(中断や停止=いまの用語なら更新・完成猶予が効きにくい)という発想で、被害者側に非常に厳しい設計でした。 一方、2020年施行の改正民法では、不法行為の「20年」について、時効であることが条文上明確化され、少なくとも制度の建付けとしては「更新・完成猶予を議論できる余地」が広がっています。


参考)不法行為による損害賠償請求権の期間制限

建築従事者として押さえたいのは、「国家賠償法だから特別に長い/短い」という雑な理解ではなく、実際の争いが“不法行為ベースの期間制限の解釈”と絡みやすい点です。国・自治体を相手にする事件では、相手方が“時間が経ったから無理”と主張してくる場面が多く、こちらは“いつ損害が顕在化したか”“いつ知ったか”を証拠で固めて対抗する構図になりがちです。


参考:消滅時効制度の見直し(除斥期間・時効の整理が分かる)
法務省「消滅時効に関する見直し」(不法行為20年の扱い・除斥期間の説明)

国家賠償法時効改正と民法724条の更新

「更新」は、ざっくり言うと“時効のカウンターをリセットして、また進み始める”イメージです。改正民法の世界では、更新・完成猶予という言葉で整理され、旧来の「中断・停止」よりも体系的に説明されます。 建築トラブルでは、相手(国・自治体・発注者・管理者)が、責任の一部を認めるような言動や、一定の支払・補修・協議文書を出すことがあり、ここが更新の入口になり得ます(ただし、何が「承認」に当たるかはケースで変わります)。
ポイントは、「現場でよくある“口頭のやりとり”は、あとで証拠になりにくい」ということです。時効を動かすには、後から見て“何が起きたか”を他人が検証できる形に落とす必要があります。建築だと、議事録、是正指示書、写真台帳、出来形・施工記録、メール、補修提案書、原因調査報告書など、普段は品質管理のための資料が、時効実務では“起算点・更新・完成猶予の素材”になります。


また、改正民法では不法行為の時効期間について整理が進み、生命・身体侵害の類型では「知った時から5年」などの設計が入っています。 建築事故(崩落・転落・第三者災害)では、損害が人身に及ぶこともあり、請求構成によって期間の見え方が変わるため、事故直後から「誰が・いつ・何を知ったか」を時系列で固める作業が実務的に効きます。


参考)https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2020_12/lbr_2020_12.pdf

参考:改正民法での「更新」「完成猶予」の考え方が具体的
兵庫県弁護士会「交通事故でけが 賠償請求の時効が心配-民法改正で時効は5年間に」(更新・完成猶予の説明)

国家賠償法時効改正と判例の最高裁大法廷

検索上位で必ず出てくる近時の大きな材料が、旧優生保護法をめぐる最高裁大法廷判決です。この判決は、違憲性の判断だけでなく、期間制限(除斥期間)を盾に国が責任を免れることが「著しく正義・公平の理念に反し、信義則に反し、または権利の濫用として許されない」と述べ、時間経過だけで切り捨てる理屈に強い歯止めをかけました。
建築の現場にそのまま当てはまるかというと、事件類型が違う以上、短絡は禁物です。ただ、国・自治体の違法が長期間隠れていた、被害者側が権利行使できない構造的事情があった、被害が顕在化しにくかった、といった要素が絡むと、「時効・除斥期間の主張が常に通るわけではない」という示唆になります。


参考)日本弁護士連合会:日弁連新聞 第605号

さらに、改正前民法724条後段(20年)の法的性質が、除斥期間か時効かで長く争われてきた点も、実務の背景知識として効きます。改正後は条文上「時効」と明確化されているため、少なくとも制度論としては“更新・完成猶予の議論が可能な土俵”に寄っています。


参考)https://www.moj.go.jp/content/001255623.pdf

国家賠償法時効改正と起算点の損害

建築系の紛争で本当に揉めやすいのは「起算点」です。つまり、“いつから時計が動き始めたのか”で、結論が真逆になることが珍しくありません。雨漏りや不同沈下、塩害、アルカリ骨材反応のように、施工時点では問題が見えず、時間をかけて損害が顕在化するタイプでは、単純に「工事が終わった日=不法行為の時」と割り切れないケースが出ます。
この点に関して、裁判例では「損害発生を待たずに除斥期間の進行を認めることは被害者にとって著しく酷」といった問題意識が示され、起算点をどう捉えるかが争点化してきました。 建築実務に引き直すと、次のような“現場で作れる証拠”が起算点の攻防を支えます。


参考)https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-91145.pdf

  • いつ、どの部位に、どの程度の不具合が出たか(写真・動画・点検記録)。
  • 不具合が「客観的に認識可能」になった時期(居住者クレーム履歴、保守会社の点検報告)。​
  • 原因が施工起因か、設計起因か、維持管理起因かの初動評価(調査報告書の初版と改訂履歴)。

ここで意外に効くのが、建築の“点検・維持管理の形式知”です。つまり、普段は品質・安全・クレーム対応のために作る点検の仕組み(定期点検、法定点検、巡回記録、是正の期限管理)が、そのまま「損害の顕在化」「知った時期」を裏付ける材料になります。時効対策というと法律の話に寄りがちですが、現場の運用設計(記録を残す文化)が最終的に法的な強さになります。


国家賠償法時効改正と建築の独自視点

検索上位の解説は、どうしても「条文」「判例」「期間」の話が中心になります。建築従事者向けに独自視点で強調したいのは、国家賠償の時効トラブルが“施工ミス”よりも、“行政との接点”で起きやすいという点です。例えば、次のような局面です。
- 道路・河川・公共施設の管理不備で第三者損害が出た(転落、浸水、落下物など)。
- 許認可・監督の運用が不合理で、計画変更・工期遅延・追加費用が連鎖した。
- 指導・勧告・行政処分のプロセスに瑕疵があり、事業継続に損害が出た。
これらは「損害の発生」と「損害の確定(額の確定)」がズレやすいのが特徴です。工事遅延ひとつ取っても、当初は“遅れそう”という予兆にすぎず、実際の損害(追加人件費、仮設延長費、逸失利益、違約金、下請精算の増加)が固まるのは後になります。だからこそ、時効の議論を避ける最短ルートは、「損害が見え始めた段階で、請求の出口を複線化する」ことです(協議、行政不服、仮の見積・概算提示、専門家調査の着手など)。


そして“あまり知られていないが効く話”として、法制度が時効を「時効」と明確化したことは、単に期間が伸びたというより、「現場の交渉・文書の出し方で結果が動く余地が増えた」と読むのが実務的です。 逆に言えば、相手方(国・自治体)も文書表現に敏感になり、「責任を認めたと評価されない書き方」をしてくることがあるため、こちらも議事録や回答書の文言を“工学的に”管理する必要があります。


参考)民法改正と損害賠償請求実務への影響(時効、法定利率)|損害賠…

参考:不法行為20年の性質(除斥期間か時効か)の争点整理が分かる
名村法律事務所「旧724条の後段は、除斥期間か消滅時効か?」(改正前後の条文比較と論点)