キャップスクリュー規格寸法
キャップスクリュー規格の基本知識
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JIS B 1176規格
日本工業規格による六角穴付ボルトの標準寸法
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材質と強度区分
鉄・ステンレス・高強度材の特性と用途
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選定のポイント
用途に応じた適切なサイズと材質の選び方
キャップスクリューのJIS規格と基本寸法
キャップスクリューは正式名称を「六角穴付ボルト」といい、JIS B 1176:2014に規定されています。円筒形の頭部に六角形の穴が開いているのが特徴で、キャップボルトやソケットスクリューとも呼ばれます。
主要な寸法規格。
- M2~M48まで豊富なサイズバリエーション
- 頭部径:ねじ径の約1.6~2倍
- 頭部高さ:ねじ径と同等
- 六角穴径:専用の六角レンチに対応
規格寸法の具体例として、M6の場合は頭部径10.0mm、頭部高さ6.0mm、六角穴径5mmとなります。この精密な寸法設定により、確実な締付けと優れた強度を実現しています。
キャップスクリュー材質の種類と強度区分
キャップスクリューの材質は主に以下の3種類があります。
鉄系材料
ステンレス系材料
- SUS304(一般用途)
- SUS316(高耐食性)
- SUS316L(超高耐食性)
- 強度区分:A2-70、A4-80相当
特殊合金材料
- チタン合金(航空宇宙分野)
- インコネル(高温環境)
- ハステロイ(化学プラント)
材質選定の重要なポイントは、使用環境と要求強度のバランスです。屋外使用ではステンレス、高荷重部位では高張力鋼を選択することが基本となります。
キャップスクリュー規格の寸法と公差
JIS規格では厳格な寸法公差が設定されており、互換性と品質を保証しています。
主要寸法の公差管理
- ねじ径:6H級(標準)
- 頭部径:±0.1~±0.15mm
- 頭部高さ:±0.1~±0.2mm
- 六角穴対辺距離:+0.0~+0.05mm
ねじ先端形状
- M4以下:あら先も可能
- M5以上:面取り先(JIS B 1003準拠)
- 面取り角度:15°±2°
- 面取り幅:ピッチの0.1~0.3倍
この精密な公差管理により、異なるメーカー間でも完全な互換性が確保されています。特に六角穴の精度は重要で、専用レンチとの適合性に直結します。
キャップスクリュー規格の国際標準と比較
日本のJIS規格以外にも、国際的な規格が存在します。
ISO規格(ISO 4762)
- 基本的にJIS規格と同等
- 頭部形状に若干の差異
- 強度表示記号が異なる
DIN規格(DIN 912)
- ドイツ工業規格
- 頭部がわずかに低い設計
- ヨーロッパで広く採用
ANSI/ASME規格
- アメリカ機械学会規格
- インチサイズが主流
- 1/4-20、5/16-18など
SSS規格(日本特殊)
- 頭部形状が独特
- 一部メーカーで採用
- JIS規格との互換性に注意が必要
建築現場では国際的なプロジェクトも多く、各規格の違いを理解しておくことが重要です。特に輸入機械や設備では、該当規格の確認が必須となります。
キャップスクリュー規格の現場での実践的選定方法
建築現場での実際の選定では、規格書だけでは得られない実践的な知識が必要です。
荷重計算に基づく選定
- 引張荷重:断面積×引張強度×安全率
- せん断荷重:有効断面積×せん断強度
- 疲労荷重:繰り返し荷重を考慮
環境条件による材質選択
- 塩害地域:SUS316以上推奨
- 高温環境:耐熱合金を検討
- 振動箇所:ロックタイト使用
施工性を考慮した規格選択
- 狭小部:低頭キャップスクリュー
- 美観重視:ステンレス生地仕上げ
- 経済性重視:鉄系材料
品質管理のポイント
- JISマーク付き製品の選択
- 強度区分の刻印確認
- 材質証明書の保管
実際の現場では、コスト、施工性、維持管理性のバランスを取った選定が求められます。設計段階から施工者との協議を重ね、最適な規格選択を行うことが成功の鍵となります。