

建築現場や解体工事、あるいは災害時の応急処置として欠かせないブルーシートですが、資材担当者や現場監督にとって「どこで買うのが一番コストパフォーマンスが良いか」は常に悩ましい問題です。特にホームセンター大手のコーナンが展開するプライベートブランド「PROACT(プロアクト)」のブルーシートは、プロの職人から高い支持を得ています。
しかし、単に「安いから」という理由だけで選んでいませんか?実はブルーシートには、厚み(番手)や加工によって寿命や用途が全く異なります。間違った選び方をすると、すぐに破れて買い直すことになり、結果的にコストが高くついてしまうこともあります。また、使用後の廃棄処理についても、事業用ゴミとしての正しい知識が必要です。
本記事では、コーナンのブルーシートの値段相場から、現場で役立つ具体的な選び方、そしてプロしか知らない意外な運用コストの話まで、3000文字以上のボリュームで深掘りして解説します。
コーナンの売り場に行くと、「#1000」「#2000」「#3000」といった数字が書かれたブルーシートが並んでいます。これは「番手(ばんて)」と呼ばれるブルーシートの厚みと重さを表す規格です。この数字の意味を正しく理解していないと、現場で痛い目を見ることになります。
まず、結論から言うと建築現場での養生や長期保管には「#3000(厚手)」一択です。
プロの現場では、人件費こそが最大のコストです。「安いから薄手を使おう」と考えて#1000を屋根養生に使ってしまうと、数週間後の強風で破れ、再施工の手間が発生します。この「張り替えの人件費」を考えれば、最初からコーナンの#3000を選んでおくことが、トータルコストを下げる正解となります。
また、コーナンの#3000は、ハトメ(紐を通す穴)の間隔や強度もしっかり設計されており、強風時にハトメ部分から裂けるといったトラブルも比較的少ないのが特徴です。
ホームセンターコーナンの通販サイト|ブルーシート商品一覧(価格確認はこちら)
(リンク先:コーナンeショップの公式ページで、最新のサイズ別価格一覧が確認できます。)
ブルーシートを選ぶ際、「番手」の次に見るべきは「サイズ」ですが、ここにも意外と知られていない「業界の常識」があります。
「3.6m × 5.4m」というサイズをよく見かけませんか?なぜこのような中途半端な数字なのでしょうか。これは日本の建築尺貫法における「間(けん)」が基準になっているからです。
1間(いっけん)は約1.8メートルです。つまり、「3.6m × 5.4m」は「2間 × 3間」というきりの良いサイズなのです。畳で言えば約12畳分に相当します。
現場で資材を発注する際、この「番手」の定義を知っておくと非常に便利です。実は、**番手の数字は「3.6m × 5.4mのサイズのシートを作った時の重さ(グラム数)」**を表しているのです。
参考)https://www.e-fukuyoshi.com/pages/how-to-choose-blue-sheet
この法則を知っていれば、カタログスペックを見なくても、そのシートの厚みや丈夫さを重量からイメージすることができます。コーナンのPROACT製品もこの規格に準拠しています。
コーナンでは、以下のような多様なサイズ展開があり、現場の規模に合わせて選ぶことができます。
| サイズ (m) | 換算 (間) | 畳数目安 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 1.8 × 1.8 | 1間 × 1間 | 2畳 | 小さな資材カバー、一人作業の道具置き場 |
| 2.7 × 3.6 | 1.5間 × 2間 | 6畳 | 軽トラックの荷台カバー、小規模な床養生 |
| 3.6 × 5.4 | 2間 × 3間 | 12畳 | 【業界標準】 最も汎用性が高いサイズ。資材全般 |
| 5.4 × 7.2 | 3間 × 4間 | 24畳 | 屋根の応急処置、中規模な法面保護 |
| 10.0 × 10.0 | - | 60畳 | 大規模な土木工事、イベント会場の敷設 |
特に10m×10mクラスの「ジャンボシート」は、通常のホームセンターでは在庫していないことがありますが、コーナンPRO(プロ向け店舗)やWeb通販では取り扱いがあるため、急な大規模養生が必要になった際に非常に助かります。
また、意外と見落としがちなのが「仕上がり寸法」です。パッケージに「3.6m × 5.4m」と書かれていても、実際には端を折り返してハトメ加工をするため、有効寸法はこれより数センチ~10センチ程度短くなります。ギリギリのサイズで購入すると「足りない!」という事態になりかねないので、ワンサイズ大きめを選ぶか、重ね代(かさねしろ)を考慮して枚数を多めに計算するのが鉄則です。
多くの職人がコーナンのプライベートブランド(PB)である「PROACT(プロアクト)」を選ぶ理由は、ナショナルブランド(有名メーカー品)に匹敵する性能を持ちながら、価格が抑えられている点にあります。
しかし、「安かろう悪かろう」ではないのでしょうか?耐久性の実態について深堀りします。
ブルーシートの寿命を決める最大の要因は**「紫外線(UV)」**です。ポリエチレン等の合成樹脂は、太陽光を浴び続けることで分子結合が破壊され、強度が低下します。これを「光劣化」と呼びます。劣化したシートは色が薄くなり、手で触ると粉がつくようになり(チョーキング現象)、最終的には少しの力でパリッと裂けてしまいます。
一般的な#3000ブルーシートの耐候期間は、屋外使用で約9ヶ月~1年と言われています。コーナンのPROACT #3000もこの基準をしっかりとクリアしています。実際に現場で使用している感覚としても、半年程度の野積みであれば全く問題なく防水性を維持します。
参考)ブルーシート取扱い上の注意
さらに、コーナンでは通常の#3000に加え、**「UVカット(耐候性)タイプ」**の取り扱いがある場合もあります。これはシートの素材に紫外線吸収剤や劣化防止剤を添加したもので、通常の#3000よりも寿命が長く、2年~3年程度持つものもあります。
「いつまで使えるか」を見極めるサインは以下の通りです。
これらのサインが出たら、防水機能は失われています。重要な資材を守るためにも、ケチらずに新品のPROACTシートに交換すべきタイミングです。
また、PROACT製品はハトメ部分にアルミやプラスチックを使用しており、雨ざらしにしてもサビによるシート汚染が起きにくい配慮がされています。鉄製のハトメだと、錆び汁が垂れて下の資材(特に木材やコンクリート)を汚してしまうリスクがあるため、この点は地味ながらプロにとって重要なポイントです。
では、具体的にコーナンのブルーシートは他社と比較してお得なのでしょうか。競合となるのは、カインズ、コメリなどの他のホームセンターPBや、萩原工業などの専門メーカー品です。
市場調査的な視点で見ると、コーナンの強みは**「圧倒的な標準在庫力」と「価格の安定性」**にあります。
他社のPBも優秀ですが、コーナンは特に関西圏を中心に店舗網が厚く、現場へのアクセスが良い点が評価されています。また、ネットショップで注文して店舗で受け取るサービスを使えば、広い店内で商品を探し回る時間をカットでき、現場への移動中に手配を済ませることができます。
コーナンeショップTOP|店舗受取サービスの詳細
(リンク先:ネット注文・店舗受取の利用方法や、最寄りの店舗検索が可能です。)
ここからは、多くの記事では語られない**「ブルーシートの捨て方と廃棄コスト」**について、独自の視点で解説します。
建築業や工事業を営む皆さんにとって、使い終わったブルーシートは「ただのゴミ」ではなく**「産業廃棄物」**です。ここを誤解して家庭ゴミと同じように集積所に出したり、不法投棄のような扱いをしてしまうと、廃棄物処理法違反で重い罰則(5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその併科)を受けるリスクがあります。
参考)ブルーシートの捨て方は?用途別の正しい処分方法やかかる費用を…
1. 産業廃棄物としての区分
ブルーシートの主原料はポリエチレンなどの合成樹脂です。したがって、産業廃棄物の区分としては**「廃プラスチック類」**に該当します。
ここで注意が必要なのが「ハトメ」です。多くのブルーシートにはアルミ製のハトメが付いています。厳密な分別を求める処分場の場合、ハトメ(金属くず)とシート(廃プラ)を分離しなければならないことがあります。
コーナンのPROACT製品など、最近の良質なシートは分別しやすい構造になっているものもありますが、大量廃棄の際は「ハトメなし」のシートを選ぶか、あるいは「混合廃棄物」として受け入れてくれる産廃業者を選定する必要があります。混合廃棄物として出すと、単一の廃プラよりも処分単価が高くなる傾向があります。
2. 運用コストを下げる「寿命倍増」テクニック
廃棄コストを削減する最良の方法は、シートの交換頻度を減らすこと、つまり長持ちさせることです。現場でできる簡単なテクニックを紹介します。
3. コスパの最終結論
「1枚1500円のシートを1年使う」のと「1枚500円のシートを3回買い換える」のでは、一見コストは同じに見えます。しかし、買いに行く時間、張り替える人件費、そして3回分の廃棄処理手数料を考えると、最初からコーナンの#3000(厚手)を買って長く使う方が、圧倒的に利益に残るのです。
現場の利益率は、こうした消耗品の賢い運用で変わります。ぜひ次回の資材調達では、単なる値段だけでなく「廃棄までのトータルサイクル」を意識して、コーナンのブルーシートを選んでみてください。

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