公共測量の種類と基準点測量・応用測量の特徴

公共測量の種類と基準点測量・応用測量の特徴

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公共測量の種類

公共測量の主な種類
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基準点測量

既知点に基づき新たな基準点を設置する測量で、1級~4級に区分されます

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地形測量

地形の起伏や地物の位置を測定し、数値地図や地形図を作成します

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応用測量

路線測量、河川測量、用地測量など目的に応じた実務的な測量です

公共測量とは、国や地方公共団体が費用の全部または一部を負担して実施する測量のことであり、測量法第5条に基づいて定義されています。基本測量以外の測量で、その実施に要する費用を国または公共団体が負担または補助して実施するものが公共測量に該当します。公共測量は、道路・河川・都市計画などの各種公共事業の計画、実施設計、用地取得、管理などに用いられる重要な測量です。
参考)https://www.gsi.go.jp/KOUKYOU/koukyo0036.html

公共測量の種類は、測量の内容や目的によって大きく分類されます。主要な種類としては、基準点測量、水準測量、地形測量、応用測量などがあり、それぞれが建設事業において異なる役割を担っています。建築業従事者にとって、これらの測量の種類と特徴を理解することは、現場での円滑な業務遂行に不可欠です。
参考)https://www.thg.co.jp/support/book/76pdf/76navi_tuiho.pdf

公共測量の基準点測量の等級区分

 

基準点測量は、既知点に基づき新たに基準点を設置するための測量であり、測量の基礎となる重要な作業です。基準点測量は、既知点の種類、既知点間の距離、新点間の距離に応じて、1級基準点測量、2級基準点測量、3級基準点測量、4級基準点測量の4つの等級に区分されています。
参考)https://www.buddy0501.info/surveying

等級による区分の詳細は以下の通りです。
参考)https://www.gsi.go.jp/common/000225214.pdf

  • 1級基準点測量:国家基準点(電子基準点、三角点)に基づき設置され、点間距離は約1km程度です

    参考)https://www.city.nagano.nagano.jp/n180500/contents/p000623.html

  • 2級基準点測量:国家基準点や1級基準点に基づき設置され、点間距離は約500m程度です​
  • 3級基準点測量:1級または2級基準点に基づき設置されます​
  • 4級基準点測量:最も細かい基準点設置に用いられます​

基準点は地球上の位置や海面からの高さが正確に測定された点のことで、測量標により現場での位置が明確であり、緯度・経度や高さなど位置に関する情報を持っています。これらの基準点は、すべての測量の基礎となるもので、都市計画などの公共測量、地籍測量など、さまざまな測量に活用されています。
参考)https://www.chiseki.go.jp/plan/kijunten/index.html

公共測量の水準測量と地形測量の特徴

水準測量は、レベル(水準儀)を用いて測点の高低差を測り、標高を求める測量です。既知点(公共水準点等)に基づき高低差を測定し、施工区域内またはその周辺に設置された新設点である水準点及び基準点の標高を定める作業を行います。日本の土地の高さ(標高)は、東京湾の平均海面を基準(標高0m)として測られており、東京湾の平均海面を地上に固定するために設置されたのが日本水準原点です。
参考)https://www.osysmap.jp/business_introduction/survey/

全国の主要な道路沿いに設置されている水準点の高さは、この日本水準原点に基づいて水準測量により決められており、この水準点がその地域における高さの基準となります。水準点には国土地理院が基本測量として設置・管理する「~等水準点」と、地方公共団体が公共測量として設置・管理する「~級水準点」があります。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%BA%96%E7%82%B9

地形測量は、数値データや写真を元に地形図を作成する測量であり、地形の起伏の状況や、自然物及び人工物の位置と形状をデジタル形式で測定・取得します。地形測量には平板測量と写真測量の2種類があり、地形図等の用途及び縮尺が1/1,000以上の場合は平板測量が用いられ、1/2,500以下の場合は写真測量が用いられます。基準点を元に地形図や平面図を作成するための測量として、設計や計画の基礎資料となる重要な役割を果たします。
参考)https://www.yachiho.co.jp/service-1.html

公共測量の応用測量とその内訳

応用測量は、基本測量成果に加え、基準点測量、水準測量、地形測量及び写真測量の成果を使用して行う測量です。建設事業に付随する測量ごとに、必要に応じて路線測量、河川測量及び用地測量並びにその他の測量を行うものとされています。
参考)https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000139589

応用測量は目的によって次のように区分されます。
参考)https://www.kinsoku.ac.jp/special-column/vol4.html

  • 路線測量:道路や水路等など築造物建設のための計画実施設計などに用いられる測量で、IP設置測量・中心線測量・仮BM設置測量・縦断測量・横断測量までの一連の測量を総称します

    参考)https://kyouritu.jp/business/apply_survey/

  • 河川測量:河川の形状、水位、深浅、断面、勾配等を測定し、平面図、縦断面図、横断面図などの作成や、流速、流量などを調査する作業です​
  • 用地測量:土地及び境界等について調査し、用地取得等に必要な資料及び図面を作成する作業です

    参考)https://www.chubutochicyousa.co.jp/business/sokuryo/

  • その他の応用測量:上記以外の目的に応じた測量が含まれます​

応用測量は、道路や河川における工事施工の計画管理などの公共事業に対して用いる測量として、基準点測量や地形測量により得られた成果を利用して実施されます。​

公共測量における建築現場での実務活用

建築業従事者にとって、公共測量は工事の設計、施工、維持管理の全ての段階で必要不可欠な役割を担っています。測量によって得られた精度の高い位置情報は、構造物の設計や施工の正確性を確保し、ひいては完成後の安全性や機能性を支える重要な要素となります。
参考)https://www.ougi.co.jp/column/public-kobe-surveying/

公共事業における測量は、土地の境界や面積、高低差などを正確に把握し、地球上の位置や海面からの高さを正確に測定するために不可欠です。これにより、公共事業の出来形管理や起工測量、岩線計測、部分払い出来高計測などを正確に実施できます。測量は「工事の基礎を築く最初の仕事」とも称されるほど現場に欠かせない重要業務となっています。
参考)https://www.lrtk.lefixea.com/blog-js/survey6

公共工事における測量では、地域社会やインフラの整備に適した高い精度が求められます。法律や規則に基づいた基準が設けられており、mm単位やcm単位の高い精度が要求されます。例えば、道路建設における中心線測量や、橋梁建設における橋脚の位置出しなど、構造物の配置を決める測量では、mm単位の高い精度が求められます。一方で、地形測量や地籍測量など、広範囲の土地の形状や境界を把握するための測量では、cm単位の精度で十分な場合もあります。​
建設現場では、図面上の基準点(既知の座標点)をもとに現場周辺に新たな基準点を設置し、そこから各構造物の位置出しや高さ管理を行います。測量で得られた座標値は設計図や施工計画の拠り所となり、一連の工事全体を通じた空間的な基準となります。こうして得られた正確な位置情報により、施工チームは敷地内において設計図面を再現し、構造物を正しい位置と寸法で築造できるのです。​

公共測量の法的手続きと管理体制

公共測量を実施する際には、測量法に基づく適切な手続きが必要です。公共測量を実施しようとする者は、あらかじめ作業規程を定め、国土交通大臣の承認を受けなければなりません。作業規程の承認申請は、申請者(測量計画機関)の所在地を管轄する地方測量部・支所に提出します。
参考)https://www.gsi.go.jp/KOUKYOU/koukyo0032.html

公共測量実施計画書は、当該測量計画における測量作業実施地域を管轄する地方測量部・支所に提出する必要があります。公共測量が終了したときは、その旨を遅滞なく関係都道府県知事に通知しなければなりません。公共測量の成果の写しについても、測量実施後に提出が義務付けられています。
参考)https://www.gsi.go.jp/KOUKYOU/koukyo0039.html

国土地理院が実施する測量について、国土地理院の公共測量相談窓口では、公共測量に関する手続きの案内や技術的な相談を受け付けています。​
国土地理院公共測量手続き解説(公共測量実施に必要な申請・届出の詳細手順と様式が確認できます)
公共測量の実施に当たっては、測量の基準の統一をはかり、重複を避けながら必要かつ十分な精度を確保し、測量に係る経費の削減と測量成果の有効活用を図ることが求められています。公共測量は、国や地方自治体が一元的に管理するため、同じ場所を複数回測量することを避けられ、これにより測量結果の信頼性や整合性を高めることにつながります。また無駄な測量を防げるため、測量にかかる時間やコストの削減も可能となります。
参考)https://hashi-kp-recruit.com/column/2024-4-8/

国土地理院では、公共測量の円滑な実施と測量成果の品質確保のため、「作業規程の準則」を定めており、これは公共測量の実施に関する技術的な基準を示すものです。近年では、地上レーザ測量やUAV写真測量など新しい測量技術も公共測量の基準に追加されており、測量技術の進歩に対応した体制が整備されています。
参考)https://www.gsi.go.jp/gijyutukanri/gijyutukanri41018.html


最新測量学(第3版)